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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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すれ違う

 教室に着くと、心配したクラスメイトが声をかけてくれる。


 これまで挨拶はしてくれるが、何というか敬遠されていた。でも今は違う。王宮の火事を知らない者はいない。


 みんな心配し、声を掛けてくれる。


「おはよう。みんな、昨日は迷惑をかけたね。自身やご両親で困ったことになった人はいないかな?」


 レイモンド……!


 金髪を揺らし、いつも通りのえくぼが浮かぶレイモンドの笑顔だが、そこには少し疲れを感じる。


 その姿に、徹夜で私のボトルシップを直してくれた時のことを思い出す。そんな無茶をしないようお願いしたこともあり、レイモンドはその後、ちゃんと睡眠をとる生活を送ってくれている。


 よって何か普段より激しい運動をしたり、剣術の厳しい特訓があったりした以外で、こんな表情をすることはなかった。でも今回は王宮で火災が起きたのだ。こんな風に疲れていても仕方ないと思う。それでもレイモンドの心労を思うと、胸が痛む。しかも登校したレイモンドは、自分よりクラスメイトの心配を始めたのだ。これには私だけではなく、多くのクラスメイトの心を動かした。


 「王太子殿下こそ、大変でしたよね!」「そうですよ。殿下こそ、大丈夫ですか?」と、みんなレイモンドを気遣う。さらに話はマークに及んで……。


「クラスメイトなんです。みんなでお見舞いに行きませんか!? 学級委員として、先生に提案しようと思います!」


 そうソフィーが言い出すと、みんな「「そうしょう」」と同意する。


「みんな、ありがとう。気持ちはとても嬉しいよ。でもマークはしばらくお見舞いの対応ができる状態ではないんだ。良かったら手紙を書いて欲しい。それは僕がまとめて届けておくから」


 これには皆、マークの様子を心配し、「早く元気になることを願いますわ」「本当に勇敢だな」と同情の声が集まる。そしてここでタイムアップ。担任の教師が教室にやって来たのだ。


 教師はレイモンドと同じように、火事の被害に遭った者がいないかを確認。そこで私の部屋が全焼し、ドレスも教科書も制服も。全部焼けたことが知らされ、クラスメイトは衝撃を受ける。


「ジョーンズ公爵令嬢は、警備体制も整っているキルリル皇太子殿下の屋敷に滞在されています。全てを失うのは大変なことです。彼女が制服を着用していなかったり、一部の課題などが免除されたりしているのはそれが理由です。温かく見守り、必要に応じ、助けてあげてくださいね」


 キルリル皇太子の屋敷に滞在させてもらい、そこに不便はない。それに王家からは白小切手を渡されているのだ。必要なものはこれから買い揃えばいいと思っていたし、自分の部屋が全焼をしたことをクラスメイトに言うつもりはなかった。


 だが学校としては、いろいろ免除されること、キルリル皇太子の屋敷に滞在している理由など、偏見を持たれないよう、話してくれたようだ。その結果。


「ジョーンズ公爵令嬢、ドレス、どうされますか? もし買い物に行かれるなら、お付き合いしましょうか?」


「仕立ての早いお店を知っています。ご紹介しましょうか?」


 休み時間になると、みんなが親切に声を掛けてくれる。これまで何となく距離を置かれていた気がするので、なんだかくすぐったくなる。レイモンドも同じくで、クラスメイトに囲まれていた。さらに昼休みは「王太子殿下とジョーンズ公爵令嬢を励ますために、みんなでランチをしましょう」と、クラスメイトが提案してくれたのだ。


 それは嬉しい提案であるし、みんなの善意はとても有難い。だがしかし。みんなに囲まれることで、レイモンドとはゆっくり話せない。


 ならば放課後!と思ったら……。


「王太子殿下、よろしいでしょうか」


 レイモンドは教師から声を掛けられ、私はクラスメイトと買い物に行くことになり──。


 この状況は翌日も。その翌日も続いてしまう。


 みんなの善意。断りにくい。しかも何というかこれまではきっと、遠慮していたのだと思う。特にレイモンドに対して。


 本当は王太子であるレイモンドと話してみたい。でも彼のそばにはマークと私、キルリル皇太子もいる。気さくに声は掛けられない。きっかけがなければ、話し掛けにくいと思っていたのではないか。


 ヒロインであるソフィーのように、気にせず、臆さず、話し掛けられる貴族の令嬢令息は少ない。でも今回の火災がいいきっかけになったようだ。


 気がつけば昼休みは、レイモンドを囲んでみんなで食べることが当たり前になっていた。そして授業の合間の休憩時間も、恐ろしいほどタイミング合わず、レイモンドと話せない。


「レイ……」


「王太子殿下、ライト様への手紙、みんなの分をまとめました! ぜひこちらを届けてくださいませんか!?」


 ライト様……マークへのお見舞いの手紙のとりまとめは、学級委員であるソフィーがしていた。


 ソフィーは何かとレイモンドに話しかけ、喋るチャンスを得ているのに。私はレイモンドと話す機会を持てないまま、一週間が終わってしまった。

お読みいただきありがとうございます!

【連載1か月記念☆特別更新のお知らせ】

おかげさまで本作は、連載開始から本日で1か月を迎えました! これまで応援してくださった読者の皆さまへ感謝の気持ちを込めて――


本日はもう1話公開いたします☆彡


22時頃公開予定です~

お疲れの方やご予定がある方、ご無理なさらず翌日ご覧くださいませ~

明日は13時頃更新予定です!

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