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18話 宰相と近衛騎士団長

今回からエルフの国でのお話です。

「うおーめっちゃ豪邸……」


畑から歩いてすぐの所にあったのは豪邸だった。

いやそりゃ王宮なんだから豪邸なんだが、実際に豪邸を見ると豪邸だなあと思ってしまった。


まず目に見えるのは広大な庭園だ。


「この庭はホーマンさまが手入れしてくださっている庭です。ここの土もとっても美味しいです。」


ベールが歩きながら独特なガイドをしてくれる。


ドライアドって普通にご飯食べてたと思うんだけど、土からも栄養を摂取してるのかな?


「今は陛下の千年の誕生祭ですので、カーネーションを植えております。いくつも魔法をかけておりますので、今年一年はこの光景を見ることができますよ。」


ホーマンの言葉の通り、庭は真っ赤なカーネーションをメインに、ピンク、白など、鮮やかなグラデーションを描いている。

所々に見えるのは、柔らかいライムグリーンやイエローのカーネーションだ。

あんな色のカーネーションもあったんだな。


色とりどりの花が咲き誇る広大な庭園の向こうに、大きな建物がどっしりと佇んでいる。


王宮は白を基調として、エメラルドグリーンの屋根と金銀の装飾が彩りを加えている。


「ここがアタシ達の新しいおうち?」


「そうよ。ちょっと窮屈だけど我慢してね。」


「窮屈って……。まあ、屋根も壁もない家だったから分からないでもないけど。というか、エルフに屋根のある家で暮らす文化があって安心したよ。」


「私はわざわざ王宮なんて建てなくても、結界張ればいいじゃないって言ったんだけど、却下されてね。」


「そりゃそうでしょ。」


「陛下はまたそんな事を言っておられるのですか。王子殿下、我らエルフはちゃんと文化的な暮らしをしておりますので、偏見を持たれませぬよう。」


「いや、大丈夫ですよ。ママ達が開けっぴろげ過ぎるだけですよね。」


そんなこんなで王宮に到着、そのまま応接室に案内される。

メイドさんがお茶とお菓子を持ってきてくれて、一息ついた。


「なんか玄関からここまで、めちゃめちゃ豪華だったな。」


「ね!こんなのアニメでしか見たことないよ!」


「この紅茶も家で飲んでたのより美味しい気がする。高級な味っていうか。」


「このクッキーも家で食べてたのより豪華なかんじする。」


「家で食べてたのは、アタシが200年くらい前に買いだめしてたやつだからね。この200年で美味しくなったのかしら。」


そんな風に俺たちがカルチャーショックを受けていると、応接室の扉がノックされ、メイドさんが開けてくれる。


入ってきたのは二人の男性エルフだ。


一人は恰幅の良い文官風の服装のエルフだ。

エルフが太ってると耳が長いだけのおっさんに見えるから不思議だ。


「お久しぶりでございます、陛下。そして王子王女両殿下、はじめまして。私はこの国の宰相を務めさせて頂いております、ルスローと申します。」


そしてもう一人は、腰の左右に一本ずつ剣を佩いている。

金属製の手甲や胸当てには控えめながらも装飾が施されており、いかにも上級の騎士って感じだ。


「ご無事のご帰還、何よりでございます。私は近衛騎士団団長、コンメリーナ・シルバーソードでございます。殿下方にはお伝えしておりませんでしたが、森の中で陰ながら護衛させて頂いておりました。以後、お見知り置きを。」


「久しぶりねルスロー。コンメリーナも、いつもご苦労だったわね。」


「はじめまして、ルスローさん、コンメリーナさん。俺はグロリオーサって言います。護衛してもらってたなんて気づかなかったですよ。」


「陛下のご意向で、お二人には内密にとの事でしたので。健やかに育たれたようで、何よりでございます。」


「はじめまして!アタシはトーリアです!よろしくお願いしますね!ルスローさん!コンメリーナさん!」


「はい、よろしくお願い致します。」


ルスローさんはめっちゃニコニコしながら頷いている。


おいおっさん。トーリアを邪な目で見ないでくれませんかね?

こっちにはママが居るんだぞ。クビにしてやろうか。


「陛下が留守の間に私も娘が生まれましてな。ちょうどトーリア姫殿下と同じ年頃なもので、微笑ましくて。」


すいません!邪な目とか思ってすみませんでした!

優しいお父さんの目だった。


「さて、挨拶はこれくらいにして、誕生祭の打ち合わせを始めましょう。今回の祭りは陛下の千歳のお祝いと、両殿下のお披露目を兼ねておりますので、皆様で馬車に乗って王都をパレードして頂きます。」


「まあそれくらいなら良いわよ。」


「祭りの期間中は毎日12時から1時間ほどかけて、毎日ルートを変えて王都を練り歩いて貰います。」


「ん?毎日?祭りって何日やるのよ。」


「30日間です。」


「はあ!?一ヶ月毎日パレードすんの!?嫌よめんどくさい!」


「そう仰いましても、これでも簡略化されているのです。先代の陛下の時は一万歳の誕生祭を1年間やっていたそうですよ。」


「い、一年!?」


「まあ、私も陛下も生まれる前の話ですからな。一万歳ともなると一年くらいで丁度いいのかもしれませんな。」


「あの、失礼ですが、ルスローさんっておいくつなんですか?」


話の途中だが、俺は気になったので聞いてみた。


「私は今年で532歳になります。」


「ほほう。お若い、ん、ですね?ちなみに、コンメリーナさんは?」


「私は3782歳でございます。先代の誕生祭は確かに一年間お祝いしておりましたが、パレードは最初の一ヶ月だけでしたね。街は1年間お祭りで賑わっておりましたが、陛下は王宮のバルコニーから顔を出すくらいです。」


「はえー歳の差すごいっすね。」


ママとパパより年上なんだな、コンメリーナさん。


「という事で皆さま、明日からの一ヶ月間、お願いいたします。」


「はい、わかりまし……明日!?リハーサルとか無いんですか!?」


「まあ、馬車に乗って手を振るくらいで大丈夫ですので。」


「護衛は我ら近衛騎士団にお任せください。」


ええ……

そんな感じで大丈夫なのか?

パレードなんてエレクトリカルな奴しか知らないんだけど大丈夫かな?


「パレードの後は城の大広間で来賓の皆様とダンスパーティーを兼ねた晩餐会を執り行いますので、皆様ご出席ください。」


「それ私欠席しちゃダメかしら?」


「陛下……。主役なのですから、欠席など出来るはずありません。」


「えーめんどくさーい。」


俺はちょっと興味あるけどな、晩餐会。

お城で出る料理ってどんなのかな?


「それでは、私はまだ仕事がありますので、これで失礼させて頂きます。」


そう言ってルスローさんは出て行ってしまった。


その後俺たちはメイドさんの案内で各自の自室に行き、解散となった。

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