第十五話 日野からの挑戦状
放課後になり、石田に試験勉強を教えてもらうため、俺と聖、健児、
ボディビル部の相川でファミレスに行く事になった。
今日も校門が賑わっている。
俺のいやな予感は当たった。
…日野だよ。
女子に囲まれている。
「ホントに今日も来てる」 聖が言った。
「何考えてんだか…」 健児があきれて言った。
今日は3人ほどの仲間をを連れて来ていて、これがまた粒ぞろいのいい男だったため、
女子は大喜びだ。
「あっ!聖ちゃん~」
日野が、聖を見つけて近寄ってきたので俺は聖を後ろに隠した。
「ちょっとちょっと、城~くん。また邪魔する気?困ったちゃんだねぇ」
―――うわ、うわ~なにその上から目線。同じ高3だろーが!
「あのさぁ、この二人付き合ってんだよ。邪魔なのはおまえだろーが」
健児がムッとして日野に言った。
「あっ、君は関係ないから、あっちへお行き~」
日野は健児に向かって、手でシュシュっと追っ払うジェスチャーをした。
「なんだとぉ、テメェーー」
殴りかかって行こうとした健児をみんなで止めた。
「健児、やめろ。学校の前だ、暴力はダメだ」
俺が健児に言うと、ふくれっ面になった。
「私、昨日も言ったけど、あなたと付き合う気ないし。城とずっと一緒に
いるつもりだし~」 聖が俺の後ろから顔だけ出して言った。
―――う~~、聖ぃ、かわいすぎるぞ!っと。
「もういいかげんにしてもらえませんか?日野さん、本当にめいわ」
言い終わらない俺の言葉を遮るように日野が言った。
「やだやだやだーーー。僕は聖ちゃんと付き合う!僕とのツーショットが
一番似合うのは聖ちゃんだけだぁぁ」
日野は地団駄を踏んだ。
おいおいおい、それじゃただの幼稚園児だよ、キャラおかしいし。
回りにいた女子たちも、日野の新しいキャラに少し引き気味になった。
「じゃー、こうしよう、城くん!…おい、出せ!」
日野はそう言うとお付の男から一枚のプリントを受け取り、俺の顔に押し付けた。
「近すぎて見えないんですけど…日野さん」
「あっ、これは失礼。これで勝負だぁぁ、城くん!」
俺はプリントされた紙を取り読んだ。
「第5回イケイケメンメン・イケメンコンテスト プレゼンツBY 点々社」
それは人気メンズ雑誌が年に2回行うイケメンコンテストの募集の紙だった。
「どうだ!これで優勝した方が、聖ちゃんを彼女にする」
日野は意気込んで言った。
俺はプリントの紙を日野に投げつけて言った。
「あのさぁ、日野さん。聖は物じゃないし、優勝した方が、って、はじめから
俺の彼女なんだよ!!聖は!!」
俺はだんだんムカつき怒鳴った。
「あっ、自信がないんだぁ。負けるとわかっているコンテストには出ないんだぁ、
ふ~ん、へ~、そうなんだぁ」
日野は落ちたプリントを拾い上げながら言った。
日野の挑発に乗るわけにはいかないが、
「ふざけんなよ!日野!だまってきてりゃー」
俺はそう言い、日野の胸倉を掴もうとした時、聖が俺の前に出てきて言った。
「わかった。もし、コンテストで城が優勝したら、日野さんは二度と
私たちの前に現れないのね?」
―――ええ!聖、どうして、そういう方向に話を持っていくんだぁ。
「いいよ。まぁ、僕と聖ちゃんの前から消えてもらうのは、この城くん!
なんだけどね!ピシッ!」
日野はそう言うと、人差指で俺の顔をさした。
聖は日野の手からプリントを剥ぎ取った。
「あっ、ちなみに僕はすでに応募済みだから。締め切り、明後日だから
早くした方がいいよ、城!!くん!!ピシッ」
日野はまた俺を人差し指で指していった。
―――人を指指しちゃダメって親に教えてもらってないのかよ、こいつ。
「行こ!城」
聖は俺を引っ張って大股で歩きだした。




