表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/55

7話 エルフママの胎内授業ver.妹

「リーヴィア、リーヴェン、出てきてくれる?」


……ズボッズボッ


「お呼びですか、王子殿下。」


「お呼びですか、殿下。」


「ママが第二子の魂を呼び寄せたから、二人を紹介しようと思ってね。こっちの大きな一枚の葉っぱが生えるのがリーヴィア、二枚の細い葉っぱが生えてるのがリーヴェン。二人ともドライアドって種族だよ。」


「かわいい!え、頭に葉っぱ生えてるのかわいい!」


「はじめまして、王女殿下。」


「はじめまして、殿下。」


「はじめまして!綺麗な葉っぱだね!転生したら触っても良い?」


「ふふん、毎日手入れしてますから。」


「王女殿下は見る目があるので触っても良いですよ。」


「本当!?うわー楽しみだなあ!」


「あ、俺も触っても良い?」


「王子殿下はダメです。」


「そうです。そんな軽い葉っぱじゃないです。」


「ええ、なんでダメなの?」


「王子殿下は葉っぱを褒めてくれた事ないです。」


「葉っぱへの愛が足りないです。」


「あーお兄ちゃんひどい。葉っぱ心が分かってないんだ。」


「そうなのです。葉っぱの心は繊細なのです。」


「乙女のように慈しむと良いです。」


「わ、わかった。これからはもっと植物について詳しくなるよ。」


「お兄ちゃん、詳しくなるとかそういう事じゃないんだよ。」


「そうです。もっと心から葉っぱを愛するのです。」


「そこらの葉っぱと一緒にしないでもらいたいです。」


「ええ……。」


めんどくせえ!

葉っぱ心ってなんだよ!

そして妹はなぜ葉っぱ心がわかるんだよ!

お前だってかわいいって褒めただけだろ!


「ま、まあ今日のところは葉っぱの事は置いておいて……。」


「あ、逃げた。」


「葉っぱを置いとくなんて、やっぱり愛がないです。」


「王子殿下は葉っぱ心がわからないです。」


「置いといて!ママたちの話が終わる前にご飯作るから、二人とも手伝って。」


「仕方ないです。」


「今日のところは許してやるです。」


なんかドライアド二人の当たり強くなってない?

葉っぱ褒めてなかったのそんなに良くなかったの?

二人にはちゃんと感謝を伝えてたはずだけど、そんな事より葉っぱを褒めて欲しかったのか。

む、難しいぞ異世界コミュニケーション。


「えー!異世界のご飯!楽しみ!」


「妹よ、先に言っとくとお前は食べられないぞ。」


「えっ……なんで?」


「なんでってそりゃあ、食べる身体がないだろ?」


「そうだった……。」


「まあ、俺も通った道だ。頑張って耐えてくれ。」


今日はパパがカモンベビーを獲ってきてくれたから、鴨料理だな。

鴨料理って何があるんだろ。

蕎麦と鍋とローストくらいしか分かんないや。


「なあ妹や、今日は鴨料理なんだが、蕎麦と鍋とロースト以外にどんな料理があるか知ってるか?」


「さあ?鴨なんて食べた事ないし。でも鳥なんだから唐揚げにしても美味しいんじゃない?」


「じゃあ唐揚げも作るか。包丁を使うのは任せるよ二人とも。一歳の体じゃ上手く扱えないからな。」


「お任せください。私は鴨肉のサラダが食べたいです。」


「私は唐揚げのサラダが食べたいです。」


じゃあ俺は盛り付けとか、この身体で出来ることをしようかな。


そうして一通りの料理が出来た頃。


「あ、おかえりママ。お説教は終わった?」


「うぅ……。終わったあ……。」


「ふふふ、アンのお腹が鳴ったからね。僕もお腹が空いたし、一旦お開きだ。」


「え!まだ続くの!?」


「それは、君の反省次第かな。」


「反省してるってばー!」


やれやれ、ママはちょっと頼りないかもしれない。

パパの落ち着きを見習ってほしいね。


「はい、ママ。妹をお腹に戻してあげて。」


俺は手に持っていた魂の入った籠をママに手渡した。


「娘ちゃんおかえりい。ママを慰めてー。」


「ママ大丈夫ですよー。だから元気なアタシを産んでくださいね。」


「任せなさい!ババーンと産んであげるわ!」


そんな効果音で産まれたら面白いな。


「じゃあとりあえずご飯食べようよママ。」


「そうね!いただきます!」


「「「「いただきます。」」」」


うーん鴨肉のこの独特の風味がうめー!

魔物だからか、前世のより味が強くて、唐揚げにしても味が飛んでないね。

そして鴨の出汁が美味すぎ、鍋美味すぎ、ご飯が進むわ。

いやあ料理が美味しいのが本当最高だよな。

米がなかったら転生拒否してたかもしれないけど、エルフの国は米が主食らしいし、最高だよな。

やっぱ米を食べなきゃ生きていけないよ。


「ごちそうさまでした!」


「いやあ今日も美味しかったねえ。」


「美味しくてアレイクスのお説教も吹き飛んじゃったわ!」


「ああ、アンはまだお説教が聞きたいんだね。」


「あっ、ちが、お説教は残ってるわよ。その、お説教の疲れが飛んだっていう意味で、その……。」


「ね、ねえママ!アタシ聞きたいことがあるんだけど!」


「な、なあに娘ちゃん!」


「え、えーとね。パパにはツノと尻尾が生えてるけど、エルフじゃないの?」


「僕の種族はドラゴンだよ。今は人化してて、本来の姿はこっち。」


パパが光り輝いて、元の大きなドラゴンの身体に戻った。

やっぱ本来のパパかっこいいよなあ。

人間の姿もスタイル良くてイケメンだけど、ドラゴンのかっこよさは別格だよな。


「うわーかっこいい!そ、そのお姿が、パパの本来の姿なんですね!飛べるんですか!?」


「もちろん飛べるよ。君が産まれたら一緒に空を飛ぼうか。」


「私も飛べるんですか!?」


「魔法を練習すれば飛べるようになるよ。僕の血が濃く出れば、翼で飛べるかもしれないね。」


「うわあ!うわあ!アタシドラゴンの翼で空を飛びたいです!ドラゴンになれードラゴンになれー!」


ドラゴンの翼で飛ぶのは確かにかっこいいよな。

でも魔法で飛ぶのも捨てがたいし、迷うな。


「ご飯も食べたし、みんなでお風呂に入って今日は寝ましょうか。」


「はーい。」


それからもいくつか妹の質問に答えて、夜は更けていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ