『不満』★★★★
リビングで、ずっと、不満をぶちまけられていた。
「家事育児、全部私に任せっきりじゃない!」
「仕方ないじゃないか! 仕事があるんだから」
喧嘩にもなったし、横に居る娘も、気まずそうにしているし。最悪だ。娘は、羊のぬいぐるみを抱え、泣きながら、言った。
「お母さんを怒らないであげて!」
娘の一声で、母は、黙り込んでしまう。離婚してからというもの、こういう会話が続く。ごめんね。もっといいお母さんにならなくては。
◇
第十弾です。だいぶ慣れてきました。
これは、ギミック=仕掛け、を用いました。怒っているのが『主人公の母』。怒られているのが『娘ちゃんの母親』というものです。会話から、夫婦間の喧嘩だと思ってくれていたらミスリード成功です!
また、ギミックをもう一つ用いました。気付きましたかね?
それは、
「お母さんを怒らないであげて!」
という、ツッコミ(種明かし的な)です。この言葉が無いと、作品が成立しません。この言葉のあとに、ネタバレを続々と入れていく。割と上手くできたのではないでしょうか。
強いて言うなら、状況の説明が、もう少しあった方が良かったかもしれません。