表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

58/122

このまま断罪前に

 落下する瞬間。


 もううんざりしていた。悪役令嬢、最後は窒息死する運命で、どうせ死あるのみ。ならばちょっと早まり、二階から一階へ落ちてもいいよね?とゲームの世界が言っているように思えたのだ。


 ここが魔法と剣の世界なら、浮遊魔法で事なきを得る奇跡もあるだろう。もしも落下するのがヒロインだったら、絶対に死なないという設定により、何らかの奇跡が起きる。つまりは九死に一生を得るだろう。


 だが私は悪役令嬢。このまま断罪前に死亡か、断罪どころではない大怪我を負うかもしれない。そう思うと無性に腹が立ち、何とかできないかと目をカッと見開いたら――。


 目で認識するより先にグレープフルーツの香りを感じ、そして大きな衝撃を受ける。しかし体のどこかに激痛が走ることはない。


 代わりにぎゅっと抱きしめられ、爽やかな香りに胸が躍る。


「ギリギリセーフだったかな。でも驚いた。気絶しているのかと思ったら、急に目を開けるのだから」

「レイ……」


 エントランスホールの床に、レイモンドに抱きしめられ、転がっていると理解した。そこに足音が聞こえ、様々な声に取り囲まれる。


 もうダメかと思ったのに。

 私はレイモンドに抱きとめられ、一命を取り留めていた。


 ◇


 洋館に突如現れたワイルド・ピグは、意識を失っている間に山の近くまで運ばれ、そこで放たれることになった。


 このワイルド・ピグから私を救い出してくれたレイモンド。地下にいたはずのレイモンドはどこからどうやって現れたのか?


 ソフィーと共に朽ちた床が抜け、地下に落ちることになったレイモンド。意識を取り戻した後、一階へ戻ろうとした。ところが地上へつながる階段を上り切ると、そこにある鉄製の扉は鍵がかかっており、開かない。もう一つ扉を見つけ、開けようとするが、そちらも施錠されており、内側からは開けられなかった。つまり踊り場が家具で溢れていた階段の先には、やはり扉があり、そこは鍵がかかっていたわけだ。


 一階へ出る二つの扉は閉ざされている。


 そこでレイモンドは全く違う発想をすることになった。一階へ出るのではなく、()()に出る方法を考えたわけだ。


「地下室というのは、建物内ではなく、屋敷の敷地に、つまりは外へ出られる構造になっていることも多い。ワインセラーなどがある場合は特にそうなる。購入したワインを荷馬車からおろし、そのまま地下室へ運びやすくするために。そういった地上へつながる階段やスロープがないか探したら、見つけることができた」


 ちょうどワイルド・ピグが現れた時に「バンッ」と大きな音がしたが。あれはまさに地下からレイモンドとソフィーが出てきた瞬間の音だった。屋敷内同様で扉に鍵はかかっている。だがその扉は屋外にあり、雨風にさらされているのだ。室内に比べると、鍵が錆びており、開けやすい可能性が高い。


 そこでレイモンドは思いっきり扉を蹴り、鍵を破壊し、地上へ出ることに成功した。成功したが、そこでワイルド・ピグに狙われている私に気が付く。慌てて私を助けるため、ワイルド・ピグがひるむよう、石を鼻めがけて投げつけたと言うのだ。


「鼻はイノシシの弱点でもある。大きな石で一撃で狙うのは難しい。でも小石をいくつも連続で投げれば、どれか一つは命中する。今回、鼻だけではなく、目にも直撃していたようで、逃げる時間を稼げたと思う」


 そうレイモンドはサラリと話したと言うが……。


 咄嗟の判断、俊敏な動き、冷静な行動。

 そのどれ一つとっても実にお見事!だった。


 こうして自力で地下からソフィーを連れて脱出し、さらにはワイルド・ピグに襲われそうになった私を助け、朽ちた手すりのせいで落下した私のことを受け止めたレイモンド。この世界のヒーローとして、完璧な動きを見せてくれたと思う。さらにはこんな事態も起きていたのだ。それは……。


「ソフィー・ベネット男爵令嬢? 知らないな」


 レイモンドはなんと地下に落ちた際、頭は打っていないのだけど、心因的な原因なのか? 直近の記憶を失くしており、どうも王立アルデバラン学園へ入学して以降の記憶があやふやになっていたのだ……!


「嘘ですよね、王太子殿下! わ、私のこと……」


「申し訳ないな。君が誰なのかさっぱり分からない。一緒に学級委員をやっていた……らしいけれど……ごめん。まったく覚えていない」


「そんな……!」


 私が身を引くようにした結果。ソフィーはレイモンドに近づき、いろいろ画策していたと思う。ぶりっこアピールをしたり、ボディタッチをしたり、甘えるようにしたり……。それらにより、レイモンドの中で、ソフィーへの好感度がどれだけ上がっていたかは分からない。だが分かっていることは一つ。いくら好感度を上げていたとしても、今回リセットされてしまったのだ。一からやり直しというわけ。


 ヒロインにとってはかなりアンラッキーな事態だが、私には嬉しいことでもあった。なぜなら郊外学習の間、私はレイモンドを避けるような態度をとっていた。それはそうしようと思ったわけではなく、ついそうしてしまったことで、私の意図するところではない。無意識についしてしまったこととはいえ、私の行動は、レイモンドを傷つけていたと思うのだ。それを忘れてもらえたことは……私にとってはかなりラッキーに感じられた。


 そんなこんなで、いくつものハプニングに見舞われることになったものの。そして三番目のチェックポイントへの到着時間は大幅に遅れたものの、問題はちゃんと解くことができた。さらに昼食は駆け足で食べ終え、お土産タイムはほぼなかったが、体験教室にも参加。


 なんとか郊外学習を、無事に終えることができた。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は13時30分頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ