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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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嘘と真実が混ざっている

 昼食会が終わると、私人での訪問ではあるが、キルリル皇太子と国王陛下は会談となる。


 そこはお約束、と言った感じか。


 一方の私は王太子妃教育があり、レイモンドは王太子教育。アンジェリーナ王女は王妃殿下とマークと共に、慈善活動の一環で病院も併設されている修道院へ向かうことになっていた。


 レイモンドはいつも通り。私を部屋まで見送るためエスコートして歩き出すと……。


「驚いたよ、リナ。帝国の食文化にあんなに詳しいなんて。キャビアもサワークリームも。キャベツの発酵食品やビーツのスープも。王宮で暮らすようになる前に食べたの?」


 これにはもうギクリだ。


 私が前世で食べたことがある帝国の料理については「実は機会があり、食べたことがありまして……」で誤魔化していた。でもあの場は食の談義で盛り上がっていたので、「いったい、いつ、どこで食べたのですか?」と問う人はいなかった。


 だが冷静に考えると、この疑問は持って当然だった。


 何せ私は五歳になってからは、王宮に部屋を与えられ、そこで暮らしているのだ。国王陛下夫妻は公務もあり、一緒に食事をしないこともある。だがレイモンドとアンジェリーナ王女と私は……ほぼ毎日。三度の食事は一緒に摂っていたのだ。


 入手困難なキャビアをどうやって手に入れたのか?

 キャベツの発酵食品やビーツのスープのレシピを知る料理人が、ジョーンズ公爵家にいたのか?


 頭脳明晰で勘の鋭いレイモンドなら、疑問に感じても……おかしくない。むしろレイモンドが気づかないことがイレギュラー。


 ここで公爵邸で食べたと答えれば。レイモンドは私の両親に尋ねるかもしれない。屋敷では帝国の料理を出していたのですか?と。


 尋ねられた両親は嘘をつくわけにはいかないだろうから「出していません」と答えるに違いない。


 ど、どうしたらいいのかしら?


 つい、前世を思い出し、べらべらしゃべるのは……止めた方がいい!とは分かっているのだけど……。どこか懐かしさもあり、つい話してしまうのだ。


「リナ」


 不意にレイモンドが立ち止まり、少し距離を置いて私達の後ろに続いていた近衛騎士も止まることになる。


「まさか僕の知らない間に王宮を抜け出したりしていない……?」


「!? し、していません!」


「では帝国の料理はいつ食べたの?」


 腰が抜けるかと思ったが、そこはレイモンドが支えてくれた。支えてくれたが……。支えるような事態を引き起こしたのは……レイモンドだ!


 だって。


 突然、顔を近づけたと思ったら、私の耳元で囁いたのだ。「では帝国の料理はいつ食べたの?」と。


 自身の鼻の頭を私の鼻の頭につける、まさに“鼻チュー”に続く距離の近さにパニック寸前。


「ねえ、リナ。いつ、食べたの?」

「そ、それは」

「それは?」

「それは……」


「リナ、ちゃんと答えて」


 食後のミントティーが香るレイモンドの息が耳にかかり、失神しそうになる。


 な、なんとか、この場を……。


 そこでハッとして私は口を開く。


「お父様やお母様は忘れているかもしれません。でも五歳になる前、カーニバルに行ったんです。そこで異国料理を出している屋台がありました。そこで食べました! 帝国の料理を」


 これは微妙に嘘と真実が混ざっている。


 まず、五歳になる前、カーニバルに行った。これは真実。異国料理を出している屋台があった。これも真実。帝国の料理を出している屋台だった。これは不明。どこの国の料理を出していたかまでは覚えていない。そこで帝国の料理を食べた……これこそ嘘である。


 トータルで言うと、カーニバルで異国料理の屋台が出るのはよくあることであり、そこで帝国料理を食べたと言えば、多くの人が「そうなんだ」になると思うのだ。


 でも相手はレイモンド。


 ただ、両親に裏を取ろうと思っても。両親も覚えていないだろう。それでも異国料理を出す屋台は目にしているだろうから……。


「そう言われると、そうだったかもしれない?」


 きっとそんな反応になるはず。

 そしてレイモンドも――。


「……なるほど。カーニバルか。確かにカーニバルには異国の料理がよく登場する。そうか……。リナが王宮に来る前……」


 なんとか納得してもらえた!

 しかも……。


「王宮で暮らすようになった後、リナはカーニバルには公務で顔を出すことになった。そうなると屋台での食べ歩き。残念ながら王族はできない……。そうか。貴重な帝国の料理を食べる機会を逸していたのか、リナも僕も」


「そ、そうなのよ、レイ! 残念よね。でも王族は暗殺のリスクもあるから、毒見なくして食事はできないわ。仕方ないと思うの」


 結局、宮廷料理人がいるのも。このもしも(毒殺)に備えている部分が大きかった。


「うん。そうだね。……でも、リナが楽しそうに帝国の料理について話しているのを聞いていて……。僕も帝国の料理について詳しかったらと思ったよ。ただ、父上も母上もアンジェリーナも。マークや宰相でさえ、帝国の料理に興味を持った。間違いないく、帝国の料理がこれからの食事に登場する」


「そうよ。そこでレイも帝国の料理に詳しくなるわ」


 するとレイモンドが私の腰を抱き寄せ、これまたビックリすることになる。抱き寄せただけで、その引き締まった胸で抱きしめるわけではない。その代わりなのか。またも耳元に顔を近づけ、普段より甘い声で「僕が詳しくなるから、帝国の料理については、僕とだけ話そう」と。


 意味不明の願いであり、意図も理解できない上に。腰を抱き寄せられ、耳元で囁かれるシチュエーションに、完全に思考がストップしている。


「リナ、約束して」


 何の約束!?と思うが、うまく考えられない! さらに返事をしないと、レイモンドが解放してくれそうになかった。


 結果。


 何が何だか分からないまま「約束します……」と応じていた。

お読みいただきありがとうございます!

読者様の応援感謝記念で、もう1話をサプライズ更新☆彡

今日は土曜日なので、ちょっぴり夜更かし。

22時で公開しますヾ(≧▽≦)ノ

(お疲れの方は無理をせず、明日の朝ご覧くださいネ)

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