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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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誤解されている!

 私が鞄から取り出した懐中時計を見たレイモンドは、驚きの表情になった。


 でもそうなるのもよく分かる。


 ターコイズやブラックオニキスが埋め込まれ、全体がゴールドなのだ。値が張るものと一目で分かるし、懐中時計とは思えない程、装飾性も高かった。


 私は取り出した懐中時計を侍女へ渡す。身を乗り出した近衛騎士が、侍女から懐中時計を受け取る。動いている馬車で身を乗り出したりは危険。ゆえに侍女、近衛騎士を経由し、レイモンドの手に懐中時計が渡った。


 カチッと蓋を開け、文字盤を見たレイモンドは「美しい……蓋と同じターコイズも埋め込まれている」とため息をつく。


「インデックスの字も女性が喜びそうな秀麗なもの。何よりサイズも小ぶりだから、女性が片手で持ちやすい。きちんとした懐中時計だけど、装飾性も高いデザイン。これは……当然か。ノースアイスランド帝国の皇太子が選んだ贈り物として、完璧だ……」


「そうよね。キルリル皇太子殿下にはちゃんと御礼の言葉を伝えたわ。でも改めてギフトも贈ろうと思うの。羽根ペンと紫のインクを贈ろうかと」


 この世界でインクの色は黒が主流で、それ以外の色は高価であり、希少なものが多かった。特に珍しいとされるのが紫。原料となる貝の産地が限られ、生産量も限られている。最も高価とされているゴールドのインクに対し、抜群の希少性を誇るのが紫のインクだった。


「紫のインクと羽根ペン……それが妥当だろうね。これだけの懐中時計ともなると」


 レイモンドはそう言うと、懐中時計の蓋を閉じ、近衛騎士に渡す。


「しかし参ったな」

「え?」

「これ程の懐中時計を贈るなんて。変な噂が立つかもしれない」

「!?」

「そもそも懐中時計なんて高価な品、そう簡単に贈ったりしない。しかもこれだけの懐中時計を異性に贈る……贈られた相手は、特別な相手と思われても仕方ないよね」


 ここでハッとした私はレイモンドの誤解を解くため、口を開く。


「キルリル皇太子殿下は、ベネット男爵令嬢のことが気になっているのだと思うわ。さっきもレイとベネット男爵令嬢が二人でいるのを見て、とても切なそうな表情をしていたし」


「……そうかな? あの表情はリナに向けられたもののように思えたけど」


 やはり。誤解されている!


「そんなことはないわ、レイ! 初対面から楽しそうに話し、すぐに仲良くなったのよ、ベネット男爵令嬢とキルリル皇太子殿下は。今日も二人で帰宅することになったじゃない!」


「それは……そうだけど……」


 そこでレイモンドはこんなことを言う。


「ベネット男爵令嬢が見せてくれた懐中時計は、真鍮製だった。エナメルでカメリアの花がデザインされ、パッと見は華やかだけど……。サイズは小ぶりで、ペンダントトップとしても使えそうだった。女性が喜びそうなものではある。でもリナの懐中時計とは、比べ物にならないよ」


 これにはもう驚くしかない。でもレイモンドが想像するようなこととは絶対に違う。


「私は王太子であるレイの婚約者であり、公爵令嬢よ。公爵令嬢と男爵令嬢。同じランクの贈り物というわけにはいかないと思うわ」


「それは……一理ある」


「それに頂いたこの懐中時計、学校に持って行くつもりはないわ。学校には鐘があり、時計も設置されている。よってどんな懐中時計を私が贈られたかは、他の生徒が知ることはない。変な噂なんて、立たないわよ、レイ!」


 とても真剣にそう言い切ると、レイモンドはそんな私を見て、「そうか……でもそれだけじゃないんだけど」とため息をつく。


「それにノースアイスランド帝国とアルデバラン王国は友好国。その関係性を壊すような行動を、キルリル皇太子殿下がするわけがないと思うの」


 私の言葉を黙って聞いているレイモンドだが、そのアクア色の瞳は納得しているようには思えない。それに気付いてしまうと、なんだか焦った私は余計なことを言ってしまう。


「ベネット男爵令嬢はエントランスホールで、レイの腕に触れていたわ。未婚の男女の接触は好ましいことではないのに。婚約者同士でもそれは本来、控えた方がいいこと。でもレイは」


「リナ」


 凛としたレイモンドの一言に、私は口を閉じる。

 言わないでいいことを口にしたと改めて思い、彼の目を真っ直ぐに見ることが出来ない。


「ベネット男爵令嬢のことだけど、リナは避けているというか、接点を持たないようにしていない?」


 これはまさにその通りなので、ギクリとしてレイモンドのことを見てしまう。レイモンドは何とも言えない表情で私を見て、そしてこんなことを言い出す。


「ベネット男爵令嬢にとってリナは、家格が上になる。よって彼女からリナに話し掛けるのは、遠慮してしまう部分があるのだろう。勿論、リナは挨拶とか、貴族令嬢としてのマナーや礼節は保っている、ベネット男爵令嬢に対しても。でももう少し、気に掛けてあげてもいいのでは? それは些末なことでもいい。『今日の宿題、難しそうね。ベネット男爵令嬢は大丈夫? 一緒に解いてみない?』とか、そんなことでもいいと思う。もう少しだけ、彼女と仲良くした方がいいのでは?」

お読みいただき、ありがとうございます!

次話は明日の8時頃公開予定です~!

ブックマーク登録してぜひお待ちくださいませ☆彡


明日からは平日となるため、更新は通常ペースに戻ります。仕事との兼ね合いもあり、無理せず確実にお届けしたいと思っていますので、引き続き応援よろしくお願いします!

またGW後半に入ったら、増量更新で頑張ります(≧∀≦)

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