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怖い顔

「と、とりあえず深呼吸しようか」


 少女はこくこくと頷くと深呼吸を始めた。


「すぅーはぁー、すぅーはぁー……」


 少女は深呼吸をした後、ピンク色の可愛らしいハンカチで涙拭いた。良かった。周りの目が俺の方に向いていて生きた心地がしなかった。少女を泣かせる男の図。犯罪臭しかない。


「とりあえず、落ち着いた?」


「は、はい。いきなりすみませんでした……」


 少女は頭を下げて謝った。とても礼儀正しい子だ。


「ううん、俺も悪かったから気にしないで。ところで俺の目の前にいたのはなにか用事が?」


 まぁ多分机に突っ伏していた俺を心配して、とかだろう。礼儀正しいしとても優しそうな子だし。


「あ、あの、あの……ぼ、冒険者を募集してるって聞いたので……」


「あ、あぁ。張り紙見てくれたんだ」

 

「張り紙じゃなくて……えと、その……」


 張り紙じゃないなら誰かに聞いてきたのだろうか。1週間ずっと貼り続けているのにまだ貼ってあったらそりゃ噂にもなるか。


「それで君は……と、そういえば名前聞いてなかったね。名前聞いていいかな?」


「は、はい!スーフェンって言います」


「俺はタンザ、よろしくスーフェン」


「は、はい!よ、よろしくお願いします!タンザさん!」


 手を差し伸べると俺の手を両手で掴んだ。とても小さく、ぷにぷにした手だった。

 小声でタンザさんと何度も呼ぶ声がスーフェンから聞こえる。覚えようとしてくれているのだろうか。微笑ましい光景だ。


「じゃあスーフェンはパーティーに入ってくれる予定で俺を?」


「は、はい!そうです!一昨日からずっとタンザさんを見てて声かけようと思ってたんですけど、声かけるのが怖くて……」


「そうだよね……俺の顔、怖いもんね……」


 顔だけは怖いってよく言われて来たから言われ慣れている。「顔が怖いのに弱い」「顔だけ強そう」とパーティー組んだ人に言われた事が何度あるか……。


「そ、そうじゃないんです!わ、私が人と話すのが苦手で……」


 スーフェンは縮こまってしまって泣きそうになっている。俺はまたスーフェンを泣かせようとしていた。


「だ、大丈夫大丈夫。顔が怖いは言われ慣れてるから。気にしてないから!」


 正直小さい女の子に言われるのは本当に刺さるけど言葉には出さない。これが年上の余裕というものだ。


「そ、そんなことないです!タンザさんは怖くありません!」


 スーフェンは机をばんっと叩いて立ち上がった。周りの視線が一気にスーフェンに集まると恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にして座った。

第2話お読み頂きありがとうございます。文字数は少ないと思いますが、少しつづ定期的に更新しようと思いますのでこれからも是非お読み下さい。

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