どうやら罠にはめられたらしい
………………なんか足が早くなってるな………………これはこれでいい。
歩き始めて数分……………一向に止まる気配はない。
………………というかずっと無言で悲しくなってくるんだが………………何か話した方がいいのか?
………………話した方がいいよな!よし、頑張れ聖夜!今こそ勇気を持つんだ!
「あ、あの……………」
??「何でしょうか?」
「いえ、その……………あ、貴方はもしかしてお姫様、とかですか………………?」
姫様「はい。ご挨拶が遅れてしまい申し訳ございません。クレヴァス王国第一王女、マリア・レーラ・クレヴァスと申します」
そう言うとお姫様は綺麗なカーテシーをした。
「ご、ご丁寧にありがとうございます……………えっと、蒼穹守聖夜です……………」
僕もそう言ってお辞儀をした。
カーテシーとかできないからな!
姫様「さぁ、着きましたよ。お部屋の中へどうぞ」
「あ、ありがとうございます」
中に入るとそこは広く、何もかも大きかった。
………………絶対これ小さくなってなくても大きかっただろ………………
そう思っていると、お姫様が手を差し出してきた。
え、『今から握りつぶしてやるよ』的な?
姫様「テーブルの上へお運びいたしますので、どうぞお乗りください」
「あ、わかりました………………ありがとうございます」
そう言う事だったのか……………
手に乗ると視線が高くなる。
おお、これはまぁまぁいい絹だな。
そう思っていると、突然投げられた。
「いっ……………たくはないが………………⦅ガシャンッ⦆え?」
投げられ、何か柔らかいものにぶつかった衝撃でうつ伏せになった体を起こし、音のした方を見る。
そこには、金色の柱が並んでいた。
周りを見ると僕を囲む様に金色の柱が並んでいる。
隙間は今の体でも出られそうにないくらいの広さだった。
地面には布が敷かれていて、柔らかく、クッションのようになっている。
「え………………え?どういう………………?」
頭が上手く回らない。
え、何故?なぜこんなことに?
そう思っていると笑い声が聞こえた。
声のした方を見るとお姫様が笑っていた。
姫様「あっははは!馬鹿ね!あの知力のステータスは何だったのかしら!」
「ま、さか………………嵌められた………………?」
姫様「ふふ、そうよ?これから貴方は奴隷として売られるの。戦えない、小さい、スキルも大したことない貴方に出来ることと言えば、売られてお金を稼ぐことだけでしょ?」
「ぬ、布は織れる!!」
姫様「お父様も言っていらしたでしょう?そんなこと平民でもできるの。分かる?そんなの大したことじゃないのよ。大丈夫よ。勇者様達には私達からちゃんと言っておくから。心配なさらないでね?ああ、でもあの様子だったら本当のことを言ってもいいかもね?」
「何故売るんだ!こんな僕なんか、売れる訳)姫様「知ってる?亜人ってね、普通の人族よりも高値で売れるのよ。貴方は人族だけどずーっと小人のようだし、小人は今はもういないと言われている亜人族だから、さぞ高値で売れるでしょうね?」そんな………………」
姫様「そんなスキルを持ってる方が悪いのよ。精々いいご主人様に買われるといいわね。じゃあ、後でメイドが来るから。さようなら、無能な小人さん?あっはははは!!」
⦅バタンッ⦆と音を立てて扉が閉まる。
部屋の中を静寂が包んだ。
「………………は?売られる?僕が?なんで?」
そんなことを考えても仕方がない。
仕方がないことは分かっているが、考えずにはいられない。
「………………取り敢えず、ここから出られないか、見てみるか」
柱………………鉄格子に触れる。
冷たい………………折れたりはしなさそうだ。
扉も鍵が掛かっているようで、鍵穴はあるが届きそうにないし、鍵も見つからない。
「………………はぁ……………出られない、か………………」
スキルを見てみても無理そうだな。
因みにHPは1減っていた。
この程度で減るのか………………大変だな。
その後は窓の外を見たり、歌を歌って1人の時間を過ごした。