表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

91/122

その異名のゆえん

 ロダンという名の元修道士。

 彼は、“はずれ修道士のロダン”という異名を持つ。


 その異名のゆえん。


 それは――。


 孤児として、修道院に併設された孤児院で育ったロダン。彼は子供の頃から記憶力が良く、それは味覚や嗅覚にも及んだ。一度食べた味、嗅いだ匂いを忘れない。食べ物も飲み物も。一口食べれば、使われている材料から調味料まですべて分かってしまう。


 修道院では、孤児院を含め、その維持を貴族の寄付でまかなっていた。しかしその寄付頼みでは、その貴族が寄付を止めれば存続が危ぶまれる。貴族が没落すれば、共倒れになってしまう。


 要するに修道院は、自ら現金収入を得る必要があった。それに修道院や孤児院は自給自足を原則としているが、現金だってないと困る。


 そこで多くの修道院では、パンや焼き菓子を作ったり、薬草を使ったリキュールを製造したりしていた。


 それらを販売し、現金収入を得るのは勿論、貧しい人々や旅の人間への施しにも活用されていたのだ。


 つまり修道院は、そもそも薬草の研究が盛んな場所。そしてロダンは、その記憶力から、薬草の知識が並外れていた。


 その結果、ロダンは副修道院長に二十七歳で抜擢される。もしそのまま副修道院長として功績を重ねれば、修道院長にだってなれたはず。ところがロダンは修道院を飛び出してしまう。


 その理由を本人が明かすことはない。可能性として考えられることはいくつかある。


 修道院は「聖なる祈りを捧げる場」のはずだが、汚職やスキャンダル、腐敗した事件とは無縁ではない。虐待や性的な嫌がらせ、横領や贈収賄といったドロドロした事件も起きている。


 そういったものとロダンは遭遇する機会があり、嫌気がさしてしまったのではないか。


 ともかく修道院を飛び出し、王都のはずれに住み着く。基本は自給自足で、畑などを耕し、生活している。だがやはり、現金は必要。そこでその知識を生かし、薬草を煎じて売るようになったと言う。


「依頼主の情報を口外したり、勘ぐったりすることはないそうです。ですが依頼は対面でのみしか受けないとのこと。相手が貴族でも、従者や侍女からの依頼では受けないそうです。そこは……元修道士であるゆえの、彼なりの美学があるようで……」


 顔の見えない人間は、信頼できない。依頼人の顔はちゃんと見るが、詮索はしないということのようだ。


「分かったわ。ロダンのいる場所へ出向きましょう」


 こうして私は十二月の日曜日。


 大聖堂での祈りを終え、宮殿でブランチをした後、キルリル皇太子の屋敷には戻らず、ロダンの元へ向かった。


 毎週、日曜日に宮殿へ向かうことは、キルリル皇太子も知っている。そして宮殿へ出向いた私に「何時に屋敷へ戻りますか?」とキルリル皇太子が聞くことはない。暗黙の了解で、夕食の席で会いましょう……になっていた。


 それは私が王太子の婚約者であることからの配慮だった。


 しかしレイモンドが私に婚約破棄と断罪を考えていると知ると、宮殿へ出向くことを、キルリル皇太子は心配してくれる。それでも「国王陛下もいる宮殿で、何か起こることはありません」と宥め、これまで通り、夕食までに戻ると約束し、落ち着かせていた。


 よってキルリル皇太子が私を心配し、動くことはないはず。そしてレイモンドはもう私に無関心だろうし、何もしないだろう。


 ということでブランチを終えた私は、「街で下着を買うので、同行するのは侍女のみでいい」とほとんどの護衛の騎士を、キルリル皇太子の屋敷へ戻した。その上でロダンの元へ向かうことにしたのだ。


 一人だけ同行する護衛の騎士は、公爵家の騎士であり、私が幼い頃より仕えてくれている。私にとっての忠臣の一人なので、彼ならロダンの元へ向かったこと、絶対に口外することはなかった。


 こうして王都のはずれへ向かうため、馬車を走らせた。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は17時頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ