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5話 もうすぐ一歳になります

やあみんな久しぶり!

誰に向かって話しているのかって?

俺の中の俺。リトルグロリオーサに向けてだよ!

そう!今の俺は独り言喋ってるやべーやつだ!


じゃあこの一年を振り返ってみようか!


と言っても、特筆すべきことは何もないんだけどね。


俺はおっぱい飲んでねんねしてうんこしただけだ。

なんと言っても身体がろくに動かないからね。

ついでに敏感な刺激に慣れるので大変だったから、起きてる時は泣いてたし、それ以外は食べるか寝るか出すか。


ママのおっぱいに興奮する余裕なんてなかったね。

だってあれご飯だもん。

腹が減って仕方ないし、飲み終わったら眠くなるし。

流石に0歳児の身体では、魂が何歳でも赤子の本能には抗えないらしい。


でも最近やっと、まともに話せるようになったんだ。

歩くことも出来るぞ。

走るのは、別に必要がないからやってないけど、多分出来ると思う。


そんな俺は今何をしているかと言うと、ママと一緒に前世の世界を観察してるのだ。


机に置かれた顕微鏡みたいな魔道具のレンズを覗くと、元居た世界の景色が映る。

その魔道具に備え付けられているジョイスティックみたいな棒を動かすと、ドローンを動かすみたいに視点が移動していくんだ。


これめっちゃ楽しい。


一応、この視点のあるところには魔法陣が存在していて、光っちゃってるらしいんだけど、元居た世界は魔法子ってのがほぼ無い上に。魔法を使える人が居ないから誰にも見つからないらしい。


「良い感じの子いないかしらねえ。」


実は今、俺の妹の魂を探しているところなんだ。


次のぎせいしゃ……もとい、次のじっけんたい……もとい!

次の幸運なる転生者を探しているのだ!


この一年暮らして来てわかったんだけど、ママは悪人じゃない。

ちょっと倫理観が前世と違うというか、頭のネジが飛んでるというか……


「なんか今失礼なこと考えてない?」


「いいや!全然!」


危ない危ない。

ママは緊急時以外は俺の思念を勝手に読み取らないって約束してくれたから、それを信じてるんだけど、時々凄い鋭いんだよね。


でも、俺とママでは約1000年の経験の差があるし、魔法なんか使わなくてもバレバレなのかも……。


「そっちは自分の妹にしたい子見つけたー?」


「いやー見つかってないね。というか、俺には魂は見えないから、どんな子が妹になれるのか分かんないんだけど。」


「じゃあ異世界に来たそうな子を探してみて。あなたみたいに異世界転生したいって言ってる子とか居ない?」


「そんなの難しすぎる……。」


実際、俺みたいに、前世に未練がなくて異世界転生したい、なんて言ってる子がそうそう居る訳ないよな。

自分が少数派なのは、よく分かってるよ。


「ところでさ、ママは俺の世界の言葉は理解できてるの?」


「翻訳魔法があるから、思念がこもった言葉ならその場で翻訳できるわ。アニメみたいな録画した音声だと弱まるけど、出来ない事はないわ。でも、最初から機械で作られた声だと翻訳出来ないわね。」


「へえー便利な魔法があるんだねー。」


「あ、でもあなたの国の言葉は翻訳いらないのよ。エルフが話してる言葉とほとんど同じだから。」


「マジ!?エルフって日本語喋ってんの!?」


イメージぶっ壊れるんですけど!

せめて英語喋ってて欲しい!


「本当よ。大体、あなた翻訳魔法使えないけど、私たちと話せてるじゃない。」


「た、確かに……。」


ええーいやだーエルフが日本語話してるのやだー!

もっとなんか、ドイツ語とかで話して欲しいー!


「言葉は同じなのに文字が全然違うから、文章を翻訳するのは大変だったわよ。文章読み上げてる人間を見つけて、その文面と読み上げを比べて文字を解読してね。まあそれも、解析魔道具に流し込んじゃえば、あとは勝手にやってくれるんだけど。」


文字が日本語じゃないのは嬉しい!

漢字使ってるエルフとか見たくない!

あ、でも、平仮名なら雅な感じでちょっといいかもしれないな。


「だからあなたが読んでた『転生したら〇〇』シリーズは一緒に全部読んだわよ。」


「そうなの!?前世でweb版まで読んでる友達いなくてさー。ママはどの作品が好き?」


「そうねえ、私は――」


「ただいま。二人とも。」


「あ!お帰り、アレイクス!」


「おかえり、パパ。」


「今日はニワニワニワニワトリを獲ってきたよ。」


「あ、それ美味しいやつだよね!チキンカレーにしようよ。」


「カレーも良いわね。私はとり生ハムが食べたいわね。」


「僕は唐揚げとチキンステーキがいいな。」


ズボッズボッ


「私たちはサラダチキンが食べたいです、陛下。」


「バンバンジーも食べたいです、陛下。」


「よーし!全部作っちゃいましょう!」


「「「「おー!」」」」


こんな感じで俺の新しい人生を送っているんだけど、一つだけ悩みがあるんだよね。

それは食後に始まるんだけど……。


「ごちそうさまでした。」


「さ、お風呂に行きましょう、アレイクス。」


「ああ、行こうか、アン。」


ママとパパのお風呂タイムだ。

いや、本番はそのあとなんだけど……。


お忘れの読者諸君のために、我が家の構造をおさらいしよう。


この家は、森を切り拓いて、魔法で固めた地面をすごい結界で囲っただけのシンプルな作りをしているよ。

壁や部屋という概念はなく、机や椅子、ベッドが地面にベタ起きされている。


そしてお風呂は地面を掘り下げ、大理石っぽい石を敷き詰めて、その周りを水を通さない結界で囲ってるだけ。

ママとパパの寝室も壁なんてない。


賢明な読者諸君なら、もうお気づきだろう。


そう!ママとパパのイチャイチャをひたすら見せられるのだ!

妹を作る過程を、全て!


いや、まあね、まだ一年だし、あんまり親って感じしないから、良いっちゃ良……くない!

良いわけないでしょ!


まだ一歳児だから性欲とか、どう頑張っても湧いてこないのよ!

それなのに魂の部分は大興奮よ!

どうなっちゃうのよこれ!

俺は前世で一人っ子だったけど、世の中の兄や姉はこの時期どうやって過ごしてたんだろうか。

普通は一歳じゃ何してるかわかんないんだろうな。

異世界転生って楽じゃねーわ……。


「アレイクスぅ……。」


「ふふふ、子供が見てるよ。」


「あの子は前世で沢山えっちなイラスト見てたから喜んでるわよ。」


ちょおいちょいちょい!!!??

なんか聞き捨てならないセリフが聞こえたんですけど!?


そういえば俺と一緒になろう小説読んでたって言ってましたね!

てことは俺はそのあとはピ〇シブ見たり、ポ〇ノハブ見たり、フ〇ンザ見たりしてああああああ!!!!

この覗きママ!えっち!へんたい!ってそれは俺や!ドアホ!

あかん、エセ関西人になってまう……。


やめよう。さっさと寝よう。ナニカがどうにかなってしまう。


はあ……。

異世界転生楽じゃねーわ……。

この話の続きが気になってくれたら、ブックマークとか評価とかしてくれると静かにめちゃめちゃ喜びます。

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