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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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95/122

刻々と近づくその時

 一年B組がしっとりした曲だったが、一年A組の選曲はその真逆。


 まさに明るいノリノリの曲は、前世のマライア・キャリーの有名なクリスマスソングに似ている。一度は沈んだ気分だったが、この曲で少し上向く。


 歌っている間は、ホリデーシーズンの休暇を楽しむ恋人同士、家族の姿が目に浮かんだ。


 歌い終わるとB組の時とは違い、拍手に加え、口笛や声援も聞こえる。


 無事、合唱の発表は終わった。


 舞台から降り、席へ戻り、二年生と三年生の合唱を聴くことになる。席へ移動している間に、二年C組の歌は終わっている。ようやく着席した時には、二年B組の合唱は、一番が既に終わっていた。


 なんだかんだで時間はあっという間に過ぎていく。


「第一部が終わりましたね。昼食、行きましょうか」


 キルリル皇太子の言葉に、「ええ、そうですね」と平静を装っているが、パーティーの時間にまた大きく近づき、心臓がドキッとしている。


「お義姉様〜!」


 声に驚き振り返ると、アンジェリーナ王女と国王陛下夫妻の姿が見え、ビックリしてしまう。


「サプライズになりましたか!? お兄様とお義姉様の勇姿を見ようと、実は父兄席から観覧していました~!」


 これには文字通りサプライズ。さらに。


「お昼、カフェテリアの個室を押さえてあるんです。そこで食べましょう。キルリル皇太子殿下と王族だけで」


 アンジェリーナ王女のこの行動に、ソフィーは歯ぎしりしている。だがメインキャラではない王女や国王陛下夫妻の行動。ソフィーでもどうにもできないようで、諦めてメアリー子爵令嬢とカフェテリアへ向かうことにしたようだ。


 こうして思いがけず、国王陛下夫妻とアンジェリーナ王女、レイモンド、キルリル皇太子、私とで個室でお昼を食べていると……。


 バカンスシーズンを思い出してしまう。


 その時、ヒロインはまだ登場しておらず、キルリル皇太子も宮殿に滞在していた。そこで毎日のようにこのメンバーで朝食を摂っていたのだ。


 あの頃には戻れない。


 そう思っていたのに。思いがけず、ここにきて、あの日に戻ることになるなんて――。


 嬉しいのに、悲しい。


「午後は地方領の貴族達とのお茶会があるので宮殿へ戻るが、キルリル皇太子殿下、レイモンド、リナ。楽しむがいい。この多忙な時期に、バロン(Baron )ヤン(Jan)ヘルトケヴ(Hertkev)が指揮を執るなんて。しかも無償で見られるなんて、滅多にないことだ」


「そうね。王立アルデバラン交響楽団も登場するなんて。学園のカウントダウンのチャリティーコンサートが例年人気なのは、頷けるわ」


 国王陛下夫妻のこの言葉で、私の気持ちはまた少し盛り返す。


 確かに稀代の指揮者と言われるバロン・ヤン・ヘルトケヴや王立アルデバラン交響楽団の演奏を、生徒達は無償で楽しめるのだ。この世で()()に聴ける音楽。しかも生演奏。そしてそれはバロン・ヤン・ヘルトケヴの指揮や王立アルデバラン交響楽団の演奏なのだ。なんて贅沢なのだろう!


「アルデバラン王国の至宝を無償で楽しめるなんて。とてもついていると思います」


 キルリル皇太子も大喜びだ。


「そろそろ時間だね。ホワイトホールへ戻ろうか」


 レイモンドはいつもと変わらない様子でそう告げる。まだ制服姿のレイモンドは、前髪も普段通りでおろし、そのキリッとした眉は見えていない。だが第二部の演奏会が終わり、パーティーに向け、着替えた際、髪型もアレンジする。そしてその姿でレイモンドは……。


「お義姉様、顔色が……どうされましたか?」


「大丈夫よ。あまりにも楽しくて、少し食べ過ぎてしまったみたい。午後の演奏。リラックスして寝ないようにしないと」


「まあ! 著名な方が出席されるから、お義姉様、昼寝はダメよ。このミント菓子、差し上げますわ!」


 アンジェリーナ王女は、頭がさっぱりするよう、ミント飴が入った手の平サイズのブリキ缶を渡してくれた。こうしてカフェテリアの前で、国王陛下夫妻とアンジェリーナ王女と別れることになる。


 その別れは……この世界で彼らとの()()の別れになるだろう。それを思うと涙が溢れそうになるが、ぐっと我慢だ。いつも通りでハグをして、別れを惜しんだ時。


 ホワイトホールの入口には私の両親と兄達がいる。


「リナ。合唱も聴いていたよ。午後の演奏会も父兄席で楽しむつもりだ」


 父親の顔を見たら、思わず駆け寄ってしまう。


「まあ、リナ。どうしたの?」


 母親がビックリしている。


「久々に会えたので……」


「ニューイヤーは公爵邸に顔を出すだろう? 毎年そこで会える。もう十六歳なのに。リナはまだまだ子供だな」


 快活に笑う兄達。

 その姿を見て、本当に泣きそうだった。


 確かにこれまでニューイヤーは三が日を宮殿で過ごした後、公爵邸へ帰っていた。


 でも来年、それは……ない。


 そこで鐘の音が響く。

 第二部開始を告げる、予鈴の合図だった。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は18時頃公開予定です~

【感謝】

誤字脱字報告、ありがとうございます。

心から感謝でございます~°˖✧彡

今回、これからの未来を暗示するため

「最後」についてはあえて「最期」を使っています。

あえて使っていると分かるよう傍点をつけました!

紛らわしくて大変失礼しました( _ _)人

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