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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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冷静に

 クライシス・マネジメントを学んでいたことで、気持ちを落ち着ける重要性に気が付くことが出来た。


 危機に対処する時に一番重要なこと。それは冷静でいることだ。


 現状、救助要請と安全確認が同時進行中。状況が確認出来次第、救助活動を始めることになる。それを踏まえ、すべきことは――。


「お話の最中、申し訳ありません」


 キルリル皇太子と教師の会話がひと段落つきそうなタイミングだったので、私は声をあげた。すると私が王太子の婚約者であると分かるので、男性教師もちゃんと話を聞いてくれる。「ジョーンズ公爵令嬢。どうしましたか?」と。


「この目で確認したわけではないのですが、王太子殿下に目立つ外傷はないそうです。ですが見えない場所や内臓などに怪我をしている可能性もあります。救助後、一番必要になるのは医師による診察です。医師の手配をお願いできないでしょうか」


「なるほど。それはそうですね。分かりました。すぐに手配しましょう。わたしは一旦、この場を離れますが、皆さんは大丈夫ですか?」


 私の提案に即答した教師に、今度はキルリル皇太子が応じる。


「ええ。そこは心配に及びません。ここには近衛騎士もいますし、私も剣術の腕に覚えはあります。ともかく他の生徒を動揺させないよう、郊外学習は続けてください。山火事が起きたり、襲撃犯が現れたなら、即刻中止でしょう。ですが今起きている問題は、ごく一部の生徒に起きたこと。大事にはせず、落ち着いて対処しましょう。パニックが起き、大騒ぎする生徒が現れると収拾がつかなくなります」


 彼もまたクライシス・マネジメントを学んでいるのだろう。落ち着いて対処しようとしているのが分かる。


「分かりました。皇太子殿下の判断を支持します。わたしの方で、他の教師と連絡をとりつつ、医師を手配します」


 教師が応じ、私が声を上げる。


「もし家具をどけるのであれば、人出が必要ですよね。ここで近衛騎士の方は私達を護衛しているより、現場に行けば動ける。私達は洋館で待機するのでどうでしょうか?」


 私の案にキルリル皇太子は「そうですね」と応じ、洋館へ私達が向かうことについて考える。


「床板の朽ちたエリアに行かなければ……。とはいえ、洋館は建物それ自体が古いので、リスクはゼロではありません。よって洋館の中ではなく、エントランス付近で待機であれば問題ないかと。近衛騎士一人を残し、後のメンバーは救助活動に参加できます」


「まあ、それでしたら私も家具の撤去活動を手伝います!」


 メアリー子爵令嬢が先程の挽回とばかりに口を開くと、キルリル皇太子がストップをかける。


「リプリー子爵令嬢。君では重い家具を動かすことはできません」


「えっ……!」


「ひとまずわたしと一緒に次のチェックポイントへ向かいましょう、リプリー子爵令嬢」


 せっかく協力を申し出たのに、キルリル皇太子と教師に反対されたメアリー子爵令嬢は、不満そうな顔になる。だがすぐに「仕方ないですわね」と応じたのは、家具を運ぶなど非力な自分では無理だと最初から分かっていたからだろう。だが自分も役に立ちたいとアピールしたかった……といったところか。


 こうして皆が動き出す。


「なんでジョーンズ公爵令嬢は洋館へ向かうのですか!?」


「彼女は王太子妃教育の中で、クライシス・マネジメントについても学んでいるのでしょう。とても冷静で建設的な判断ができています。何よりレイモンド王太子殿下の婚約者です。関係者として洋館へ向かいます」


 キルリル皇太子にこう言われたメアリー子爵令嬢は、口をへの字にする。だが教師に促され、共に次のチェックポイントへ向け、歩き出す。


「それでは皇太子殿下、ジョーンズ公爵令嬢、洋館へ向かいましょう」


 近衛騎士に促され、私達も洋館へ向かい、移動開始となる。


 近衛騎士隊長は、自分達以外の救助活動者が来ることを見込んでいたようだ。自身が進む際に、草を踏みしめ、剣で落としながら進んでくれていた。さっきとは違い、草むらはかなり歩きやすくなっている。


 こうして洋館に到着すると……。


 遠くでパッと見た限り、新しく見えた。だがよく見ると、窓がひび割れていたり、割れているところもある。石壁にもヒビが入っていたり、ペンキが剥げている箇所も見えた。これを見て思うのは、廃屋であると分かるし、普通なら中へ入ってみようとは思わないということだ。


 メアリー子爵令嬢は、キルリル皇太子になぜ洋館の中に入ったのかと問われた時、こう答えたと言う。


「ソフィー嬢は『ウサギがいる!』と言っていました。ウサギが洋館の中に入って行ったので、それを追うため、中に入ることになったのですが……。確かに森の中でウサギを見かけました。でも洋館の中に入ったのかは分かりません。私としては洋館はなんだかボロボロですし、入りたくなかったのですが、ソフィー嬢は気にすることなく、どんどん行ってしまうので……」


 こうしてソフィーは廊下のある場所で立ち止まる。壁には大きな絵が飾られており、それはこの洋館の持ち主と思われる家族の肖像画。その絵が飾られた壁の下に穴が開いており、そこにウサギが入って行ったとソフィーは主張したという。


 そしてそこにレイモンドが現れ「この洋館は古い。あちこち朽ちていて、危険だ。今すぐ、出た方がいい」と伝えたが、ソフィーはウサギがこの穴の中にいるといい、動こうとしない。そこでレイモンドがソフィーのそばに向かい、その穴を確認しようとしたところ……。


 床が崩れ落ちたというのだ。


 この話を思い出し、実際の洋館を見た私はハッとすることになる。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は13時頃公開予定です~

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