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23話 お城で晩餐会!

「おーいトーリアー。そろそろ晩御飯だぞー」


「あ!お兄ちゃん!見てみて!」


「お、かわいいの着てるじゃないか。似合ってるぞ。」


俺は杖製作室を出て、トーリアが向かった武具製作室にやって来た。

部屋の中には、膝丈くらいのドレスアーマーに身を包んだトーリアが立っていた。


黒を基調としたシックな色合いは、白髪で肌も鱗も白いトーリアによく似合っていた。


ひらひらが多めで少しゴスロリっぽさもあって、それが意外にも元気なトーリアに合っている。


「本当!?アタシもね、この服かわいいなって思ったんだけどね。翼が動かしずらいし、飛ぶと裾がバタバタするから、戦いには向いてないかなって。」


「あーそれは確かに。」


「でね、こっちのパンツタイプの服だと動きやすいんだけど、もう少しカワイイのが良いなって。」


「俺はボーイッシュなのも好きだけど、これはちょっとシンプル過ぎるな。」


「でしょー?でもあんまり重たい鎧だと飛びにくいしさーあんまピンと来るの無いんだよねー」


トーリアが完全にショッピング女子になっているが、ここは武具製作室だ。

そして彼女が選んでいるのはれっきとした鎧だ。


そこにいる兵士さんが苦笑しているじゃないか。


「俺はマグワートさんに杖を頼んできたけど、トーリアは武器は作らないのか?」


「あ、それはもう決めたよ!これ!この爪にする!」


トーリアが持って来たのは、手甲から3本の長い爪が伸びた武器だった。


あれだな、某有名RPGの武闘家スタイルだな。


「良いんじゃないか?森でもいつも自分の爪で戦ってたもんな。」


「うん!やっぱり剣とか槍とかより、扱いやすいなって思って!」


「そうかそうか。」


どうやら、俺がマグワートさんと話し込んでいる間に、練兵場で一通り試していたらしい。


「あっそうだお兄ちゃん。アタシとパパの素材出してくれる?爪作るのに使うんだって。」


「素材ってアレか?トーリアの抜けた牙とか鱗とかか?」


「そうそれ!お兄ちゃんの魔法ポーチの中に入ってるでしょ?」


確かに、ママに後で使うから取っておくように言われて、トーリアの生え変わった牙や爪、鱗は俺の魔法ポーチに入っている。

トーリアも魔法ポーチを持っているが、俺の方が性能がいいから俺のポーチに詰め込まれているのだ。


どうやらドラゴン族は年に一度くらいの頻度で、爪や牙が生え変わり、脱皮もするらしい。


普通の爬虫類の鱗はポロッと取れたりしないのだが、ドラゴンの鱗は戦闘で傷つくと、その部分の鱗がより強く生え変わるらしい。


だから歴戦のドラゴン族の鱗はアダマンタイトよりも頑丈なんだとか。


「どこ行ったかな……。これか?」


「それは、フォレストリザードの鱗だね。」


「あれ?じゃあこっちか?」


「それはウロコンドルの鱗だよ。お兄ちゃんまさか無くしたの?」


「い、いやそんな事はないぞ……。」


いかん、この10年の狩りで得た素材やら、土魔法の練習で掘り起こした鉱石やら、作り溜めした料理とか、何でもかんでも詰め込みすぎた。


22世紀のネコ型ロボットが、いつもポケットから無関係な道具を出しまくる理由がよくわかる。


「あった!これだろ!」


「あ!それそれ!ありがとうお兄ちゃん!」


「後この辺の袋がトーリアの素材で、こっちがパパの素材だな。」


「こんなに溜まってたんだね!じゃあこれでアタシの武器を作ってください!」


「かしこまりました、王女殿下。」


俺が出した素材諸々を武具製作室の人に預けて、俺たちは部屋をあとにした。


「お兄ちゃん、今日の晩御飯ってどこで食べるんだっけ?」


「お城の大広間で立食パーティーらしいぞ。この国の貴族とか各国の来賓も参加するんだと。」


「おー、貴族ってアタシ見たことない。どんな感じなんだろう。」


「俺らの時代には貴族政治って廃れちゃってたから、よく知らないよな。」


城の中を歩くことしばし、俺たちは大広間に到着した。


「お、もう始まってるみたいだな。俺たちは適当にご飯食って帰って良いらしいし、食べに行こうぜ。」


「立食パーティーってビュッフェみたいな感じなんだね。あ、アタシあのローストビーフ食べたい!」


「森の家で食べてた家庭料理も好きだけど、城の食事は高級レストランって感じでたまんないよな!」


俺はステーキ、ハンバーグ、ビーフシチューと茶色で攻めていこう。

と思ったのだが、エルフの体が野菜を求めて、世界樹の新芽のサラダも取り分けてしまう。


エルフは基本的には菜食らしいから仕方あるまい。


部屋の隅にある丸テーブルで、取り分けた料理を二人並んで食べ始める。


「この牛肉、口の中でホロホロ解けてめっちゃ美味しい!牛肉の出汁が出てるシチューも最高!」


「お兄ちゃん!この葉っぱ凄い美味しいよ!」


「お、トーリアもその世界樹サラダ取ってたのか。どれどれ……、うおおお!うまい!瑞々しくてシャキシャキ心地良い歯応えなのに、気づいたら口の中から消えている。」


「このローストビーフ何のお肉だろう。冷えてるのに噛むと肉汁が染み出すよ。」


「このぶどうスライムゼリーもめっちゃ美味いぞ。口に入れるとすぐに溶けるくらい柔らかいのに、形を保ってるなんて、どうなってるんだ。」


そんなこんなであっという間に取り分けた分の料理を平らげた俺たちは、おかわりを貰おうと立ち上がった。


すると、左胸に一輪の赤い薔薇を差した一人の男性エルフが近づいて来た。


「ご機嫌麗しゅう、グロリオーサ王子。私はレッドローズ公爵家当主、メイアン・レッドローズです。どうぞ、お見知りおきください。」


「あ、どうもはじめまして。メイアンさんですね、よろしくお願いします。」


公爵って王族に連なる家系の事だったよな?


てことはこの人は親戚のおじさんか。

仲良くしないとな。

といっても、エルフのおじさんと何を話せば良いのかわかんないんだよな。


などと思っていたのも束の間。


メイアンさんを皮切りに続々とエルフが集まって来た。


「ご機嫌麗しゅう、殿下。私はホワイトローズ伯爵家当主のアイスバーグ・ホワイトローズと申す者です。ぜひともお見知りおき願います。」


「あ、どうもアイスバーグさん。」


「ご機嫌よう、殿下。わたくしはアマリリス商業国のカトレアと申します。陛下に似てお美しいお顔してはりますねえ。どうです、わたくしと踊っていただけしまへんやろか?」


「えっと、カトレアさんですね。あの、俺、ダンスはまだ習ってなくて、ですね……」


ヤバい、めっちゃ挨拶ラッシュ始まっちゃった!


ああ、なんかいつの間にか貴族っぽい人たちに囲まれてる!


トーリアの方を向くと、そっちはそっちで別の貴族に囲まれてしまっていた。

どういうわけか、翼持ちの来賓の方々が多い気がする。


「ご機嫌麗しゅう、トーリア王女殿下。私はピンクローズ侯爵家のニュードーンでございます。」


「ニュードーンさん!こんにちわ!」


「俺は蝙蝠系獣人族のヒットというもんです。あなたのその翼、とても美しい。ぜひとも俺の息子と婚約してもらいたい!」


「え?婚約ですか?えーと、アタシ結婚とかはまだ考えてなくて……」


あぁ、あっちも大変そうだな。


前世で居酒屋バイトしてた時に参加した、社員とか課長とかが居る飲み会を思い出すな。


別にタダ飯食えるのはいいんだが、めちゃめちゃ気使うからあんま美味くないんだよな。


今思うと大学生のバイトが経験する事じゃないよな。


諦めて貴族たちの挨拶ラッシュを迎え打とうとした時、ママがこちらに歩いてくるのが見えた。


「ちょっと!私のかわいい子供たちをいじめないでくれるかしら?」


「「ママ!」」

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