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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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最後の最後で

 このままでは再びレイモンドが、キルリル皇太子に翻弄されてしまう。


 そう思ったが……。


 なんとレイモンドは、キルリル皇太子の動きに合わせるかのように、自身も動き始めた。


「動きを合わせている……いや、次の動きを予想もしていますね! ほら、見てください。殿下は、キルリル皇太子殿下の動きを誘発するような動きをしています!」


 マークの言う通りで、レイモンドはあえての一歩を踏み出す。するとキルリル皇太子は予想外の動きをとったかのように見えたが、レイモンドは見切っていたようだ。キルリル皇太子による逆手の突きの攻撃をかわし、そのまま一撃を叩き込む。


 この一撃は、キルリル皇太子にとって想定外。レイモンドの剣を弾き返すも、同時に自身が体勢を崩すことになる。


 その一瞬にできた隙を、マスターの称号を持つレイモンドが見逃すわけがなかった。


 剣で打つようにして、キルリル皇太子の脇腹を狙う。


「ヒット! 王太子殿下に3ポイント」


 ソードマスターの声にドッと騎士達が沸く。


 その歓声が起きている間に、レイモンドが二撃目の攻撃を行っていた。先程の脇腹への打撃で、キルリル皇太子の動きは鈍っている。二撃目の突きは、盾で防ごうとしたが、その防御は甘く、レイモンドの剣は――。


「ヒット! 王太子殿下、胸への突きの攻撃で4ポイント!」


 いきなりの連続攻撃での7ポイント獲得に、騎士達が立ち上がり、声援を送った。膠着状態が続いていたので、ここにきて一気に盛り上がることになる。


 だがキルリル皇太子は後退し、レイモンドと距離をとろうとしていた。しかし今度はこれまでとは逆だ。レイモンドが踏み込み、斬りかかる。これを自身の剣で避けたキルリル皇太子の腕に、レイモンドの剣が叩き込まれた。


「ヒット! 王太子殿下、1ポイント」


 そこでキルリル皇太子が歯を食いしばるようにして、レイモンドへと突きの攻撃を行う。だがレイモンドは見事に盾で防御を行った。


「防御成功で王太子殿下に加算1ポイント」


「流れが、流れがお兄様に向かっているわ!」

「勝てます、これなら勝てますよ!」


 アンジェリーナ王女とマークが興奮しているが、それは騎士達も同じ。


「踏み込め、殿下!」

「殿下、突きのチャンスです!」


 皆がレイモンドの背を押すような声援を送る。


 ここはキルリル皇太子にとっては、アウェイゲームのようなもの。自身が不利な中、レイモンドへの声援が高まると……。


 どれだけ冷静にしていようとしても、焦りへとつながる。そこでレイモンドは「挽回するなら今では?」と示すがごとく、迎え撃つ体勢になった。


 これまでの冷静なキルリル皇太子なら、ここで予想不可能な動きをしただろう。だがそうせずに、踏み込んで行ったのは――。


 時間。


 間もなく制限時間の五分が経とうとしている。このままではキルリル皇太子は無得点で終わってしまう。起死回生で最後の斬り込みに賭けたわけだ。


 だがそれは――例え利き手ではない左手で剣を手にしていても。マスターの称号をレイモンドは持っているのだ。


 こんなに分かりやすく動けば……。


 レイモンドの剣が、キルリル皇太子の剣を振り払う。


「! キルリル皇太子殿下の手から剣が!」


 マークが叫び、騎士達もドッと沸く。


 剣が宙を舞い、キルリル皇太子は残された盾で防御を試みるが――。


 これがマスターの動き。


 電光石火の勢いで間合いを詰め、盾をかわす。


「ヒット! 肩、2ポイント。ヒット、胸、4ポイント。そして時間です。両者、離れて!」


 最後のラッシュでの攻撃に、騎士達は拍手喝采。


 圧倒的な力の差を、最後の最後で見せつけ、ハンデで利き手を封じていたレイモンドが圧勝した。


「お兄様、すごいわ!」「殿下、流石です!」


 アンジェリーナ王女とマークが抱き合って喜んでいる。だが騎士達もお互いに抱き合い、大騒ぎ状態。二人を指さし「未婚の男女が何を抱き合っているのですか!? しかも王女様に!」とはならない。


 ここは私も気持ちとしては、レイモンドに抱きつきたくなっている。


 だって、これぞイレギュラーの極み!


 私の知る乙女ゲームの展開では、キルリル皇太子と決闘のような戦いを繰り広げたレイモンドは、負けているのだ。それなのにこの世界でレイモンドは、キルリル皇太子に勝利を収めている。しかもハンデを自ら負い、左手で戦って。


 ヒロイン登場前の模擬戦。

 もしやノーカウントなの? だからこの世界もこのイレギュラーを認めたのかしら?


 ともかくレイモンドの勝利への、純粋な喜びだけではない。このゲームの世界で起きた最大級のイレギュラーにも興奮していた。


 その一方で、ソードマスターの指示の元、一度は離れたレイモンドとキルリル皇太子が歩み寄り、握手を交わしている。そこで二人が何かを話していると気付いた私は……。


 観覧席を離れ、思わず二人の方へと歩いて行くと。


 私に気付いたレイモンドの碧い瞳がキラキラと輝く。しかも!


「リナ!」


 私の名を呼んだレイモンドは、その両腕を大きく広げていた。

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は19時頃公開予定です~

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