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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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驚く店主

「なるほど。ミニチュアサイズのボトルシップですね。確認しますので、少々お待ちください。あ、店内をご利用でしたね。そのままお席へご案内します」


 こうしてキルリル皇太子と二人、席へ案内され、ひとまずメニューに目を通す。


 昨日来店し、メニューはしっかり見ているが、日替わりのスイーツを確認。今日はイチジクのタルトだったのでそれを注文すると決める。


 飲み物は……となった時、キルリル皇太子が「こんなものがありますよ」と教えてくれたのは……。


「ローズ&ラベンダー・ティー カクテル……カクテルですが、ノンアルコールなんですね」


 私がメニューを見ながら、そう口にすると、キルリル皇太子が頷く。


「はい。この説明によると、アールグレイにアーモンドミルク、蜂蜜を加え、乾燥させた薔薇の花びらとラベンダーの香り付けがされた飲み物のようです。グラスで提供するので、カクテル、としているようですね」


 乾杯をするのだから、グラスで提供は丁度いい。


 ということで、ローズ&ラベンダー・ティー カクテルを注文することにした。


 ひとまず注文も終わり、落ち着いたところで店長らしき男性がやって来た。


「お客様、お待たせしております。落し物の件ですが、確認したところ、ミニチュアサイズのボトルシップは届いておりません」


「えっ!」


「店内を閉店時に清掃しておりますが、その際にも見つかっておりません。これは推測ではございますが、もし店内に落とし、店員より先に他のお客様が見つけた場合……。ミニチュアサイズ。しかもボトルシップとなると、希少であり、高価なもの。もしかするとそのまま拾って持ち帰った可能性も考えられます」


 そう言われると「ああ、そうかもしれない」と納得することになる。


 この世界、私の生きていた前世とは、落とし物に対する考え方が全く違う。高価な落し物があった場合、それを拾った人がネコババすることは、限りなく低い。


 なぜなら貧しい者が高価な物を持っていると、まず盗んだのかと疑われる。転売しようにも通報される可能性の方が高い。通報した方が、褒められる上に持ち主から謝礼を貰えるからだ。


 さらに裕福な平民や貴族が高価な落とし物を拾った場合。それは自身の執事や従者を使い、持ち主を探させることになる。


 貴族は持ち物に紋章を刻んでいることも多いので、持ち主が判明しやすい。さらに店で落とし物に遭遇した場合。そのお店が高級宝飾品店など、信頼にたるお店であれば、店主に見つけた物を預けることもある。だが多くの人々が利用するような飲食店だと、見つけた物を店主に預けるより、一旦持ち帰り、自身の信頼できる執事に持ち主を探させることが当たり前だった。


 貴族は何より名誉を重んじる。見つけた高価な落とし物を、自分の懐に入れるような不名誉な行為はしないのだ。


 稀に金貨など持ち主が特定できない物を懐に収める不届者もいるが、多くの者が、名誉だったり、(しゅ)の教えに従い、正しい行動を取ろうとする──それがこの世界の慣習だった。


「もしかすると王宮に届けられるかもしれませんね」


 キルリル皇太子がそう言ってくれるが、もらったボトルシップに王家の紋章は入っていなかった。王家にかなり近い人間が拾っていれば、王太子であるレイモンドの趣味を思い出してくれるかもしれないが……。


「持ち主をしばらく探し、見つからない場合。帝国では教会に預けたり、帝都警備隊に届けたりします。半年ほど経った時、思いがけないところから話を聞き、無くしたものが見つかる……なんてこともありますよ。アルデバラン王国はどうですか?」


「同じです。持ち主を見つけられない場合、やはり教会や王都警備隊に届けます。忘れた頃に無くし物が見つかったという話は、この国でもよくある話です」


「あ、あの、王宮に……もしや王家の関係者の方ですか!? 毒見は貴族のお客様であれば、されることもあるので、まさか、その」


 店主が少し焦った様子で尋ね、これにはすぐキルリル皇太子が対応してくれる。


「大丈夫です。身分を明かさなかったのはこちらですから。ただ、稀に落とし主が見つからないと、拾ったお店に戻す方もいますよね。もしボトルシップが届けられたら、こちらに連絡をしてください」


 キルリル皇太子は手慣れているようで、皇室の紋章の入った葉書サイズのカードを店主に渡す。そこにはキルリル皇太子のサインも入っている!


「!! な、何と!」


 そこから店主は腰を抜かしそうになりながら、来店の御礼、さらにはボトルシップを見つけられず申し訳なかったなど詫びるなど、大忙し。そうしている間に注文したイチジクタルトとローズ&ラベンダー・ティー カクテルが到着した。


「どうぞ、心ゆくまでお寛ぎください」


 店主は注文品の到着と共に頭を下げ、邪魔者は退散とばかりに去って行く。


「ボトルシップが見つからなかったので、乾杯とはいきませんよね」


「いえ、それとこれは別です。チャリティバザーが成功したのは事実ですから。そこは乾杯しましょう」


 私の言葉にキルリル皇太子は、アイスブルーの瞳を輝かせた。そしてこんな風に言ってくれる。


「チャリティバザーの成功を祝い、そしてボトルシップが見つかることを願い。乾杯」


 「乾杯」と私も唱和し、ローズ&ラベンダー・ティー カクテルを口に運んだ。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は20時頃公開予定です~

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