表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/122

その時何が

 国王陛下夫妻、アンジェリーナ王女の安否を尋ねられたレイモンドが答える。


「ご心配をおかけしました。父上と母上……国王陛下夫妻、アンジェリーナは無事です。ジョーンズ公爵とも宮殿で会いました。彼は消火活動を手伝ってくれていましたが、今は公爵邸に戻ったはずです。そして火の手は宮殿ではなく、王宮であがりました」


 これにはキルリル皇太子と私で「「えっ」」と声を漏らしてしまう。


「アンジェリーナは逃げ遅れ、救出に向かったマークがひどい火傷を負うことになり……。一命は取り留めましたが、マークは右腕を大火傷しました」


 これには大いに驚き、詳しい話をとなり、ダイニングルームの隣室のソファに腰を下ろすことになった。


 キルリル皇太子と向き合う形で、レイモンドと私が並んでソファに座る。すぐにレイモンドのための飲み物が用意され、それを飲みながら、話が再開された。


「火の手は王宮で上がったのですね。火元は分かっているのですか?」


 キルリル皇太子が尋ねると、レイモンドは頷く。


「秋となり、沢山の落ち葉が地面を埋め尽くします。王宮のあちこちで落ち葉を集め、定期的な清掃が行われていました。そして王宮には、王族のみの出入りが許されている、プライベートガーデンという場所があります。プライベートガーデンは、中庭や裏庭と違い、そこまで広くはありません。それでも落ち葉はあります。落ち葉が集められ、それは籠に入れられ、持ち出される手筈になっていました」


 同時にその時間帯は、日没に備え、シャンデリアやランプ、トーチに火をつけ始める。


「僕はマークと共に教室で、ベネット男爵令嬢とリプリー子爵令嬢に、王国史のレクチャーをしました。それを終え、王宮へ戻ることになり、マークと二人、馬車で帰宅している時。鐘の音を聞いたのです。鐘の音で、大規模な火災であると分かりました。でもどこが燃えているのか。マークと二人、一旦馬車から降り、周囲を確認し、煙を視認したのです」


 そこからその方角に何があるか考え、「宮殿では!?」となった。しかしまだ確信を持てない。騎乗で護衛についている近衛騎士を動かし、様子を探らせる。同時に馬車で宮殿を目指すことにした。


 ところがすぐに馬車は足止めされ、近衛騎士から「宮殿で火の手が上がったようです!」と報告を受ける。


「その後は馬車を降り、馬で宮殿まで戻ることになりました。いざという時に備え、抜け道を把握していたので、宮殿に戻ることはできましたが……まさか王宮が火元だったとは」


 レイモンドが大きくため息をつくが、その気持ちはよく分かる。


 私だって五歳の時から王宮に住んでいるが、その管理は徹底したものだった。王宮付きの使用人は貴族令嬢の行儀見習いも多く、身元もしっかりしており、きちんと教育を受けていた。ゆえにいつも王宮は快適な場所に保たれていたのだ。しかも警備兵も沢山いて、安全は確保されているはずだったのに。


「現場近くに行きましたが、火災発生直後の様子は伝聞しただけです。ですがおそらくは、プライベートガーデンの回収予定の落ち葉に、何らかの理由で火がつき、それはあっという間に燃え上がった。火種があるのですから、ものすごい勢いで燃えたのだと思います。すぐに鎮火とはならず、さらに突然の火事に驚いたことで、例えば手にしてたランプを放置し、避難してしまった。そのランプが新たな火種になり……そんな連鎖が起きたのかもしれません。あちこちで火の手が上がり、ボヤでは収まらない火災になりました」


 王宮や宮殿の火災。

 戦時中でもなければ、その原因は火の不始末が多い。そして前世のような科学捜査もできないので、原因の特定は難しいし、誰がその不始末をしたのか。見つけ出すことは無理だった。


 火の手があがれば、まずは鎮火。その後は防火対策をしながらの復旧活動をするしかない。放火であると分かれば、全力で犯人逮捕に動くが、今回の話を聞く限り、火災が起きそうな要因は揃っている。沢山の落ち葉。火を使う時間帯。突然の出火に動揺したことによる人災。不幸な事故による火災だったと思われる。


一時(いっとき)はかなり燃えましたが、消防隊が沢山駆けつけ、警備兵や騎士、男性の使用人も手伝い、皆で鎮火を行いました。ゆえに火の手はほぼ収まりました。ただ再燃のリスクがあるため、現場の確認、入念な水撒きは続けられています。ですがその現場は消防隊に任せ、父上の……国王陛下の許可を得て、ここに来ました」


 そこで言葉を切ると、レイモンドがその瞳を震わせ、私を見る。


「本当にリナが無事でよかった……。宮殿から屋敷へ戻ろうとした貴族の馬車が足止めをくい、火災の混乱に乗じた強盗、令嬢が襲われる事件も起きていると報告もあったので……。すぐに王都警備隊に、治安維持の指示を出したけど、とても危険な状況。リナは馬車で進めないとなったら、きっと徒歩で宮殿へ戻ろうとするのではないかと考え、気が気ではなかった……」


 感極まった様子のレイモンドは、隣のソファに座る私を、再びぎゅっと抱きしめた。その体が震えていることに気付き、ハッとする。


 私の安否を気遣い、無事と分かっても体を震わせているのだ、レイモンドは。


 こんな彼が私を断罪するなんて……。


 とても思えなかった。

 同時に。

 レイモンドの私を思う気持ちに心が打たれ、強く自覚することになる。


 彼のことが大好きだった。どれだけソフィーに脅されようと、レイモンドから離れたくない――と。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は22時頃公開予定です~

お疲れの方やご予定がある方、ご無理なさらず翌日ご覧くださいませ~

明日は8時頃更新予定です!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ