表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/122

一瞬の迷い

「ジョーンズ公爵令嬢、カウントダウンのチャリティーコンサートの打ち合わせがあります。三学年合同開催で、放課後、3年C組の教室を使い、行われるそうです」


「分かりました。今日は日直なので、日誌を職員室へ届けたら、直接3年C組へ向かいますね」


「了解です。では現地集合で」


 キルリル皇太子と私は、ボランティア委員として、次なる活動に追われていた。


 十月末の中間(midterm)試験(exam)が終わると、ホリデーシーズン休暇に向け、世の中全体が忙しくなる。


 というのもアルデバラン王国は創建時、初代国王の人気がとても高かった。そのため、法で建国記念日=国王の誕生日と定められた。そして建国記念日、国王の誕生日は国民の祝日となるが、休みが一日なのは、国民としては惜しい。


 そこで国王誕生日&建国記念日の前後の日は「前夜祭」「後夜祭」という名目の祝日になる。しかも祝日が日曜日と重なると振替休日となるのだ。そして今生の国王陛下は12月15日が誕生日。


 本来、ホリデーシーズン休暇は12月20日スタートなのだが、現国王が即位してからは、ほぼ多くが12月15日頃でホリデーシーズン休暇が開始となる。


 学校は独自で休校日を設定できるので、飛び石になる平日を学校指定の休校日にしてくれるのだ。


 ということでカウントダウンコンサートの準備は、試験の返却が終わると共にスタートする。


 さらにホリデーシーズン休暇が早いので、期末(End-of)試験(term exams)も、12月上旬に行われるのだ。


 通常の授業と共に試験対策の勉強を行い、さらに学園主催のカウントダウン・チャリティーコンサートの準備も必要になる。コンサートは、第一部で全学年、各クラスが合唱を披露。そこは合唱コンクール委員とも連動しながら、選曲と練習を進めることになる。第二部は外部からオーケストラを招いての演奏会。そしてこの演奏会の後、パーティーが行われるが、それはパーティー実行委員がいるので、彼らが担当してくれる。


 ということで入学以来の大きなイベントである、カウントダウン・チャリティーコンサートの準備で、まさに忙しくなってきたこの日。


 六限目の授業を終え、日誌を手早くまとめ、職員室へ向かった。


「はい。確かに日誌、受け取りました。ご苦労様でした」


「では先生、これで失礼いたします」


 日誌を提出し、職員室を出た私は、廊下の先で美しいブロンドと碧眼の青年を見つけてしまう。


 レイモンド……!


 もし今、レイモンドが一人なら。

 立ち話になるが、二人で話せるチャンスだった。


 心臓がトクトクと高鳴っている。


 レイモンドへの気持ちは断ち切ると決めたはずなのに。

 彼を見るとすぐにも体は反応してしまう。


 でも……。


 一瞬の迷い。


 それが命取りになることは、前世でも経験していたのに。私が迷っていると「王太子殿下~」と声が聞こえ、ソフィーがレイモンドに駆け寄った。ソフィーがチラリと私を見て、口元に笑みを浮かべる。


 私はソフィーから視線を逸らし、俯き加減で、唇を噛む。


 レイモンドの婚約者は私なのに。どうしてこんなみじめな思いをしないといけないの? ソフィーさえいなければ……。


 どす黒い感情が沸き上がり、私はハッとする。


 リナが悪役令嬢になってしまう心境を体感し、自分でも驚く。


 驚くがその気持ちは分かってしまう。

 好きな相手を奪われるのだ。

 どす黒い感情が芽生えても、仕方ないのでは……?


 顔をあげると、ソフィーとレイモンドの姿はない。


 大きなため息をつき、私は廊下を歩き出す。

 3年C組へ行くために、レイモンドとソフィーが先程までいた場所へ、向かうことになる。


「王太子殿下に、今日はお話があるんです!」


 まさに階段の真下辺りに来て、聞こえてきた声に、ドキッとなる。その場所はそのまま中庭に出られるよう、扉が開け放たれていた。


 どうやらその扉の先、中庭にソフィーとレイモンドがいるようなのだ。


「話……? これからマークの屋敷に、手紙を届けに行くのだろう? 馬車の中ではダメなの?」


「ダメです! だって馬車には私の侍女や、殿下の近衛騎士もいるじゃないですか!」


「それは……つまり二人きりで話したいことがあるということ?」


「そうですよ。たいせ~つな、話、です!」


 ヒロインがレイモンドに何を話そうしているのか。気になる反面、聞かない方がいいと、脳内で信号が点滅している。


「……何かな、大切な話って……」


「ふふ。この言葉、待っていたんじゃないですか~? だって~、とっても重要だから~!」


 足が、足が石になったかのように、動かない。


 本当は今すぐ階段を駆け上り、3年C組へ行くべきと、頭は理解できているのに。


 動けなかった。


「王太子殿下、約束してください」


「……約束? 何の?」


「だからこの言葉を伝えたら、私のこと、抱きしめてくださいね!」

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は18時頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ