表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

79/122

それぞれの思い

 クラスメイトの書いた手紙を届けるため、ここへやって来た――そう、ソフィーが告げた。そこでアンジェリーナ王女が「クラスのみんなの手紙」に反応する。


 手紙はマークのクラスメイトの善意の気持ち。

 無下にできるはずがない。


「分かりました。ちょっとマークの様子を確認します」


「アンジェリーナ王女」


 そこでキルリル皇太子が王女に声を掛けた。


「私とジョーンズ公爵令嬢は無事、お見舞いができたので、今日はこれで失礼させていただきます」


「! でもお茶を」


「実はこの後、街でランチをしようとお店を予約していたんです。あらかじめそれを伝えず、申し訳なかったです。ですからこれで失礼させていただきます。レイモンド王太子殿下もいるので、見送りは不要ですよ」


 ランチのお店を予約した……そんなこと聞いていない。ただ、サプライズでこっそり予約していた可能性は……ある。しかしレイモンドのことを気にする発言をキルリル皇太子はしているのだ。


 間違いない。


 先触れもなく現れたレイモンドとソフィーに使用人たちが困惑していると、キルリル皇太子は気が付いている。ゆえにお見舞いはできたので、自分達は帰る。おもてなしは王太子にしてください……ということなのだろう。


 用意したお茶もスイーツも毒味が済んでいるはず。そのまま問題なく、レイモンドとソフィーに出せるはずだ。


「そうだったのですね……。私、お義姉様と」


「アンジェリーナ王女~。王太子殿下が待っているんですよぉ~」


 ソフィーの言葉に、アンジェリーナ王女の表情が硬くなる。


「ベネット男爵令嬢。僕達は急に訪問をしたんだ。そんな風に急かす必要はないよ」


「え~、でも~王太子殿下なのに~。待たせるとか、あり得ないと思ったのですが!」


 稚拙なソフィーの言動は、王太子であるレイモンドの名声を傷つけかねない。少しイラッとし、言葉を出しそうになるのを呑み込む。


 ここで何か言えば、ソフィーは「ジョーンズ公爵令嬢に、王女や皇太子の前で意地悪された!」と言い出しかねない。


「ジョーンズ公爵令嬢、アンジェリーナ王女とはまた別の機会に会うことにして、今日は帰りませんか?」


 キルリル皇太子の提案には同意だ。

 これ以上は見ていられない。


「月曜日の放課後、会いに来てもいいですか?」


「! はい。ぜひお義姉様、そうしてください。……お見送りは……」


「気にしないで。キルリル皇太子殿下と私は帰るだけなのだから。それよりもマークの様子を確認して。レイが来たと知ったら、喜ぶと思うから」


 この言葉にアンジェリーナ王女は「そうですね!」と笑顔になり、再度見送りができないことを詫び、代わりに使用人へ私達の見送りを頼む。そしてこの場にいる全員にお辞儀をすると、前室へ入っていく。


「それではお先に失礼します、レイモンド王太子殿下、ベネット男爵令嬢」


 キルリル皇太子の言葉に、私も一緒に頭を下げる。


「気遣わせてしまい、申し訳ないです」

「いえ、大丈夫ですよ」


 キルリル皇太子とレイモンドが視線を交わした時。以前のような火花が散るような雰囲気はない。


「では行きましょうか、ジョーンズ公爵令嬢」


 自然な流れでキルリル皇太子が手を差し出し、私もそれに応じる。


 エスコートはこの世界でマナー。そしてこの場から立ち去るキルリル皇太子が私をエスコートしてもおかしくはない。でもレイモンドは私がキルリル皇太子にエスコートされることに嫉妬するのでは……?


 そう思ってチラリと見ると、いつぞやかのように、ソフィーがレイモンドの腕に手を絡めた。さらにソフィーが私をじっと見る。声を出さずとも、その意図は伝わってきた。


 こんなことをソフィーは言いたいのだろう。


「そっちはそっちで、美貌のキルリル皇太子とよろしくやっているんでしょう~? だったらレイモンド王太子は私と仲良くしてもいいわよね? 二人のイケメン、手に入るなんて思わないでよ、悪役令嬢さん!」


 まさにそんな心持ちであることが伝わってくる。それはヒロインであるのだから仕方ない。そこはもう、どうでもいい。


 ソフィーからは目を逸らし、代わりにレイモンドを見ると……。


 「えっ!」と声が出そうになり、それは呑み込む。レイモンドはこちらを見ていない。私を残し、キルリル皇太子の屋敷を去った時と同じなの……?


 私はキルリル皇太子にエスコートされている。本音では止めたいが、その行動は子供じみたもの。だからレイモンドは我慢している。キルリル皇太子にエスコートされる私を見ないようにしている……とうこと?


 ヒロインとこの場に現れることになったのは、実に不本意。それでもソフィーはしつこくつきまとうから、やむを得なかったのだろう。同じ学級委員であること、クラスのみんなの手紙を届けるという大義名分をかざされては、「ノー」とは言いにくい。そこに重なる「ヒロインのラッキー設定」、シナリオの強制力、そしてヒロインを応援するゲームの世界の見えざる力。悪役令嬢である私がその力に抗えないように、攻略対象であるレイモンドにもこれらが多大に影響しているはず。


 でも腕を絡めるソフィーに、何も言わない理由は……?

 分かっている。

 それはここがヒロインがレイモンドを攻略するための世界だからだ。私がことごとく断罪回避に失敗したように。レイモンドは、ゲームの世界から全面支持を受けるヒロインから、逃れることはできない……。


「ジョーンズ公爵令嬢、どうしましたか?」


「あ、いえ。行きましょうか。……それでは皆様、ご機嫌よう」


 カーテシーをしてキルリル皇太子のエスコートで歩き出した。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は19時頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ