表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

20/122

何とも言えない緊張感

 キルリル皇太子がアルデバラン王国にやってきた日の夕食は、晩餐会ではなかった。私人である彼を囲んでの王族との私的な夕食会……という建てつけ。そしてそこには昼食会で話した料理が並ぶことになる。


 銀食器に盛り付けられたキャビア、出来立てのクレープと焼き立てのパン。色鮮やかなビーツのスープ。他にもアルデバラン王国の名物料理であるラム肉のパイやハーブたっぷりのソーセージなども登場している。ちなみにサワークリームとキャベツの発酵食品は、残念ながら完成まで数週間かかる。ということでこちらはお預けだった。


 そしてこの夕食会の席は、丸テーブルに着席して行われた。


 私、レイモンド、国王陛下、王妃殿下、キルリル皇太子、アンジェリーナ王女という席順。昼食の時と違い、キルリル皇太子は私の隣ではない。


 キルリル皇太子は、キャビアについても、ビーツのスープについても、私と話したそうにしている。しかし自身の左右に王妃殿下と王女が座っているのだ。必然的にこの二人と会話するか、国王陛下に話題を振るか……レイモンドの質問に答えることになる。


 そう。


 レイモンドは私が帝国の食文化について詳しいことに触発されたのか。キルリル皇太子に彼の祖国の伝統料理についていくつも質問をしたのだ。


「キャベツ以外の発酵食品はあるのですか?」


「そのキノコの発酵食品で使うキノコは、どんな種類?」


「キュウリの発酵食品。それはどんな味ですか?」


「キャビアを得た後、その鮫はどうしているのです?」


「鮫肉の燻製……それは平民も食べますか?」


 しかもかなり突っ込んだ質問も多く、キルリル皇太子とレイモンドのQ&A状態。これにはさすがの国王陛下もビックリし、「どうしたんだ、レイモンド!?」という表情で、口出しができない。


 というかレイモンドもこんなに帝国の食に関心があったのね……!


 そこでようやく気が付く。


 帝国の料理については自分と話そうとレイモンドは言っていた。何が何だか分からずその問いに応じたが、彼は食について熱く語りたかったのだろう。


 でもそれなら今、存分にキルリル皇太子と語っているから、満足できているのでは!?


 そんなことを思っているうちに夕食会は終了となった。


「リナ。部屋まで送るよ」


 国王陛下夫妻とアンジェリーナ王女が退出すると、いつも通りでレイモンドが声をかけてくれる。すると。


「ジョーンズ公爵令嬢!」


 キルリル皇太子がアイスブルーの瞳をキラキラさせて私を見る。


「今日いただいたキャビアを載せたパンの感想をお話ししたいのですが、明日のティータイムにお時間いただくことはできますか?」


「キルリル皇太子殿下」


 私が返事をするより先に、レイモンドが皇太子の名を呼んだ。


「明日のティータイムの時間。マダム・ブルネットのサロンに参加しませんかと、書簡を届けさせていたのですが、ご覧になっていませんか?」


 マダム・ブルネットのサロン。


 外交官でもあり、公爵のブルネットの妻が主催するこのサロンは今、王都で大人気。文学や哲学、さらには政治や芸術まで、幅広い話題を美味しい紅茶とスイーツ片手に語り合う。私も何度か参加させてもらっているが、毎回満員御礼だった。


 私は立場上、参加を望めば、間違いなく席を確保してもらえる。でもこのサロンに出席したいと願う貴族は多い。そこで毎回テーマを確認し、興味があるものの時だけ、参加させてもらうようにしていた。


 レイモンドも公務や王太子教育を調整し、私が参加する時は、自身も顔を出していたが。


 キルリル皇太子を誘っていたのね!


 そう思ったが、当の皇太子は……。


「!? そうなのですか? それは……失礼しました。……レイモンド王太子殿下のお誘いです。それに先に提案いただいているのですから、勿論そのサロンに参加します……」


 どうやらその書簡を見落としていたようだ。見落としてしまったことへの反省なのか、その整った顔に自責の表情を浮かべていると思ったら。


「ではジョーンズ公爵令嬢、明日の午前中に」


「明日の午前中は僕の愛馬を紹介しつつ、乗馬を楽しむ約束をしていましたよね、キルリル皇太子殿下?」


「……そうでしたね」


 レイモンドとキルリル皇太子の間に、何とも言えない緊張感が走る。


「それならば夕食前に」


「リナは夕食前、とても忙しいんです。ドレスの着替えもありますから」


「……」


 キルリル皇太子は深呼吸を一つして、パーフェクトスマイルを浮かべる。


「分かりました。では正式に帝国の皇太子として依頼します。ジョーンズ公爵令嬢。王都で人気のスイーツのお店へ案内してください」


「勿論ですよ。リナは僕の婚約者なので、僕もその願いを叶えるお手伝いをしましょう。よろしければ僕の妹であるアンジェリーナや宰相の子息であるマークも同行させます。帝国の皇太子殿下の願い、全力で皆で叶えましょう」

お読みいただきありがとうございます!

リアルタイム読者様、遅くまでありがとうございます。

ゆっくりお休みくださいませ☆彡

次話は明日の8時頃公開予定です~

ブックマーク登録してぜひお待ちくださいませ(*´꒳`*)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ