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悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@受賞作発売中:商業ノベル&漫画化進行中
 

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僕の手の届かない場所へ

 既に死んでいるのに。

 その事実を受け入れられず、私はあの世で夢でも見ているのではないか。目の前にいるレイモンドは幻だったりしない……?


 そんな風に不安になった私に、レイモンドは衝撃の事実を告げる。


「リナ。君が“はずれ修道士”のロダンを訪ねたこと、僕は把握している」


「えっ……」


「いろいろあって、リナとは距離を置くことになったけど、それは表向きのこと。僕はずっとずっとリナのことを気にしていた。申し訳ないけど近衛騎士数名を動かし、あの日、リナのことを見守らせていたんだ」


 そこで深い呼吸をしたレイモンドは、あのブランチの時を思い出し、苦しそうな表情で話を続ける。


「……リナは平静を装っていたけど、顔色が悪かったし、何というか……(うつろ)になっていた。もう全てを投げ出し、駆け寄りたくなるぐらい、その瞳は寂し気だった……。このままリナを失うのではないか? 不安になり、リナの乗る馬車の後を追わせてしまった」


 レイモンドは目をつむり、再び深い呼吸を繰り返す。


「近衛騎士からリナが何処に向かったのか。報告を受けた時、最初は一体何をしにそんな場所へ、と思った。……でももしかしてと……思い至った時には……」


 厳しい王太子教育を受けているレイモンドは、人前で強い感情を出さない術を習っていた。それなのに今、彼は泣きそうになっている。


「リナを失うかもしれない。僕の手の届かない場所へ向かおうとしている。そう思ったら、もう気が気ではなかった」


「レイ……」


「ロダンの元へ直接出向き、頭を下げ、僕自身の身分を明かした。その上でリナに劇毒を渡さないよう頼んだ。もしリナから、僕の心変わりや裏切りを聞いていたら、それは事実であるが、真実ではないと話した。すべてはあの女の尻尾を掴むためのこと。僕の本意ではないと。リナと婚約破棄をするつもりでもなければ、あの女が言う罪で問うつもりはないと話した。説得するのは……とても大変だった。だがロダンは嘘を見抜けるようで、最後は僕が真実を語っていると分かってくれたんだ」


 驚きの情報が次々と飛び出し、私はフリーズしてしまう。そんな私にレイモンドはスプーンを渡し、スープを飲むようにと勧める。


 さっきまでレイモンドは泣きそうだったのに。瞬時に気持ちを立て直していた。上に立つ人間は、いついかなる時でも、冷静でいることが求められる。そしてレイモンドはこの若さでそれをちゃんとマスターしていた。


 やっぱり、レイモンドはすごいわ。


 そんなことを思いながら、彼に言われるままに口に運んだコンソメスープはとても温かく、胃袋にじわっと染み渡る。


 生きていると実感できる温かさ。


「あの女はね、リナを貶めるために、随分悪どいやり方をしていた。表向きはとても天真爛漫なふりをして。でもその実態は人間の皮を被った悪魔のようだった」


 まさかヒロインであるソフィーの裏の顔に、レイモンドが気がついていたなんて……!


「最初はクラスメイトのことを洗脳しようとしていた。リプリー子爵令嬢を問い詰め、言質をとったけれど、宮殿で僕が主催ということで行ったお茶会。あの席で、『私はジョーンズ公爵令嬢に、みんなの前で、恥をかかされたのです。マナーや礼儀がなっていないと。これだから卑しい男爵令嬢は困ると言われたの!』と涙目で、クラスメイトに訴えたらしいんだ。しかも『でもそれは仕方ないと思うの。実際、私は男爵令嬢で、爵位も低くて、マナーや礼儀もまだまだ。一生懸命頑張っているけれど、公爵令嬢からしたら、目も当てられなかったと思うの。だから馬鹿にされても仕方ない。私が悪いの』なんて言うんだ。その偽物の健気な姿に、みんな同情してしまった」


 しかもお茶会の翌日の月曜日。


 ソフィーは平身低頭の姿勢で私に臨んだ。それを見た私は、ヒロインであるソフィーまでイレギュラーなのかと思ったが、違う。


「公爵令嬢であるリナに虐げられている男爵令嬢を演じていたんだよ」


 だからこそ、その後の郊外学習の件でチームに分かれ、役割を決めた時。メアリー子爵令嬢は、私へ悪印象を持ったのだ。


 私がチーム名でウサギちゃんや子羊ちゃんは相応しくないと指摘すると、メアリー子爵令嬢は、ソフィーを庇う言動をした。さらに「では書記は私が担当し、ベネット男爵令嬢は時間管理担当でいかがですか?」と提案し、ソフィーが懐中時計を持っていない件を私に詫びた際。


 メアリー子爵令嬢は「こんなみんなの前で恥をかかせるなんて! 懐中時計やペンダント時計が高級品であること、知らないわけがないのに。なんて意地悪なのかしら。ソフィー嬢、大丈夫ですよ。もしもの時は私の懐中時計をお貸しします」とささやくことになったのだ。


 意地悪な公爵令嬢とクラスメイトが思うよう、ソフィーが印象操作をしていたことに、レイモンドは気が付いた。


「リナは僕より先にあの女の本性に気が付き、極力接触を避けていた。挨拶をするけれど、自分から声を掛けない。それを利用してあの女は『皆さんも見ていて分かるでしょう? ジョーンズ公爵令嬢は、私のこと、相手にする気なんてないんです。だから挨拶しかしようとしない。自分から話しかけることもない』と、さらにリナを貶めようとしていた。だから僕はリナに、挨拶以外でもあの女に話し掛けた方がいいと、アドバイスすることになった。クラスメイトから変な誤解をされない方がいいと思い、指摘したことだったけど……」


 そこでレイモンドは仔羊のクリーム煮を私に勧めながら、申し訳ないという表情になる。


「良かれと思ってしたアドバイスだったけど、そのことでリナは僕に心を閉ざすようになってしまった。ただ、冷静に考えると、何でリナにあんな指摘をしたのか。リナが窮地になると、焦っていたのかな? 何だか僕らしくないアドバイスをしてしまったと思っている」


 これを聞いた私は腹落ちだった。

 レイモンドがなぜ、彼らしくないアドバイスをしてしまったのか。その理由が分かってしまう。

お読みいただき、ありがとうございます!

リアルタイム読者様、遅い時間まで心から感謝です。

ゆっくりお休みくださいね☆

ここから全ての謎が順に明らかになります。

重ね掛けされている謎もあります。

一枚めくっただけでは、まだぼんやりしている。でも、もう一枚、さらに一枚とめくっていくと、謎がどんどん解けていきます。本のページをめくるように。読む度に謎解きが進みます。

そしてこんな真相も隠されていたの!?といろいろお楽しみいただけると思います!

ということで引き続き物語の旅を

お楽しみくださいネ!

次話は明日の12時頃公開予定です。

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