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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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もしやゲームの……

 馬車には私の侍女、レイモンドの護衛騎士も同乗し、向き合う形で着席。ゆっくりとエントランスを出発した。


 キルリル皇太子は自身の専属の護衛の騎士を連れ、ソフィーの馬車に乗り込んだ。


 そうすることをソフィーが提案したところ、キルリル皇太子自身も「レイモンド王太子殿下とジョーンズ公爵令嬢のお邪魔をするわけにはいかないので」と冗談っぽく言うと、その提案に応じた。


 思いがけず、馬車の中でレイモンドと二人になれた。侍女と護衛騎士がいるが、二人とも信頼できる人間。キルリル皇太子のことを話したとしても、それを不用意に誰かに話すことはない。話すとしたら国王陛下に求められた時だけだ。


 それが分かっているので、誤解を早速解く話し合いを始めても良かったのだけど……。


 それよりも大いに気になることが、最後の最後でヒロインであるソフィーからもたらされた。それは……ソフィーがレイモンドのことを「レイモンド王太子殿下」と呼んでいたこと。


 「レイモンド」「リナ」と呼べるのは、婚約者同士だけ……そう宣言していたはず。それなのにどうして……。しかもソフィーに対し「ファーストネームで呼ぶのは止めて欲しい」と言うこともなかった。


 それだけではない。


 ソフィーがボディタッチ……その腕に触れたのに、何も言わなかった。些末なことだが、レイモンドがソフィーに宿題を教えていたことも初耳。それは私がキルリル皇太子とボランティア委員として活動することになり、教室でわかれた後、ソフィーから声をかけられ、決まったことかもしれない。そうだったとしても、なぜマークがいないのか。ゲームの世界に定められたシナリオ通りではなく、イレギュラーな言動をするレイモンドなら、急に宿題の手伝いをすることになったとしても。相手が令嬢であろうと、令息であろうと、マークを同席させたと思うのだ。


 マークは何か予定があって、先に帰った?


 それはないと思う。例え教師に呼ばれても、マークはレイモンドを優先したと思うのだ。マークにとってレイモンドは全てにおいて最優先の存在だったはず。そしてマークがそういう行動をしても、教師だって「それならば仕方ない」になると思う。


 そんなマーク抜きで、レイモンドとソフィーが二人きりで宿題をしたのなら……。そうなるよう、レイモンドはマークに命じたはず。


 学級委員として放課後ソフィーと打ち合わせする時はそうしていた。話すべき内容も決まっていたし、それ以外を話すつもりはない。だからレイモンドはマークを無理に同席させなかった。


 だが宿題となると話は違ってくる。


 雑談をすることになるかもしれないし、早々に終わり、何か誘われる可能性もあるわけだ。私の知るレイモンドならマークも一緒に残るように()()()はず。それをしていないということは……。


 ここにきてレイモンドは遂に本来の姿に戻ってしまったのではないか。ヒロインであるソフィーに攻略される王太子レイモンドに。だから「レイモンド王太子殿下」と呼ばれても、否定しなかった。ボディタッチされても、文句を言わなかったのでは……?


 ゲームのシナリオによる強制力。

 それは……唐突にその言動を変えてしまうの……?


「マークは今日、縁談相手とお茶会だったんだ」


「え、そうなのですか!?」


「本人としては希望していない相手で、お断りするつもりだからとずっと黙っていたらしいよ」


 なるほど。それだったらマーク抜きでソフィーと宿題は……仕方なかったかもしれない。


「マークもいないし、ベネット男爵令嬢から宿題で聞きたいことがあると言われた時、断りたかったけれど……。クラスメイトだしね、彼女は。それに周囲に他の生徒もいて、断りにくい状況だった」


 この世界、絶対王政というわけではない。王家だからと言って、何でもかんでも意のままにというわけではなかった。数の多い貴族を敵に回すのは得策ではない。


 王太子であるレイモンドがソフィーに宿題を教える流れは、クラスメイトの視線もあり必然だったと理解できた。


「それととてもつまらない賭けを、ベネット男爵令嬢としてしまった。どうやら彼女は僕のことをファーストネームで呼べないこと。根に持っていたようだ。『コイントスでもし私が言い当てたら、三日間。ファーストネームで呼ばせてください。負けたらこんな賭け、二度と提案しません! お願いします』と。なんでそんな賭けに応じる必要が?と思い、断ろうとした」


 そこでレイモンドは大きくため息をつく。


「だが教室にはまだほとんどの生徒が残っていて……。これまた無下にしにくい状況。そこで仕方なく、応じることになった。でもコインなんて僕は持ち歩いていないから、ベネット男爵令嬢が持っていたコインを使った。特にコインを確認したりもせず、とっとと終わらせたい……という気持ちで挑んでしまったけれど……。それがよくなかったのかもしれない」


 ソフィーが表面を選び、レイモンドは「では僕は裏面でいいから。早く投げて」となった。そして出た面は表面だというが……。


 王太子であるレイモンドがコインを持っていない可能性は高い。それに多くの生徒がいる中、レイモンドがソフィーの持ち出したコインをきっちり確認することはないと、予想は立てられる。


 もしかすると、何か小細工をしたコインをソフィーが使った可能性は……ゼロではない。


 そんなことをするなんて……と思ってしまうが、ヒロインであるソフィーからしたら、王太子攻略ルートの世界なのに、イレギュラーなことばかり起きているのだ。何とか今の状況を打破したいと、彼女なりに動いた可能性は……ゼロではない。


 「なんだか今日はついていないよ」とレイモンドが笑うが、いろいろと謎は解けた。


 レイモンドがついていないと感じる事態になったのは……ヒロインであるソフィーが画策し、それをゲームのシナリオの強制力が後押した……とも言える。マークが今日に限って縁談相手とお茶会なんて、まさに後押しだろう。


 ソフィーにからめとられるようにして宿題を教え、コイントスをして負けて、名前で呼ばれることになったレイモンド。まさに踏んだり蹴ったりの状況だったので、どうやら腕に触れられたことは……気付いていないというか、それ以外のダメージが大きくてスルーしてしまったように思える。


「ところでリナ。ベネット男爵令嬢は、キルリル皇太子殿下から贈られた懐中時計を僕に自慢するように見せてくれた。リナも彼から懐中時計をプレゼントしてもらう約束をしていたよね?」


「あ……はい。そうですね」


 ここでもらった懐中時計を見せないと、ただでさえ誤解しているレイモンドがさらに勘違いするかもしれない。そこで私はキルリル皇太子からプレゼントされた懐中時計を取り出した。

お読みいただき、ありがとうございます!

本日も読者様への感謝&GWで、もう1話公開です☆彡

明日からまたお仕事という読者様もいると思うので

次話は19時頃公開予定です~

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