表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/122

どうして!?

 マークは最後まで元気だった。だが寝室を出て、前室へ戻ると、アンジェリーナ王女が声を殺して泣き出す。


「どうしたの、アンジェリーナ王女様!?」


 アンジェリーナ王女は涙を堪え、「ここでは話せません」と告げた。


 寝室も前室も広々としているが、扉一枚を隔てただけ。寝室にいるマークに聞かせたくないことなのだろうと、すぐにピンとくる。


 キルリル皇太子と顔を見合わせ、白衣を脱ぎ、そのまま廊下へ出た。


「ここでなら話せるかしら?」


 するとアンジェリーナ王女はコクリと頷き、堪えるのをやめた。青い瞳から涙がボロボロとこぼれ、それをハンカチで拭いながら、アンジェリーナ王女が話し出す。


「マークの右腕は……手の、小指と薬指が火傷で癒着してしまったのです。手術で切り離す必要があるそうですが、それは簡単な手術ではないと、医師から言われました。さらに手術が成功しても、ちゃんと指が動くか……」


 それは衝撃の情報だった。

 あんなに元気そうだったのに……!


「順調に回復しているのは事実です。でも……もし手が……乗馬をできるのか。それどころか利き手がそんな状態で、これまで通り、勉強ができるのか……。私のせいで、マークは……」


 私がぎゅっとアンジェリーナ王女を抱きしめた時。


 「え~マジですか~」という知った声が聞こえた。王女を抱きしめたまま、声の方を見て、ビックリすることになる。


 キルリル皇太子の後ろに見えるのは、ソフィーとレイモンド……!


 大きく目を見開く私を見て、キルリル皇太子は後ろを振り返る。


「レイモンド王太子殿下……」


「キルリル皇太子殿下、こんにちは。……やあ、リナ」


「皇太子殿下~、こんにちはー! ジョーンズ公爵令嬢も、どうも!」


 そこでソフィーは「アンジェリーナ王女さま、泣かないでください~」と言うと、私が抱きしめていたアンジェリーナ王女にぎゅっと抱きつく。


「ライト様は大丈夫ですよ! ちゃんとラッキー設定があるはずなんで~」


 ソフィーのセリフには、思わずドキッとしてしまう。しかしアンジェリーナ王女は泣いている最中の突然の出来事だっため、「ラッキー設定」に反応することはない。


 ラッキー設定。それは乙女ゲームのヒロインの「絶対に死なない」「ピンチでも絶対に助かる」と言ったお約束の設定のこと。ソフィーの今のセリフ、それはヒロイン同様、攻略対象の男子にも、ラッキー設定があるということだろう。ゆえにマークの手術は成功し、手は元のように使えると。


 この言葉を理解できるのは私だけだろうし、聞かされたアンジェリーナ王女は理解できない。理解できないどころか、泣いている最中、そもそも聞いていない可能性が高かった。


 しかし本当に前世のこと、乙女ゲームのことを、このヒロインであるソフィーは、平気でベラベラ口にするのね……。


 一瞬、ソフィーの発言にすべて気持ちが持って行かれてしまったが。どうしてレイモンドとソフィーが、二人してここに……!?


「レイモンド王太子殿下もマーク殿のお見舞いに……?」


「そうで~す! クラスのみんなの手紙を届けに来ました~」


 私と同じ疑問を、キルリル皇太子も持ったようだ。そしてレイモンドが答える前に、ソフィーが答えている。


「お兄様、先触れもなく急に来るなんて」


 王太子であるレイモンドの突然の登場に、アンジェリーナ王女の涙も引っ込んだようだ。


「……そうだね。ごめん」


 宰相の使用人たちも少し慌てた様子だ。


 そもそもアンジェリーナ王女が滞在しているだけでも、この屋敷の使用人たちは緊張していると思う。とんでもない賓客なのだから。しかもちょっとお茶をしに来たのではなく、長期滞在が決まったのだ。


 そこへお見舞いと言うことでやってきた友好国の皇太子と、この国の王太子の婚約者。それでも先触れもあったので、もてなし……お茶の用意はちゃんとしていたと思う。ところがそこへ先触れもなく、この国の王太子が現れたのだ。


 驚き、慌てながらおもてなしの準備を……となったのだろう。


 礼儀正しいレイモンドなら、ちゃんと先触れをするはずだ。ソフィーが突然押しかけ、マークのお見舞いに行こうと言い出した可能性が高い……。そしてレイモンドがソフィーに押し切られたのは……それこそ「ヒロインのラッキー設定」と、このゲームのシナリオの強制力が後押しをした結果だろう。ヒロインと攻略対象が共に行動する。ゲームの世界としてはウエルカムの展開なのだから。


 自分が前世でヒロインとしてゲームをプレイしていた時は、このラッキー設定に何度も助けられていた。だが自分が悪役令嬢という立場になると、これはもう「なんて余計な設定!」と思ってしまうし、シナリオの存在が恨めしくてならない。


「クラスのみんなのお手紙、ライト様に届けたいんです~。ダメですかぁ、アンジェリーナ王女!」


 先触れがないことをアンジェリーナ王女が指摘すると、ソフィーはぶりっ子全開で、マークへ手紙を届けたいと主張した。

お読みいただきありがとうございます!

次話は明日の12時頃公開予定です~

ブックマーク登録してぜひお待ちくださいませ☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ