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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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23/122

優勝者にはお祝いの●●を!

 レイモンド、キルリル皇太子、そしてマークが速歩(トロット)駆歩(カンター)襲歩(ギャロップ)障害飛越(ショージャンピング)、槍試合の模擬戦を行うため、馬場(ばば)へやって来た。


 周囲に柵があり、アンジェリーナ王女と私はそこで観覧することになる。あらかじめ予定していたので、天幕が用意され、そこに置かれた椅子に座って見ることが出来るようになっていた。


「なんだか正式な競技大会の観覧に来たみたい」


 準備するレイモンド達を眺め、アンジェリーナ王女がそう口にする。


「そうよね。ちゃんとお茶菓子も用意されているし、飲み物も出してくれるのだから」


「こうなったら、アレもやらないとでは?」


「!」


 アンジェリーナ王女が言う「アレ」とは馬術競技大会で定番の優勝者へのキスだ。主催者サイドの一番高貴な身分の女性が、優勝者へお祝いのキスをするのは……この国の伝統。それを踏まえ、主催者はよく自身の娘を連れて行く。妙齢な令嬢であれば、その勝利へのキスをきっかけにその優勝者と婚約へ至ることもある。さらに幼い娘であれば、微笑ましい光景として新聞の一面を飾った。


 だが今回、もし優勝者へお祝いのキスをすると伝えたら、大変なことになるのでは!?と予感された。


「アンジェリーナ王女、それは」


「みんな~、聞いてください! 優勝者にはお祝いのキスをプレゼントいたしますわ! お義姉(ねえ)様と私で!」


 ちょっと待った!を掛けたかった。でも既にアンジェリーナ王女は宣言してしまった。そしてこの発言を聞いた令息陣は……。


 レイモンドはその碧い澄んだ瞳を輝かせる。キルリル皇太子は口元にフッと微笑を浮かべた。さらにマークはメガネをくいっとあげ、キリッとした表情へ変わった。


 その後、自然と三人はお互いの顔を見合わせることになる。


 ここは立場的にマークは忖度し、勝利はお二人のいずれかに譲ります……という姿勢を見せてもおかしくない。だがそのマークが視線を伏せることもなければ、レイモンドもそれを良しとしている。そのレイモンドと視線をぶつけあったキルリル皇太子の目力は……。もう一触即発な雰囲気で、ドキドキしてしまうが。


「なんだかみんながやる気で、私もワクワクしちゃうわ!」


 アンジェリーナ王女はまるで競馬場にいるように興奮している。一方の私はこの展開に、ワクワクよりもハラハラ。


 だが――。


「ではまずは軽く、乗馬の基本である速歩、駆歩、襲歩を披露しよう」


 レイモンドの合図で、馬術の披露がスタートする。


 一番手はマーク。


 本人の自己申告で「乗馬は得意ではない」ということだったけれど……。


「問題ないですよね、お義姉様!?」

「ええ、基本の動きとして完璧だと思うわ」


 そこで気が付く。


 アンジェリーナ王女と私のそばに、馬術教官がいる! しかもちゃんと動きの採点をしているのだ。

 

 そんな本格的な状況の中、続いてはキルリル皇太子。


「お義姉様、あの速歩のリズムは完璧ですわ!」


「バランスもよく取れているわね。馬の姿勢もそうだけど、キルリル皇太子殿下の柔軟な動きも、まさに人馬一体」


「駆歩も息が合っていますわね。皇太子殿下の手綱さばきと、足の動きの連動性もお見事だわ!」


 その後の襲歩は、そのスピードもさることながら、馬の安定性も称賛に値するもの。


 マークの時は「基本に忠実」であることへの拍手だったが、キルリル皇太子には「上級者の完璧な馬術」への熱心な拍手になっていた。


「次はお兄様ね」


 レイモンドは自信に満ちた表情で、アンジェリーナ王女と私を見て一礼した。さらに馬術教官にもお辞儀し、自身の愛馬にも軽く触れ、「頼んだよ」と声を掛けている。その動作の一つ一つが洗練されており、さらに騎乗した姿は……。


「なんだかお兄様のあの姿、そのまま銅像にできそう」


 アンジェリーナ王女の指摘には思わず笑ってしまうが、絵画にして階段の踊り場の壁に、堂々と飾りたくなる姿勢の良さだ。


「トロット」


 レイモンドが愛馬に、声と手綱と脚で合図を出す。

 馬は二拍子のリズムで走り出す。


「推進力があるのに、馬の姿勢が崩れないわ。さすがお兄様!」


「レイの指示が的確に馬に伝わっているからね。それにその指示も、馬のコンディションや性格を踏まえている。馬も気持ちよさそうに走っているわ」


 レイモンドと愛馬の相性の良さは、駆歩でもより一層際立つ。


「見事に三拍子のリズムに乗った走りね!」


「馬のスピードに合わせ、ちゃんと姿勢を保持している。それに愛馬の肢の推進力の移動が、とってもスムーズ。レイの出す指示のタイミングが、馬の力の移動と、見事にシンクロしている結果ね」


「お義姉様、見て! ものすごい疾走感! 見ていて爽快だわ!」


 駆歩に続く襲歩は、レースを見ているように興奮してしまう。


 スピードが出ても、馬もレイモンドも姿勢が崩れない。レイモンドが速度に負けない安定感を見せるので、馬も安心して駆けることができている気がした。


「さすが王太子殿下だ」

「指導者になれるレベルですね」


 馬術教官達が自然とそう言ってしまうぐらい、レイモンドの今の馬術披露は素晴らしいもの。教官達を唸らせ、「観客の心を躍らせる馬術」には賞賛の拍手が沸き起こった。

お読みいただきありがとうございます!

今日も一日お付き合いいただき、心から感謝です。

次話は明日の7時頃公開予定です~

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