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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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叫んだの私だけではない!

「あ、では私はちょっと」

「どこへ行くの、リナ?」


 レイモンドの腕が伸び、私の腰へと回された。ドキッとしている間に抱き寄せられ、そのままストンとレイモンドの膝に座っている。


「レ、レイ!?」

「何、リナ?」

「な、なにって、ここ、学校よ……!」

「だから?」


 品行方正で成績優秀。

 誰もが認める立派な王太子のレイモンドから「だから?」なんて言葉が出るなんて!


 動揺を隠せないまま、なんとか私は言葉を口にする。


「だ、だからって……! 私達、婚約してもまだ結婚していないの。こんなこと、こんなこと……」


「そうか。まだ結婚をしていない……」


 そこでレイモンドはマークを見る。


「王族の結婚は未成年でも許可されていたよね?」


「はい。王族の結婚は政治的な意味合いも強いので、国王陛下が許可し、相手の両親も同意すれば、可能です」


 そこでレイモンドがアクア色の瞳をキラキラさせ私を見る。


「だって、リナ」

「え」

「え、じゃなくて。僕達、しようと思えばもう結婚できるよ。……まあ、それでも準備や招待客へのお知らせもあるから一年後か。一年後に結婚しようか、リナ?」


「「えええええーっ」」


 叫んだの私だけではない。私とレイモンドの様子を見ていたソフィーも叫んでいる。


 叫びたくなる気持ちはよく分かってしまう。ヒロインであるソフィーからしたら、なぜ自分の攻略対象である王太子が、悪役令嬢と嬉々として結婚を口にしているのかと、パニックだろう。一方の悪役令嬢である私だって、ビックリだった。


 郊外学習で直近の記憶を忘れてしまったレイモンドは、ヒロインであるソフィーが登場し、いろいろ画策していたこともすっかり覚えていない。ソフィーは何とか思い出してもらおうと、レイモンドに声を掛けるが、それはどうも逆効果になっている。


「僕には婚約者がいるんだ。学級委員に関することなら対応するけど、それ以外のことは僕じゃなくてもいいよね? 勉強が分からないなら、マークに教えるよう伝えるけど?」


 もうけんもほろろな対応なのだ。これにはソフィーはまさにハンカチに噛みつき、キーッ状態になっている。


 以前のレイモンドであれば、気を遣い、「仕方ないな……」と思いつつ、応じていた。でも記憶を失ったレイモンドは、ソフィーにあまり気を遣うこともない。それにはみんな驚くが、郊外学習の事故が原因で、記憶を失ったこと。みんな知っている。そうなるとこの態度の変容も「仕方ないこと」と、受け止めているようなのだ。


 さらにレイモンドが甘々になっているが、それは何というか、節度ある甘々だった。人前でキスをするわけではなく、ぎゅっと抱きしめるわけでもない。本当に可愛らしく甘える程度なので、皆、文句よりも「あんな風に甘えられる婚約者が欲しいな」という反応につながっているようなのだ。さらに。


「ジョーンズ公爵令嬢があんなに照れるなんて」


「高嶺の花のような存在かと思いきや、あんな風にたじたじになる姿を見ると……。普通のご令嬢なんだなと思えますね」


「これまではなんとなくツンと澄ました印象でしたが、顔を赤くする姿は、年相応なもの。なんだか親しみを覚えます」


 どうやら私は見た目と存在感、さらにはソフィーを避けるようにしていたからか。ツンとした冷たい印象をクラスメイトにもたれていたようなのだ。

 

 ところがレイモンドに甘えられると、もう動揺しまくりで……。クールな私のイメージは完全に崩れた。


 それがいいことなのか、よくないことなのか。それは分からなかった。ただ、今の私の状況を一言でまとめると――混乱している!だ。


 婚約破棄は我慢しても、断罪だけは免れたいと思っていた。生きているのだ。できればそのまま天寿を全うしたい。生存本能で断罪を回避したいと願った。


 だがいろいろとイレギュラーなことが起きている。


 最初はそのことを大歓迎していた。しかし、あまりにも私の知る乙女ゲームのシナリオから逸脱すると……。もはや前世記憶がアドバンテージにならず、何が起きるのかよく分からない状態。


 今回の郊外学習もそうだ。まさかイベントが発生するとは思わないし、ワイルド・ピグに襲われるなんて……。想像すらしていなかったこと。そしてこの世界で重要な人物である王太子であるレイモンドが記憶を失うなんて! ヒロインであるソフィーのことをすっかり忘れているなんて。イレギュラーの度が過ぎる……!


 その上でヒロインの攻略対象である王太子が、悪役令嬢ラブなのだ。この状況をソフィーが良しとしているわけがない。何か起きるのではないか。だがその何かの予想が全く立てられない!


 しかも私は、レイモンドとソフィーが仲良くなりたいならなってもいい……と思っていたのに。勿論、それは辛い胸の痛みをもたらすことではある。それでも生存のために、やむを得ないことと思っていたのに。郊外学習で記憶を失ったレイモンドは、以後ソフィーに見向きもしないのだ。


 このままソフィーに攻略されず、レイモンドと私が結ばれる未来なんてあるのだろうか?


 そんなことを思っている中、その日が近づいて来た。


 そう、チャリティーバザーの日だ。

お読みいただきありがとうございます!

読者様の応援への感謝、GWでもう一話、公開です~

次話は22時頃公開予定です☆彡

お疲れの方やご予定がある方、ご無理なさらず翌日ご覧くださいませ~

明日は8時頃更新予定です!


【ご報告】一次選考、通過しました!

このたび、以下の作品がとあるコンテストで一次選考を通過しました~。


『断罪回避を諦め終活した悪役令嬢にモテ期到来!?

~運命の相手はまだ原石でした~』

└イケメンからモテまくる悪役令嬢の私が選んだのは、まだ原石の彼だった! ハラハラドキドキ、感涙のクライマックス。そして断罪の運命からは逃れられない……と思ったその時!? ハッピーエンドです!


『聖女ではありませんでしたが、

聖騎士様に溺愛されそうです』

└聖女ではないのに魔物が見えてしまう少女アリーと、

生命力で魔物を倒す美青年聖騎士ランスの、波乱万丈な旅路が今始まる――。ちなみにその生命力、性的興奮で高まるって……!? じれじれ溺愛、糖度高め回あり! もちろん溺愛エンドです!


日頃から応援してくださる皆さまのおかげです。本当にありがとうございます。受賞できるかは分かりませんが、これらの作品を通して、何かをお届けできたら嬉しいです。


ページ下部のバナーにも、この二作品がございます。

作品が多いので、ギャラリー感覚で眺めていただき、もしまだ読んでいない方がいらっしゃれば、ぜひこの機会にのぞいていただけたら嬉しいです!

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【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

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