表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢は死ぬことにした  作者: 一番星キラリ@9/2やられる前に発売:商業ノベル&漫画化進行中
 

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
1/123

始まり

「リナ・アンジェラ・ジョーンズ公爵令嬢。君との婚約の件だけど」


 私の婚約者である、王太子のレイことレイモンド・ウィリアム・アルデバランが、サラサラの前髪を揺らし、こちらを見た。


 カウントダウンのチャリティーコンサートの後に行われるパーティーに合わせ、いつもおろしている前髪は、左側を後ろに流している。そのことで、キリッとした眉毛が見えていた。細身のウエストシェイプされた濃紺のテールコートは、彼の脚の長さと長身を際立たせ、実によく似合っている。


 何よりも。


 アクア色の澄んだ碧い瞳は、本当に宝石みたいに美しい。


 その瞳に映るリナもまた、とても美しかった。


 波打つくようなプラチナブロンドに、新雪のような肌、紫紺色の瞳。首も手足もほっそりしているが、弾力と張りのあるバストに引き締まったヒップで、どんなドレスも着こなせる。


 この日のパーティーのために仕立てたロイヤルブルーのシルクのドレスは、そんなリナのメリハリボディにピッタリだった。


 しかし美貌のリナを見ていても、レイモンドの顔は……真剣そのもの。


 そう。真剣な表情の今、いつものえくぼは見えない。


 朗らかな笑顔の時。

 レイモンドの頬に浮かぶえくぼ。

 でも彼はこれから私に婚約破棄を告げ、そして断罪を行うのだ。


 笑うどころではない。


 最期に見るレイモンドの顔は……残念ながら笑顔ではないのね。


 同い年であるレイモンドと、初めて顔を合わせたのは、間もなく四歳になる時。そして五歳になると私は王宮で暮らすようになり、毎日のようにレイモンドと顔を合わすようになった。


 いつも笑顔で、そこにはえくぼが見え、それは人懐っこさを感じさせた。


 皆がレイモンドの周りに集まり、彼は人気者。

 そして王立アルデバラン学園に入学すると、レイモンドのそばにヒロインが現れた。


「ジョーンズ公爵令嬢。話、聞いているかな?」


 普段は私をリナと呼ぶが、(おおやけ)の場では「ジョーンズ公爵令嬢」とレイモンドは私を呼ぶ。


 王太子という立場。礼儀をわきまえた行動。

 レイモンドはいつだって完璧な王太子だった。


 どれだけ完璧であっても。

 ここは乙女ゲームの世界。

 レイモンドはどうしたってヒロインにロックオンされたら、落ちる(攻略される)しかない。


 そして。


 その美しく整った顔で冷たく告げるのだ。


「貴族は名誉を重んじます。ジョーンズ公爵令嬢が、ソフィー・ベネット男爵令嬢に行った悪事の数々は、いたずらなどの域を超えている。ベネット男爵令嬢は、あやうく死ぬところだったのです。王太子の婚約者でありながら、罪を重ねた。僕の顔にも泥を塗ったのです。これは不敬罪に該当すると考えます。ゆえにジョーンズ公爵令嬢。君は死罪相当であり、次の日曜日。宮殿前広場で絞首刑に処す」


 このセリフを言われたら、完璧に詰む。


 そうなる前に。


 予定調和で悪役令嬢になるなんてばかばかしい。

 シナリオの強制力だか、見えざるゲーム世界の抑止力とか、そんなものには屈したくない!


 ぎゃふんと言わせたい。

 私を悪役令嬢に仕立てようとするこの世界に!


 ドレスのスカートのポケットに忍ばせていた小瓶を取り出す。


 悪役令嬢にならないための努力も。

 断罪回避行動も。

 ことごとく失敗している。


 そして今日と言う日の婚約破棄からの断罪も。

 避けられない流れ。

 だってこれが乙女ゲームの世界で定められたシナリオの進行だから。


 それならばこれが最期の反逆だ。

 どの道、断罪されたら絞首刑。死ぬしかないのだ。

 しかも宮殿前広場で絞首刑だなんて。


 前世では平民だったが、転生したこの乙女ゲームの世界では、公爵令嬢として成長したのだ。しかも王太子の婚約者として、厳しい王太子妃教育にも幼い頃から耐えてきた。


 礼儀もマナーも教養も。すべて身に付け、この国で最高の令嬢(レディ)と言われたリナが、公衆の面前でみっともなく涎をたらして死ぬなんて、耐えられない。


 それならば断罪される前に私は死ぬ。


 取り出した小瓶の栓を取ると、一気に飲み干す。

 今、飲み干したのは劇毒だ。


 鼓動が激しくなり、全身が熱くなる。

 脳がカッとし、めまいも感じていた。


 まだ十六歳になったばかりで、リナはまさに花の盛りだった。こんな風に死ぬのは不本意ではあるが――。


「リナっ!」


 レイモンドの叫び声が聞こえ、瞼が閉じる。

 世界は闇に包まれ、無音の世界へ突入する。


 悪役令嬢、リナ・アンジェラ・ジョーンズ公爵令嬢、十六歳。王太子に婚約破棄され、断罪される寸前に劇毒をあおり、死亡。


 悪役令嬢が即死することで、王太子とヒロインのエンディングがどうなったのかなんて、知るわけがない。ただ、私を悪役令嬢に仕立てようとするこの世界をぎゃふんと言わせ、ざまぁすることはできたと思う。

お読みいただきありがとうございます!

完結まで執筆済。

最後まで、物語をお楽しみくださいませ☆彡

次話は14時頃公開予定です。


※ブックマーク、誤字脱字報告、評価などの応援は大歓迎です!

※質問・疑問・ネタバレ・展開予想はメッセージからお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【一番星キラリの作品を紹介】
作品数が多いため、最新作を中心にバナーを並べています(2025年12月の大掃除で・笑)。 バナーがない作品は、作者マイページタイトルで検索でご覧くださいませ☆彡

●新連載●
バナークリックORタップで目次ページ
もう一度結婚するなら嫁とがいい。~異世界転生した俺が嫁を好き過ぎる件~
『もう一度結婚するなら嫁とがいい。~異世界転生した俺が嫁を好き過ぎる件~ 』

●本編完結●
バナークリックORタップで目次ページ
やらかしてしまったモブ令嬢です
『やらかしてしまったモブ令嬢です 』

●溺愛は求めていませんよ?●
バナークリックORタップで目次ページ
平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!
『平凡な侍女の私、なぜか完璧王太子のとっておき!』

●出版社特設サイト●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!②
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!② 』

●出版社特設サイトはコチラ●
バナークリックORタップで出版社特設ページへ
婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!
80ページが試し読みできる特設サイトへ
『婚約破棄を言い放つ令息の母親に転生! でも安心してください。軌道修正してハピエンにいたします!』


●壮大なざまぁを仕掛けます!●
バナークリックORタップで目次ページ
婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした
『婚約破棄された悪役令嬢はざまぁをきっちりすることにした』

●章ごとに読み切り!●
バナークリックORタップで目次ページ
ドアマット悪役令嬢~ドン底まで落ちたらハピエンでした!~
『ドアマット悪役令嬢はざまぁと断罪回避を逆境の中、成功させる~私はいませんでした~』

●紙書籍&電子のコミカライズ化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~
『悪役令嬢に転生したらお父様が過保護だった件~辺境伯のお父様は娘が心配です~ 』

●商業化決定●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢はやられる前にやることにした
『悪役令嬢はやられる前にやることにした』

●もふもふも登場!●
バナークリックORタップで目次ページ
断罪の場で自ら婚約破棄シリーズ
『断罪の場で悪役令嬢は自ら婚約破棄を宣告してみた』
日間恋愛異世界転ランキング3位!

●コミカライズ化も決定●
バナークリックORタップで書報ページへ
断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない
ノベライズは発売中!電子書籍限定書き下ろし付き
『断罪後の悪役令嬢は、冷徹な騎士団長様の溺愛に気づけない』


●心温まる物語●
バナークリックORタップで目次ページ
悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~
『悪役令嬢は我が道を行く~婚約破棄と断罪回避は成功です~』は勿論ハッピーエンド!

●[四半期]推理(文芸)2位●
バナークリックORタップで目次ページ
悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~
『悪女転生~父親殺しの毒殺犯にはなりません~』

●胸キュンな恋物語●
バナークリックORタップで目次ページ
せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~
『せと恋~瀬戸内の夕陽がつなぐ島の恋~ 』
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ