表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/122

一味違う王都のバカンスシーズン

 ジェラートでなぜかレイモンドとキルリル皇太子が競って以降。


 不思議な攻防戦は続く。


 九月の学園の入学式まで、キルリル皇太子をもてなす役目は、レイモンド、アンジェリーナ王女、私が国王陛下から請け負った状態。マークも何気に巻き込まれている。


 ゆえにこのバカンスシーズンの予定が次々と立っていく。


 と言ってもその予定、王侯貴族が日常楽しむようなものとはちょっと違う。


 なぜならば。


 基本的にこのバカンスシーズン、王都の多くの貴族たちが避暑地へ向かう。つまりは夏でも過ごしやすい土地へ移動してしまうので、王都は閑散とする。オペラや演劇、演奏会の大きな公演は減り、代わりに避暑地の都市で特別公演が行われるのだ。


 それでも王族が王都にいるので、宮殿では晩餐会や演奏会などはちょいちょい行う。それに王族も地方までは行かないが、王都郊外の宮殿(夏の離宮)に数週間滞在。リフレッシュしながら政務を行ったりする。


 ということで王都と言えば、華やかなオペラや舞台、演奏会を楽しみにする貴族も多い。だがバカンスシーズンはむしろ地方の方が、そういった娯楽は充実する。


 ゆえにキルリル皇太子をもてなす予定も……。


「キルリル皇太子殿下。今日はみんなで馬術を楽しみませんか。まずは令嬢達と共に宮殿の庭園で馬での散歩。その後は令息たちで速歩(トロット)駆歩(カンター)襲歩(ギャロップ)障害飛越(ショージャンピング)、その後は……槍試合の模擬戦など、どうですか?」


 速歩・駆歩・襲歩は、馬術における馬の動きの基本になる。


 文字通りのスピードによる走らせ方の違いになるが、速歩は通常より勢いよく、リズミカルに走る走法。駆歩は速歩より速度も増し、さらに軽快に走らせることになる。人馬ともにバランスをとりつつ、ダイナミックな動きを求められるのだ。


 襲歩は全速力で走るため、瞬間的なとても速いスピードとパワーが必要となる。騎乗者と馬の息が合い、集中力とタイミングが試される走法だった。そして障害飛越は、障害物となるバーなどを、飛び越えることだ。さらに槍試合とは、この世界では通常、騎乗で行う。つまりは馬上槍試合の模擬戦のことになる。


 レイモンドが朝食の席でこの提案をすると、国王陛下は「ほう、それは面白そうだ」と言い、キルリル皇太子を見た。


 するとキルリル皇太子はアイスブルーの瞳を煌めかせ微笑む。


「いいですね。王太子殿下とはいろいろ手合わせをしたいと思っていました。まずは馬術と槍ですか。私は目隠しをした上で、騎乗の槍の訓練もしていました。よって殿下を楽しませることができるかと」


 これを聞いた私は「目隠しをした訓練!?」と声にこそ出さないが、ビックリしてしまう。きっとレイモンドも驚いていると思ったら……。


「なるほど。目隠しですか。奇遇ですね。僕は夜間訓練を行っていました。月明かりや星明りのない、極力闇夜の晩に馬を走らせ、クインテインを使った槍の練習をしていたんですよ」


 クインテインは槍の「突く」の訓練に使われる物。的を槍で突くと、的が回転し、砂袋の重りによる攻撃が行われる。これを避けることで、反射神経を鍛えるのだけど……。それを暗闇の中で訓練していたって……!


 キルリル皇太子の目隠しに驚いたばかりだが、レイモンドの闇夜のクインテイン訓練にも驚愕してしまう。


「二人ともとんでもない訓練をしているわ。まさに互角では!?」


 アンジェリーナ王女がそうこっそり私に耳打ちするが、それには強く同意。模擬戦を行うというが、どちらが勝者になってもおかしくない。そして有言実行とばかりに、早速、朝食後。馬術を楽しむことになった。


 レイモンドはスカイブルーの上衣に白のズボン、黒のロングブーツという乗馬服姿で登場。自身の瞳に合せたその姿は完璧だ。愛馬は白馬なので、騎乗したその姿は、王道の王子様。


 キルリル皇太子はアイスブルーの上衣に濃紺のズボン、白のロングブーツと、夏らしさを感じる乗馬服姿だった。大変涼し気で見事なコーディネート。母国から連れてきた愛馬は青毛で、騎乗すると、人馬のカラーバランスも大変素晴らしかった。


「自分は馬術、苦手なんですけど……」と参加を渋ったマークは、オーソドックスな黒の乗馬服を着ている。馬術は苦手だが、それでも乗馬は欠かせない。愛馬は栗毛だ。


 一方のアンジェリーナ王女と私は、横乗り用の乗馬ドレスを着用していた。


 アンジェリーナ王女は、シャーベットピンクのドレスに、白い羽飾りのついた、つば広の帽子。愛馬はレイモンドと同じく白馬。私は水色のグラデーションしているドレスに、白のつば広の帽子で、模造の黄色の薔薇が飾られている。愛馬は黒鹿毛で、その毛色もあり、とても引き締まった美しい馬だ。


「ではまず、庭園を散歩しようか」


 レイモンドの一言で、散歩がスタートする。


 乗馬での庭園の散歩は、貴族令嬢ならよくやっていること。この際、重要なのは優雅に乗馬を楽しめているか、だ。綺麗な姿勢で、ドレスが映えるように、そして何よりも美しく見えるようにする。それが令嬢に求められる乗馬スタイルだった。


「アンジェリーナ王女もジョーンズ公爵令嬢も、背筋がきちんと伸び、安定していますね。さすが幼い頃より乗馬を嗜まれているだけあります。とても優雅で素敵です」


 キルリル皇太子がそう褒めてくれたと思えば、レイモンドも絶賛してくれる。


「リナもアンジェリーナも。僕と一緒に四歳の頃から乗馬の練習をしている。だから乗馬はどの令嬢よりも完璧であり、エレガント。何よりも馬と心を通わせているから、無理がない。馬もとても気持ちよさそうに散歩している。二人にはギャラリーの気分も弾ませるような、華やかさがあると思うな」


 ここまでの賛辞をレイモンドが口にすると、マークはどうしていいか分からない。「お、お二人ともとても上手です。安心して眺められます」と言うので精一杯。だがキルリル皇太子とレイモンドは、競うようにこれまたアンジェリーナ王女と私を褒めてくれて……。まさに褒め殺し状態で、庭園の散歩は何とか終了。


 令息たちの馬術の披露の時間となった。

お読みいただきありがとうございます!

応援下さる読者様へ感謝を込め。

今晩もう一話。サプライズ更新します~☆彡

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ