『開けないで! 改』★★☆
目の前の、髪の長い美しい女性が、念を押すように言った。
「決して開けないでくださいね」
彼女は中に入ると、なかなか出てこない。耳をすませば、シャアシャアという音がしてくる。「開けるな」と言われると開けたくなってしまうもの。ぼんやり影が見える。ドキドキして来た。
そっと覗く。その姿に、我慢できなくなった俺は、勢いよく、開けてしまった。
「開けるなって言ったでしょう!」
怒った彼女に、思いっきりビンタされて、意識が飛んでいった。
◇
第十一段目。
これは、感想を参考に『開けないで!』を改稿したものです(詳しくは、第五部分の感想を見てね!)少しはマシになったでしょうか?
個人的には、うまいこと、ビンタで意識が『飛んでいった』のと、ツルの恩返しで最後に『ツルが飛んでいった』のとを、かけられたと思います。
また。ある人に、ギミック=仕掛けとして、一番最初に重要なことを書くというのがある、とも教えてもらいました。
最初の一文で、『髪の長い女性が、念を押すように~』と言っているから、お礼に来たツルかな。と思わせておいて、次には『彼女』読みになっているのにお気づきでしょうか!
もう少し詳しく説明すると、主人公は女性の彼氏です。まだお互いの距離感が解っていない頃です。だから、「開けないでくださいね」と敬語なのです。これもミスリードを誘うための文句です。
状況説明も、もう少し凝ってみました。主人公が何を思い、動いているのかをもう少し詳しく書いたのです。最初の出来よりかははるかに良いと思います。
あと、ある人から『回帰』という創作技を教わっています。忘れた頃に同じネタを使う、というものです。
シンプルながら、本文全体が整っていないと、綺麗に成立しないように思うのですよね。
今は、相談途中です。回帰(もしかしたら正式な名称があるかも知れませんが……)もモノにしたい!
ここで述べられるトリックの技法は、独自のものが多いですから、そこら辺は気をつけてくださいね!