表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/10

第3章:日本は、できる範囲で“筋を通した”──それが現実解

アメリカが「夢に殉じた」なら、

日本は「現実に従った」。


それが、レールガンという技術に対する、

日本独自の静かな向き合い方でした。




日本が選んだのは、ズムウォルト級のような主砲化でも、超長距離打撃でもなかった。


目指したのは──

「対空迎撃用CIWS(近接防御火器)への応用」

それだけでした。




この選択の意味を、少し掘り下げましょう。


・レールガンの弾体は、火薬を使わず、電磁力で金属塊を撃ち出す。


・しかし、加速対象が重いほど、レールにも電源にも耐久にも大きな負荷がかかる。


・だから日本は、→ 小さく、軽く、速く。


それだけを目指しました。


具体的には──


・砲弾サイズ:40mm級


・弾頭重量:約320g〜1kg程度


・射程距離:数km〜十数km


重い弾を遠くへ飛ばすのではない。

軽い弾で、目の前に迫る脅威を、確実に撃ち落とす。


それが、日本のレールガンの設計思想でした。




この「割り切り」は、単なる妥協ではありません。

レールガンの構造そのものへの理解に基づいた、理に適った選択だったのです。


思い出してください。


レールガンでは──


・加速される弾体の重量は三次元(体積)で増える。


・しかし、レールが受け止める接触面積は二次元(長さ×幅)でしか増えない。


つまり、

重くなるほど、加速負荷は爆発的に増えるのに、

支える面積はほとんど増えない。


この構造的不均衡を無視して、重量弾を撃とうとすれば、

レールは削れ、焼け、歪み、兵器は“使えない夢”に堕ちる。




日本は、それを知っていた。


だから、あえて「軽さ」に賭けたのです。


小さい弾体、小さな加速負荷。

必要最小限の電力、必要最小限の耐久設計。

それでいて、必要十分な迎撃性能。


すべてが、「できる範囲」で最大の効果を狙う」設計になっていました。




さらに、現時点で報告されている技術的達成もあります。


・レールは、120発発射しても性能劣化なし。


・海上発射試験もすでに実施済み。


つまり、レール寿命という最大の壁も、

「重さを抑える」という合理的な設計判断によって、

一歩ずつ、確実に超えつつあるのです。




ズムウォルト級が「重力に抗う夢」を追いかけたなら、

日本のレールガンは、重力を受け入れた現実解です。


夢を否定しない。

でも、現実からも目を逸らさない。


──それこそが、日本がレールガンに賭けた、

小さく、けれど確かな一歩だったのです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ