『かける』★★★★
多くの客が集まる中。主催者は、士気を上げた。
高価なものが、沢山かけられてゆく。気分が高揚していくのが、わかった。盛り上がる会場。活気があるのは良いことだ。手を挙げるのは、もう少し待とう。この日のために金を貯めて来たのだから。
かけに、上限はないらしい。掛け声は止まない。ここら辺で切を付けるか。
「ストップ!」
そう言うと、主催者は、笑顔で、奥に入って行った。客の一人が、俺に言う。
「全部食べられるのか?」
「あぁ。イクラは好物だからね」
◇
第十三段目は、いろいろと狙ったトリックです。
この連載を始めてから、いろんな人に声を掛けてもらえました。凄く参考になり、また、勉強にもなっています。上手く吸収できているかが不安ですが、それなりに形になって来ていると思いたいです。
さて。ここで用いたトリックは、叙述トリックやミスリード、ダブルミーニング。この三つが主です。これは三セットを基本とするのがベストと教わりました。
まず最初に、日本語のルールの穴を探すこと。これは、結構簡単でした。同音異義語とか、修飾語とか、探せばたくさんありますから。あとは、本文を自然な感じにすること。
これが難しい。
バレバレでもいけないし、意味が分からないのは、もっといけないし。今回の作品は、伝わっていますかね?
かけていたのは、『オークション』と『イクラ丼(=のっけ盛り)』です。さすがに、最後に、『イクラが好きだ』と主人公が言っているので、イクラ丼を作ってもらっていたということは理解してもらえるかと思います。
しかし、『オークション』の臨場感を出せていたかというと、自信がありません。それこそ、もっと描写を盛った方が良かったです。
まだ不完全ながら、少しずつ感覚が掴めつつあります。ですが、【トリッキーレベル】を上げるには、もう少し、時間がかかりそうです。
最初に、叙述トリックの種を作り、ダブルミーニングを仕掛け、ミスリードさせる。この流れが一番作りやすいですね。これも、ある人の入れ知恵なのですが。
嬉しいことに、【トリッキーレベル:1】の頃に比べると、描写の説明も上手くなってきています。と、手前味噌。課題は、『誰が見ても意味が解り、読んだ直後に驚きをもたらすこと』です。
気を抜くと『ウミガメのスープ』の出来損ないのような作品を書いてしまいます。まだまだ、レベルアップしていかなければ!