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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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放課後のカフェテリア

 ヒロインであるソフィーと同じチームになることで、郊外学習の話し合いは、なんだかハラハラドキドキしてしまった。


 ただ、ソフィーは日曜日のお茶会の時と違い、自己アピールもするが、とても謙虚になっている。謙虚過ぎて、自身を卑下するところが気になるが、そこを指摘したらソフィーがどんな反応をするか分からない。


 触らぬ神に祟りなしとは前世でよく言われていること。特に絡む必要がなければ、ソフィーには関わらないようにしようと思った。


 実際、ソフィーは自ら私に絡んでくることはない。ただ、レイモンドやキルリル皇太子には自ら話し掛ける。でも私が気付く範囲、それは恋愛とは無関係な、郊外学習のことだったり、勉強のことだったり……。


 悪役令嬢である私とソフィーの接点があれば、それは嫌がらせをした、意地悪をしたと言われかねない。だが何ら接触がなければ、嫌がらせも意地悪もしようがないし、傍から見ても、何もしていないと分かるだろう。


 それに郊外学習については行き先もチームも、それぞれの希望する体験教室も決定していた。美術館との交渉も終わり、学級委員であるレイモンドとソフィーが放課後、共に残って何かする……という回数は明らかに減っている。


 むしろ郊外学習の次のイベントとなるチャリティーバザーの件で、キルリル皇太子と私が放課後、一緒に動く機会が増えていた。


 そう、そうなのだ。


 この日も放課後のカフェテリアでキルリル皇太子と私は打ち合わせだ。


 近くの席から「孤児院を訪問し、学生たちから集めた本を手渡しして、朗読するのはどうでしょうか」という声が聞こえる。ボランティア活動は一年生から三年生まで、毎年この時期に行われていた。


「チャリティーバザーだと、屋敷にある不用品を持ち寄り、時計塔広場で販売する……というのが過去に何度か行われています。広場を管理する王都整備局へ申請を出し、広場でバザーをやる許可をもらえれば、スムーズに実施できそうですよ」


 キルリル皇太子は、持参した過去の校内新聞を見せてくれた。


「そうですよね。基本はそれでいいと思うのですが、いつもと同じではなく、少し工夫があったらいいなと思うのです」


「工夫……。それは具体的にはどんな? ジョーンズ公爵令嬢は、キャビアや発酵キャベツの、我が帝国にはない食べ方を提案してくれました。手紙を書き、母国へ知らせたところ、その食べ方は大人気になっています。今回のチャリティーバザーも、ジョーンズ公爵令嬢らしい色に染めるというわけですね?」


 キルリル皇太子がアイスブルーの瞳を輝かせて私を見る。


「そんな期待されるようなものではないですよ。本当に思いつきなんですが……物語を添えてはどうかと」


「物語、ですか?」


「はい。例えば私が子供の頃につけていた、大きなリボンの髪飾りをバザーに出すとしますよね。それがただバザーのテーブルに置かれていたら『子供がつけるリボンの髪飾りね』で終わると思うんです。ですがもしそこに『この髪飾りをつけて、お姫様ごっこをして遊びました。この赤いリボンと模造宝石で、とても華やかな気持ちになれます。外食やお誕生日会などこれぞという日にいかがですか』みたいな、その髪飾りの思い出の物語をつけるんです。すると『今度、お呼ばれのお茶会があるから、その時につけて行きましょうか』と利用シーンが浮かび、購入意欲も沸くと思ったのです」


 私の提案を聞いたキルリル皇太子は「なるほど。それは面白いですね」と同意してくれる。


挿絵(By みてみん)


「例えば『このコンソールテーブルの脚に傷がありますが、これは僕が五歳の時の身長を記録したものです。この僕の記録を超えるぐらい、元気に成長してください』なんて思い出が添えられていたら、ただの傷ではなくなりますね。傷も含め、なんだか楽しそうと思い、購入したくなりますね」


「はい! まさにそんなイメージです。それに今回は皇太子殿下や王太子であるレイの思い出の品もバザーに並ぶ。王都民は気になると思います。どんな思い出の品なのか。それにそれが皇太子殿下や王太子の品であるなら、ぜひにと購入してくれそうです」


 これには「それだったら公爵令嬢の品も大人気ですよ」とキルリル皇太子は笑う。そしてこんな風に言ってくれる。


「そうなるとバザーに持ち込む品も、不用品ではなくなりますね。大切な物だったけど、新たな持ち主に使って欲しい物が、販売される場になりそうです」


「はい。あともう一つ案があるんです」


 「何でしょうか」とキルリル皇太子がワクワクした表情で私を見てくれる。


「貴族の庭園で咲く花は、平民の皆様からすると、手が届かない花であることも多いと思うのです。そもそも王都で、平民が庭を持つなど難しい。郊外で土地があっても、そこに咲くのは野の花。そして街中の花屋が扱う花は、貴族の庭園で育てるまでもない、まさに気軽に手に入る花ばかり。そこでこのバザーで、生徒の屋敷の庭園から持ち寄った花を販売しては?と思ったのです。まさにこのバザーでしか手に入らないと、注目を集めると思います」


「素晴らしいアイデアですね! ぜひ花も持ち寄るようにしましょう! そして今回のバザーは新聞社に連絡を取り、記事にしてもらえないか聞いてみるのはどうですか? 思い出を添えた品、貴族の花が手に入る。どれも記者が興味を持ち、記事にしてくれると思います」


「いいと思います! 新聞に載れば、王都から離れた街からも、足を運んでくれるかもしれません」


 お互いに名案を出せたと、思わずハイタッチをしてしまう。するとそこでキルリル皇太子が「ジョーンズ公爵令嬢に渡したい物があります」と言い、鞄から取り出したのは――。

お読みいただき、ありがとうございます!

リアルタイム読者様、今日も一日

本当にありがとうございました。

ゆっくりお休みくださいね☆彡

次話は明日の9時頃公開予定です~!


ちなみにコンソールテーブルは挿絵のようなテーブルのことです~

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