第二話 称号授与式 前半
『称号』その人の人生の道しるべ。
15歳になると教会でもらえる。
称号にも階級があり、農民などの『下級称号』、剣士や魔法使いなどの『中級称号」上級剣士や大魔法使いなどの『上級称号』、賢者などの『最上級称号』、そして、世界にたった一人にしか与えられることができない聖女や勇者などの『英雄称号』の五つに分けられている。
今日はデイルたちが15歳になり、称号が授与される日。
「やっとこの日が来たなラント」
「うん!」
「どっちが勇者になっても恨みっこなしだからな」
「わかってるそう言うデイルくんも僕に勇者を取られても怒らないでね」
「言うようになったじゃねぇか」
そう笑いながら話し合っている二人はエイミーがくるのを待っている
「それにしてもエイミー遅くないか?」
「そうだね、何かあったのかな」
そう二人が心配していると遠くからエイミーの声が聞こえた。
「お〜い!二人とも、遅れてごめん!」
そう言いながら走ってこっちにくるエイミー。
「遅かったな何かあったのか?」
「心配してたんだよ」
心配する二人を見てエイミーは笑いながら言った。
「あはは、二人とも心配しすぎだよ」
「いや、だってエイミーが約束の時間に遅れるなんて今までなかったから」
「ごめんね、ただ寝坊しただけなんだ」
「珍しいな寝坊なんて」
「うん、昨日緊張しすぎて眠れなかったんだ」
「はは、エイミーらしいな、なぁラント」
「うん、そうだね」
「何よ二人して」
そう言いながらデイルたちは笑った。
「ねぇ、デイルくん」
「ん?どうした?」
「もう、時間が…」
「ヤッベ、急ぐぞ二人とも」
そういいデイルたちは教会に走った。
「はぁ、はぁ、間に合ったな」
「はぁ、はぁ、はぁ、うんギリギリだったね」
「はぁ、はぁ、ごめんね二人とも私が遅れたからこんなギリギリになって」
「はは、気にするな!」
「そうだよ、間に合ったんだから」
申し訳なさそうにしているエイミーに向けて二人は励ましての言葉を言った
「まぁ、反省はここまでにしてもうすぐ称号授与式が始まるから気持ち切り替えようぜ」
「うん、そうだよね!気持ち切り替えていかないと」
デイルの言葉にエイミーは笑顔になり同意した。
「お前だぞラント!」
「え?僕?」
自分が今呼ばれると思ってなかったラントは少し驚きながらデイルに問う。
「あぁ、だって今ラントぼーっとしてたぞ、緊張してるのか?」
「え?本当に?気づかなかった」
「はは、おいおい本当に大丈夫か?」
そういうラントにデイルは笑いながらそう返した。
「うん、もう大丈夫だよ」
「なら、いいけどな」
デイルたちがそんな会話をしていると、教会の奥から神官たちが出てきた。
「時間になりましたので、これより称号授与式を始めます」