表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/122

ホワイトホール

 馬車から降りた私達は、そのまま入学式の会場となるホワイトホールへ向かった。


 このホールで行われる卒業式に付随する舞踏会の場で、私は婚約破棄と共に断罪される。だが断罪が行われる場とは思えないほど、ホワイトホールは明るく輝いていた。


 というのもホワイトホールはその名の通り、床も壁も大理石で、天井には天上の世界を描いた絵画で埋め尽くされている。豪華なシャンデリアがいくつも吊るされているが、明かり取りを兼ねた窓が天上近くに幾つもあり、昼間はそこからの採光で、ホール内は十分に明るい。


 一階席に生徒、二階席に父兄。


「一年A組はここだね。席は特に決まっていないけど……」


 王家の紋章のついた布が、四つの椅子の背もたれに掛けられている。


 間違いなくこれは、王太子であるレイモンド、キルリル皇太子、マーク、そして私のために確保された席だろう。この紋章を見て、この席に座ろうとする生徒はいないのだから。


 さらに言うならこの四人席の周りの椅子にも、まだ誰も座っていない。それなりの爵位の令嬢令息が来るまで、この周囲の席に座る者はいない……と、何も知らなければ思うだろう。


 だが違うのだ。


 ヒロインであるソフィー・ベネット男爵令嬢は、この世界のルールに疎い。そして「あ、空いている席がある!」と、この四人がいる席の後ろに堂々着席するのだ。


 そして──。


 私達四人が着席し、マークが「こんな演台の目の前の席を確保しなくても」と言ったその時。


「ぎゅるるるる〜」


 お腹の虫が鳴く音がした。

 それは後ろの席から聞こえてくるもの。

 それはゲーム通りの流れだった。

 すなわち、ヒロインが登場する……!


「わぁっ、私ったら! 寝坊して朝食を抜くと、ダメね」


 明るいこの声。

 そう、これこそがヒロインのソフィーだ。


 ここで攻略対象の男子陣は全員一斉に振り返り、ソフィーを見る。そしてここは王太子攻略ルートの世界。こんなにも堂々とお腹の虫を鳴かせるソフィーに興味を持った王太子であるレイモンドが、ソフィーに声を掛ける。


「君、朝食を摂らずにここへ来たの?」と。


 そして今、実際に――。


「君、朝食を摂らずにここへ来たの?」

「リナ、僕のスピーチの時は、ちゃんと僕を見ていて」


 ここで私は「ううん!?」と思わず声が出てしまう。


「どうしたんだい、リナ? そんな声を出すなんて」


 レイモンドはサラサラの前髪を揺らし、優雅に微笑む。本来なら今、まさに、ソフィーとの談笑が始まるはずなのに。


 驚いて様子を探ると、キルリル皇太子が後ろを向いている。ソフィーは一人でレイモンドの後ろの席に座っているから、キルリル皇太子がソフィーと話しているので間違いない。


「リナ」

「は、はいっ!」

「キルリル皇太子殿下のことが気になるの?」

「ち、違いま」


 いきなりレイモンドに顎くいをされ、心臓が止まりそうになる。


「リナ。僕が緊張しないよう、スピーチの時は、僕のことを見て。僕もリナを見ながらスピーチするから」


「レ、レイは緊張しないんじゃないの!?」


 思わず声が震えてしまう。


「なんだ。バレちゃったか。リナには僕だけを見て欲しくて、ね」


 そこで笑い声が聞こえる。

 キルリル皇太子とソフィーが談笑しているのだろう。


「リナ」

「!?」


 チュッという可愛らしい音に、頰にキスをされたと気がつく。


「リナ、君は僕の婚約者なんだよ。忘れないで」


 おかしい!

 どうなっているの!?


 頰にキスをされたドキドキの事態よりも、ゲームのシナリオとは異なる進行に私がパニックになっている。


 ヒロインのソフィーはキルリル皇太子と話し、王太子であるレイモンドは私に婚約者であることをアピールしたのだ。


 何が起きているのか、理解できない……!


 だがそこで入学式の開始を告げるアナウンスが行われる。


 隣に座るレイモンドが、膝に載せていた私の手をギュッと握った。


 ◇


 入学式でソフィーはレイモンドではなく、キルリル皇太子と知り合うことになった。だがソフィーと私達はクラスが同じなのだ。入学式の後、教室へ移動すると……。


 ゲームのシナリオでは、ソフィーがレイモンドの隣の席になる。


 前世と違い、席は大学のように、講義机と椅子になっている。一人ずつのテーブルと椅子ではない。三人掛けの席で、シナリオ通りならソフィー、レイモンド、私が着席となるが……。


 キルリル皇太子とソフィーが横並びで座っている。そしてレイモンド、私、マークの三人で座ることになった。


 この時点でまだ、ソフィーとレイモンドは会話していない。


 こんなこと、あり得る……?


 とんでもないイレギュラーな事態だと思う。


 そこでもしやと考えることになる。


 レイモンドは本来、ヒロインであるソフィーに告げる言葉を私に伝えたり、剣術ではキルリル皇太子に勝っている。イレギュラーを彼が引き起こしたことで、この世界は通常の王太子攻略ルートから変わってきているの……!?


 もしそうなら、私は婚約破棄されず、断罪もされないで済むかもしれない。


 しかし。


「レイモンド王太子殿下、こちらのソフィー嬢も、一緒でいいですか?」


 入学式の後、休憩なしで、一人三分の自己紹介タイムがあった。それが終わると昼休みに入る。それに合わせ、キルリル皇太子が、ソフィーを含めたみんなでランチをすることを提案した。

お読みいただきありがとうございます!

もしもリアルタイム読者様がいたら……

本当に遅くまでありがとうございます!

ゆっくりお休みくださいませ!良いGWを☆彡

次話は明日の9時頃公開予定です~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ