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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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勝利は誰の手に?

 甲冑に兜、マントで騎乗したレイモンドとキルリル皇太子は、本当に見惚れるような勇姿をしている。彼らを乗せる愛馬たちも、心なしか鼻高々に見えた。


「各々、位置についてください」


 審判を務める教官の声に、レイモンドとキルリル皇太子は左右に分かれて移動を開始。長い柵で仕切られた広場で、二人はその端に到達すると、向き合う形になる。


 審判は白い旗を手に前へ出た。


「10ポイント先取で勝者とします。勝敗がつくまで模擬戦を繰り返す。では『始め!』」


 右手の拳を自身の左胸にあてた審判は、下におろしていた旗を左手で大きく振り上げる。白い旗がはためき、レイモンドとキルリル皇太子を乗せた愛馬たちの疾走がスタート。


 地面を蹴り上げる蹄で、土埃が舞う。

 あれだけ距離をとっていたのに、もう二人は至近距離で対峙する状態に。


 鈍い音が響き、お互いの盾に槍の先端が命中。互いのヒットの威力は相当なようで、人馬共に絶妙な塩梅でバランスを維持しながら駆け抜ける。そこでキルリル皇太子が槍を馬丁に渡し、審判に見せた。槍の持ち手部分が折れたわけではないが、槍頭が無くなっている。


「皇太子殿下の槍は、槍頭が破損しているので、加算となります。よって皇太子殿下は盾への命中で2ポイント、槍の破損で1ポイント、合計3ポイントです。王太子殿下は盾への命中で2ポイントとなります」


 審判の声が響く。

 観覧するアンジェリーナ王女と私は息を呑む。

 いきなり1ポイント差がついたが、巻き返しは十分図れる。

 むしろ今は1ポイントの差よりも……。


「お義姉(ねえ)様、見事でしたね。迫力がすごかったですわ!」

「ええ。盾の中央にお互いに命中した瞬間、鳥肌が立ったわ」


 最初の手合わせ。

 これはお互いの力量を様子見だった。

 しかし次は変化が起きるはず。


 ということですぐに新しい槍を手に、二人はそれぞれ位置につく。


「引き続き、第二試合。両者、位置について」


 そこで先程と同じように、審判が白旗を振り上げる。


「は、速いわ!」


 アンジェリーナ王女の言う通り。


 一度目の手合わせで、互いの力量が分かっている。二試合目はまるで「早く勝敗をつけよう」とばかりに二人は馬を走らせる。


 あっという間に二人の距離は縮まり、クロスポイントに到達。


 キルリル皇太子の方がわずかだが先に槍を繰り出した。その槍をレイモンドは見事に自身の盾の中央で受け止め、同時に。自身の槍を繰り出している。


 バキィッ。


 木が砕ける音が響き、キルリル皇太子の盾の一部が粉砕。一方のキルリル皇太子の槍は折れている。


「皇太子殿下、盾への命中で2ポイント、さらに槍が折れたことによる加算で1ポイント、合計3ポイントです。王太子殿下、盾への命中で2ポイント。盾の粉砕による加算で、2ポイントで、合計4ポイントです!」


「すごいわ、お兄様!」


 アンジェリーナ王女が私の手を握る。


「あれは殿下の策ですね。槍の突きのタイミングをずらし、盾の中央からずれた場所を突くことに成功しています。馬上槍試合で使われる盾は、実戦とは違い木製。理由は簡単なこと。騎乗で繰り出される槍は、馬の威力も加わり、その衝撃は100キロ近くになることもあります。それを金属製の槍で受け止められると、その衝撃を腕も受けることになる。槍の威力を吸収するため、盾は木製が採用され、あえて砕けやすい構造にしています。それでも中央に槍が当たると、その衝撃は均等に伝わる。中心点からずれる、つまり槍の進入角度が斜めになることで、盾は砕けやすくなります」


 私達と一緒に観覧するマークが、分かりやすく解説してくれた。

 ちなみに盾の粉砕は、相手の防具を破損したことになる。それだけの威力と技術、さらには実戦で考えれば敵の防御力を落とすことになるので、ポイント加算の対象だった。


「ねえ、キルリル皇太子も、お兄様も共にトータルで6ポイントよ。もし次でどちらかが胸当てに命中させたら、一気に10ポイントで……10ポイント先取になるわ!」


 興奮したアンジェリーナ王女は、椅子から立ち上がっている。

 もはやどちらが勝利してもおかしくない状況。

 まさにハラハラドキドキの第三試合だ。


「では第三試合を始めます。両者位置について。……『神が共にあらんことを』」


 審判の言葉に合わせ、振り上げられる白旗。

 全力疾走で駆ける馬。

 槍を手にしたレイモンドとキルリル皇太子。


 この第三試合。

 決着がつく可能性が高い!


 静かなる闘志のぶつかり合いの瞬間が、すぐに訪れる。


 先程と同じで、先にキルリル皇太子が槍を突き出したが、盾の中心部をずらした位置を狙っていた。レイモンドはすぐに気が付き、自身の盾を持つ位置を調整。同時に槍を突き出す。


 キルリル皇太子は盾の端を狙い、粉砕を狙ったのだろうが、そのことで隙ができた。レイモンドは胸当ての位置を狙い、槍を突き出した。


 バキッ!


 レイモンドはキルリル皇太子の胸当てに槍を命中させたと思う。その一方でキルリル皇太子は、盾の端を狙ったがそこを外してしている。しかし胴体に当てたと思うのだ。しかもキルリル皇太子、レイモンド、共に槍は折れていた。


「これはどういうことかしら!?」


 アンジェリーナ王女が私とマークを見る。


「これは……審判に委ねられると思います。ほぼ同時に思えましたが……」


 そこで審判の凛とした声が響く。


「皇太子殿下、胴体への命中で3ポイント。槍が折れ、1ポイント加算。王太子殿下は胸当てへの命中で4ポイント、さらに槍が折れて1ポイント加算です」


 既にお互いのスタートポイントまで戻り、そこで馬を止めた二人に馬丁が近づく。レイモンドとキルリル皇太子も審判の方を見ている。


「この模擬戦では、ポイント先取制。皇太子殿下は第一試合で3ポイント、第二試合で3ポイント、そして第三試合で4ポイントです。一方の王太子殿下は第一試合で2ポイント、第二試合で4ポイント、そして第三試合では5ポイントを得ていますが……」


 そこで審判が一度言葉を切る。


「皇太子殿下の槍がわずかな時間差で、先に王太子殿下に命中しています。よって先に10ポイントを先取したのは、皇太子殿下。つまり勝者はキルリル皇太子殿下です!」

お読みいただきありがとうございます!

本日もよろしくお願いいたします☆彡

次話は19時頃公開予定です~

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