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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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ルールはルール。

「もしこれが模擬戦ではなく、実戦だったら。戦場だったら! 皇太子殿下は武器を失い、心臓を一突きされているのです。生きていません! でもこれは模擬戦です。ポイント先取で王太子殿下は勝者にはなれませんでした。でも本当は……!」


 マークはレイモンドの忠臣であり、彼をリスペクトしていた。そしてマークの言う通りで、これが模擬戦だからこそ、キルリル皇太子の勝利となる。だが実力は互角であり、戦略も共にあった。それにポイント先取制ではなかったら、勝者はレイモンドだったのだ。


 とはいえ。

 ルールはルール。

 仕方のないこと。


 審判の集合の合図の下、レイモンド、キルリル皇太子、アンジェリーナ王女、マーク、そして私、馬上槍試合を観覧していた馬術教官が集合した。


「では王女殿下。一言どうぞ」


 審判がアンジェリーナ王女に声を掛ける。


「馬上槍試合。模擬戦とは思えない素晴らしさでした。この模擬戦を制したのはキルリル皇太子殿下です。とても素晴らしい結果でした」


 アンジェリーナ王女の言葉に、キルリル皇太子は優雅にお辞儀して、レイモンドは唇を噛み締めている。


 たかが模擬戦。


 でもレイモンドは王太子であり、皇太子に負けたことは……立場上、とても悔しいのかもしれない。


 戦略としては間違っていないし、ポイント先取制ではなかったら勝っていた。それにマークの言う通り、戦場だったらレイモンドに軍配は上がる。そう励ましたいところだが……。


「先程、馬術披露について、教官と話しました。速歩(トロット)駆歩(カンター)襲歩(ギャロップ)の基本の動き、そして障害飛越(ショージャンピング)。こちらのポイントとトータルで、今回の馬術について、勝者を発表したいと思います」


 そこでハッとしたのは私だけではない。

 レイモンドも同じ。

 馬上槍試合の勝者はキルリル皇太子だった。

 だが馬術についてのトータルの評価は……。


「詳しい加点はこちらの紙に記載されているので、見ていただくことにして。もうすぐ昼食になるので、結論を先に申し上げます」


 アンジェリーナ王女が、馬術教官が記載したポイント表をマークに渡す。受け取った表をレイモンド、キルリル皇太子も覗きこむが、アンジェリーナ王女はそのまま話を続ける。


「結論として、キルリル皇太子殿下と、お兄様は同点です! そこで総合優勝者については、二人を同点勝者とみなします!」


 これを聞いたマークは、ポイント表を宙に放り投げ「殿下、おめでとうございます!」と抱きつく。これにはレイモンドは驚き、苦笑しながら「ありがとう」と応じる。キルリル皇太子はポイント表をキャッチし「なるほど。基本の動きは同点。障害飛越は王太子殿下の方が、加点が高かったのですね」と呟く。


「ということで、お約束通り! 優勝者へのキスを行います!」


 これをアンジェリーナ王女が宣言した瞬間。

 マークが残念そうな顔をする。


 それを見た私は思う。


 ここは王太子攻略ルートの世界。マークはレイモンドの幼なじみであり、当て馬でもない。ゆえにレイモンドを盛り立てる役目はあるものの、強制される強い役割があるわけではなかった。


 だからなのか。


 マークはやはり間違いない。アンジェリーナ王女に恋をしている。よって優勝者へのキス。同点優勝のキルリル皇太子とレイモンドはもらえても、マークはもらえない。それが残念でならないのだろう。


「ほら、お義姉様もこちらへ来て!」


 アンジェリーナ王女に促され、思い出す。

 通常、勝利のキスは主催者サイドの一番高位な身分の女性が行う。ゆえに勝利のキスはアンジェリーナ王女が行えばいいが……。王女は「優勝者にはお祝いのキスをプレゼントいたしますわ! お義姉様と私で!」と言っていたのだ。


 そう、私も勝利のキスをすることになる……!


 ヒロインでもないのに。

 攻略対象のキルリル皇太子とレイモンドにキスをするなんて!


 ここにきて、心臓が早鐘を打つが、落ち着いて、私。


 キスといっても頬へのキスだ。チークキスなら挨拶としてしている。そこのほんの延長。まさにバードキスを頬にして終了だ。それは一瞬の出来事ですぐに終わること。


「おめでとうございます、キルリル皇太子殿下!」


 早速、アンジェリーナ王女がキルリル皇太子の左頬にキスをしていた。


 それはやはりバードキスで瞬時に終わる。そしてアンジェリーナ王女が私に目配せをした。次はお義姉様ですよ!と。


 ここは余計なことは考えず、サクッと済ませよう!


 心臓のドキドキは聞こえないふりをして、向き合ったキルリル皇太子にニコリと微笑む。


「おめでとうございます、キルリル皇太子殿下」


「ありがとうございます、ジョーンズ公爵令嬢」


 背伸びをして、キルリル皇太子の頬に顔を近づけると、腰を優しく抱き寄せられる。


 驚きながらの右頬へのキスは、バードキスではなく、しっかり唇を押し当てるような状態に。


 さらにキルリル皇太子が、私の背に腕を回そうとしている――!

お読みいただきありがとうございます!

次話は明日の7時頃公開予定です~

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