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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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満面の笑み

 白布をめくり、中に入ると――。


 昨日と変わらぬ姿でマークが目を閉じ、休んでいる。ベッドサイドには、新たにテーブルが用意され、沢山の本が置かれていた。さらに塗り薬を塗られた腕は、包帯など巻かず、台の上で固定されていた。


「膿はもう収まり、今は看護師さんが、定期的に薬を塗ってくれています。不幸中の幸いなのか、火傷を負った際、神経も焼けてしまい、痛みはないそうです。今のところ、他の感染症になることもなく、回復傾向に向かっている――そう医師から言われました。まだマークは若いので、大丈夫と言ってもらえて、本当に心強いです」


「それは良かったわ」


 聞くとお見舞いで届けたフルーツは、昨晩から今日にかけ、全部食べてくれたという。逆にソフィーが差し入れた、ラム酒に漬け込んだブリオッシュにたっぷりのクリームが載ったスイーツ。こちらはマークは一口で辞退したという。


「王都ではマダム達に人気のスイーツだと言い、ベネット男爵令嬢はお見舞いで持ってきてくれたのですが……。ラム酒がたっぷり過ぎて、まだお酒を飲まないマークには無理だったようです。使用人に食べてもらうことにしたんです」


 これを聞いた私はビックリしてしまう。そのお見舞いの品は間違いなく、ソフィーが独断で選んだものに思えた。


 レイモンドだったら、絶対にお見舞いの品として選ばないと思う。


 なぜならマークはウィスキーボンボンも苦手だった。多分、成人してもお酒は飲まないだろうと私は思っていたぐらいなのだ。そんなマークに、例え貴族のマダムに人気でも、ラム酒たっぷりのスイーツをレイモンドが選ぶはずがなかった。


 それに傷の回復期にアルコールはあまりよくないと聞いた記憶がある。それが前世なのか、この世界なのかは分からないが。


 それでもあえてそのスイーツをお見舞いとして持参するなら、洋酒を控え目にするとか、本人よりも看病する大人に食べて欲しくて差し入れたなどの一言があった方がいいと思うのだ。


 高級なスイーツであることに間違いはなく、人気があるのも事実。だが贈る相手=病人に適切なものだったのかは……ソフィーはよくよく考えるべきだったのでは?と思ってしまう。


 そんなことを考えてしまうが、ひとまず穏やかに眠るマークを見ることが出来た。その一方で、感染症のリスクは常にある。そこで長居はせずに退出し、白衣を脱いでいると、アンジェリーナ王女がこんなことを言う。


「お義姉様もお兄様も。キルリル皇太子も。マークをお見舞いして、匂いが気になるとは言いませんでしたよね」


「ええ、そうね。昨日は少しだけ、匂いを感じたけれど、今日は平気だったわ。膿が収まったからよね。回復しているのだから、良かったわ」


「……昨日、ベネット男爵令嬢はマークのいる寝室に入ると『うわあ、なんか匂いますね! ……ちょっと……気持ち悪い』っていきなり言ったんです」


 アンジェリーナ王女の目が、怒りで少しギラついて見える。


「もし匂いを感じても、怪我をしているのだから、本人を前に言わなくてもいいのに。そう思いました。それに気持ち悪いって……。火傷をしているんです。仕方ないですよね!? あのベネット男爵令嬢は、貴族令嬢としての基本がまったくできていないと思うのですが。どうしてあんな令嬢が学級委員をお兄様としているのか。信じられませんでした」


 これには私もムカムカしてくる。


 ヒロインは天真爛漫というが、それが好ましく受け止められるのは、前世と攻略対象の男子のみだと思う。この世界の価値観からは外れるし、何より失礼だ。


 教室では、さもマークを心配し、名医を見つけようなんて言っているが。本心はそんな風に思っていないのでは!?と思えてしまう。


 ただ単にクラスメイトからの人気集めと、レイモンドと一緒にいるための口実に、マークを利用しているように思えてしまうのだ。


 私が悪役令嬢だからか。ソフィーに対して、一言申したい気持ちでいっぱいになる。


「私、やっぱりベネット男爵令嬢は嫌いです」


「分かるわ。……相手にしないのが一番よ。これからもお見舞いと称し、レイと二人、学級委員として訪ねてくるかもしれない。でもその時、無理にマークに会わせる必要はないと思うの。『今、丁度、眠っているので、ごめんなさい。用件だけ伺うわ』でいいと思うわ。レイはその理由を聞いて『王太子が来たんだ。起こせ!』なんて言うわけがないのだから」


「そうよね、お義姉様。もうマークにベネット男爵令嬢を会わせないようにするわ」


 そこで前室を出て、応接室へ移動すると、美味しそうなスイーツが用意されている。


「お義姉様。さっきはベネット男爵令嬢のことを思い出し、とても不快な気分になりました。でもそれは一旦忘れてください!」


「ええ。それは勿論」


 私が応じるとアンジェリーナ王女は紅茶を出すようメイドに命じ、それが終わると二人のメイド、侍女さえも退出させた。


 これは人払いをしているにも等しい。


 何やらとても機密の高い話を、アンジェリーナ王女はしようとしているのでは!?


 ドキドキしながら対面のソファに座るアンジェリーナ王女を見ると、なんと満面の笑顔を浮かべている!


 これは間違いなく朗報! なんだか私も嬉しくなり、アンジェリーナ王女を見る。すると――。

お読みいただきありがとうございます!

次話は明日の12時頃公開予定です~

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