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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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まさかの一言に

「お義姉様、これ、私の使っていない共布とリボンです。ちょっとした思い出も書き添えてみましたわ」


「ありがとうございます、アンジェリーナ王女!」


 チャリティーバザーに備え、共布とリボンを集めることにしたら、アンジェリーナ王女だけではなく、王妃殿下まで提供してくれた。しかも王妃殿下は思い出を可愛い(ポエム)にして添えてくれているのだ!


 私の部屋にはアンジェリーナ王女と王妃殿下、そして自分で用意した共布とリボンをいれた木箱がいくつも置かれ、賑やかな状態になっている。


「ではお義姉様、私はダンスのレッスンがあるので、これで」


「ええ、練習、頑張って。本当に、ありがとうございます!」


 アンジェリーナ王女が退出したと思ったら、入れ替わるようにして、レイモンドが姿を現わした。


「リナ、明日の準備は順調?」


「はい! この通り。共布とリボンが沢山集まりました」


 部屋に入ったレイモンドは「本当だ。こんなに沢山ある。どれもとても綺麗だね」と木箱を眺めると……。


「あ、これは……」


 ギンガムチェック柄の共布とリボンを手に取り、添えられている思い出の書かれた紙に目を通す。


「覚えているよ、この時のこと。このチェック柄のドレスを着たリナは、お人形さんのように可愛かった。この時は寄港する大型客船を一緒に見に行ったよね。ちゃんと思い出の紙にも書かれている」


 そう言って微笑んだと思ったら。


「あ、これは! リナが着ていたとても大人っぽいドレスの共布だね。あの時は口紅もつけてもらっていた。そんなリナを見て、僕はドキドキしていたな。ふふ。ちゃんとその時のことも書かれているね」


 レイモンドは次々と布やリボンを手に取り、思い出を振り返る。そしてそのブロンドをサラリと揺らし、アクア色の瞳を宝石のように煌めかせた。その眩しさにドキッとしながら「な、何かしら、レイ」と尋ねる。


「リナ」

「はい」

「これ、全部、僕が購入していい?」

「えっ!」


 まさかの一言に目を丸くしてしまう。


「だってこれ全部。僕とリナの思い出が詰まっている。これは……誰にも渡したくない」


「!? で、でも、そうなったら私、明日のバザーで出すものが」


「分かった。じゃあ、お金ではなく、物々交換にしよう」


 そう提案したレイモンドは、私の用意した三つの木箱を手に入れる代わりに……。


「このボトルシップの帆船にはサファイアが飾られている。模造宝石ではなく、本物の。あとこっちは錨が純金なんだ。重厚感があるだろう? そしてこれは帆をシルクで作ってある。東方から取り寄せたシルクで、珍しい玉虫色。光の当たり具合で色が変化して見えるんだ。この三つのボトルシップで交換するので、どうかな?」


「こ、この三つがあれば、屋敷が一つ手に入ると思うわ。私の用意した共布とリボン。それはドレスを仕立てた時におまけでついてくるようなものよ。このボトルシップ三つの価値はないと思うの。それにこんなボトルシップ、いくら裕福な市民でも、一つとして購入できない……。何よりこの三つ、私は見たことがある。最近作ったものではなく、うんと昔に作ったものよね? レイが大切にしているものなのに、バザーで売るなんてできないわ!」


 私の言葉にレイモンドは首を振る。


「まず、リナの用意した共布とリボン。これは確かに物として見たら、ドレスのおまけだ。そこまでの価値にならないというのはその通り。でもこの布やリボンには、リナとの思い出が詰まっている。それは僕にとってプライスレスなもの。このボトルシップ三つで手に入るなら僥倖だよ」


 レイモンドの発言にはもうビックリ!

 続けて彼はこんなことを言う。


「でも確かにボトルシップのそれぞれに使われている素材を考えると、その値段は相当になるのは事実。とはいえバザーだから。そこはお手軽な値段にしていいと思う。確かにこの三つのボトルシップは大切にしている。だけどそれを言うなら、すべてのボトルシップが大切なもの。でもね、この三つには、リナとの思い出はない。リナと出会って以降に作ったボトルシップ。それにはリナとの思い出が詰まっているから、たとえシンプルな木と金属で作ったものでも、絶対に手放したくないと思っているよ」


 ボトルシップの話なのに。後半、私への愛情の強さを表明することになっていた! 控えていた侍女たちはこれを聞き「まあ」とキュンキュンしている様子が伝わってくる。


 レイモンドの愛の深さに、くらくらしながら、なんとか物々交換を完了させた。


 玉虫色の光沢を放つ、帆船の入ったボトルシップと交換した物。それは――新品のレイモンド愛用のグレープフルーツの香りがする石鹸十個、未使用の羽根ペン十本と黒インク十個だ。


 石鹸、羽根ペン、黒インクと、ありきたりのものかと思うが違う。石鹸は非売品であり、特注品。羽根ペンも、使われている羽根はガチョウのものだが、そこには模造宝石も飾られ、市販品とは一味違う! インクも瓶に、王室御用達マークが入っているので大変高級品。どれもその価値を思えば、大変な値になってしまう。


「チャリティーバザーだから、このボトルシップも含め、お求めやすい値段でいいと思うよ。何なら添えられている思い出を見てもらい、買い手に値段をつけてもらってもいいよね?」


 レイモンドは買い手に、とんでもない忖度をさせようとしているのでは!?


 安く手に入れたいが、本人が目の前にいて、そんな安値を言い出せるはずがない。そうなったらその日の最高金額で売れることになりそうだ。


 仕方ないのでそれぞれの品の市場での平均価格を調べ、そこに準じる値段設定で落ち着くことになった。


「でもレイ、こんなに共布やリボンを手に入れて、どうするの……?」


「僕は大量に本を持っているから、ブックカバーをこれで作ってもらうよ。リボンはそのブックカバーにしおりとしてつけてもらう。これで読書をしている時も、リナのことを思い出せる。……あ、でも読書に集中できないかな?」


「す、既に読み終わっている本のカバーを仕立てて!」


「うん。そうしよう」


 レイモンドは従者だけではなく、自身でも大切そうに共布とリボンが入った木箱を抱え、部屋を出て行く。


 その後ろ姿を見送り、思う。

 こんなレイモンドから断罪される自分が、想像できない!と。

お読みいただきありがとうございます!

あま~いっヾ(≧∇≦*)

今宵はラブラブな二人の夢を見られる!?

次話は明日の8時頃公開予定です~

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