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『ワイルドキャット・カンパニー』 ~俺達、過疎ゲー、ゲーマーズ~  作者: 水野 藍雷
第3章 遺志を継ぐもの……
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第33話 ミッション5-4 その1

このミッションだけは2日に別けて投稿します。だって長いんだもん。

 ミッションゲートを潜ると、俺達は前回のミッションの最後でギガントスと戦ったフロアの前に居た。

 恐らく今は閉じている後ろの扉の反対側には、ギガントスの死体が転がっているのだろう。

 そして、俺達の目の前では天井が崩れて出来た瓦礫が上の階まで積まれていて、その瓦礫の前に今回のミッションにゲストで参加するアンダーソンが瓦礫を見上げていた。


「よう! 準備は出来たか?」


 俺達に気付いたアンダーソンが振り向いて話し掛ける。


「ああ。今回はよろしく頼む」

「はははっ。この戦争をずっと戦ってきた仲じゃねえか。イージーに行こうぜ」


 ボスが答えると、アンダーソンが肩を竦めた……は?


「ねえ。アンダーソンって……ううん、違う。NPCってあんなに気さくに答えていたかしら?」


 アンダーソンの様子に今までと違う印象を感じていると、ミケが小声で話し掛けて来た。


「確かに違うな。その何て言うのか、人間くさい?」

「……そうね。そんな感じだわ」


 俺とミケが小声で話していると、アンダーソンが現在の状況について説明を始めた。


「今、生き残った俺の部下が脱出ルートを探している。運が良けりゃ連絡が来るだろう。まあ、あれだ。俺達は何時もピンチな時だけ運が良いから、今回も生き残ると思うぜ」

「本当にそう願いたいもんだ」


 ドラが返答なんて期待せず呟くと、それを聞いたアンダーソンが口角の片方を尖らせて笑みを浮かべる。


「ドラねこ。俺の部下だってそれなりに優秀なんだぜ。何だって隊長(ロックウェル)が鍛えた兵士だからな」

「お、おう……」


 アンダーソンから返答どころかキャラネームも呼ばれて、ドラが驚いた様子で頷き返した。


「それと、ボスキャット。俺はアンタの下に入るから、好きなように指示を出してくれ。ただし、いきなり敵にツッコめってのは勘弁な」

「あ……ああ、もちろんだ」


 ボスが驚きながらも答えていたが……俺達全員が今までと違うアンダーソンの様子に驚いていた。


 一体、何なんだ?

 まず、いつものオートモードが発生せずに普通に動けている。

 次に、アンダーソンと普通に会話が成立している。しかも、冗談まで言って来て内容が定例文とは思えない。そして……。


アンダーソン『それじゃ行こうか。マザーコンピューターが俺達を待ってるぜ』


 アンダーソンもインカムを使用して、俺達の会話に混ざるらしい。


 戸惑う俺達にアンダーソンが再び笑みを浮かべると、瓦礫を登り始めた。

 どうやら今回のミッションは今までと何かが違う……アンダーソンの後ろ姿を見てそう感じた。







 瓦礫を登った俺達は、前回のミッションで最初にヘビータンクと戦った部屋の前に立っていた。

 扉の脇で俺が控え、反対側にはドラの替わりにアンダーソンが控える。

 彼の使用する武器はM4カービン。ピカニティーレールにはダットサイトとM203グレネードランチャーを付けていた。コイツもM4かぁ……。


アンダーソン『スピードキャット。新たに敵が居るはずだ。気を付けろよ』

すぴねこ  『俺の事は特別にすぴねこって呼んで良いぜ。それに他の連中もコードネームで構わねえ。俺が許可するよ』


 試しに冗談を言ってみたらアンダーソンが驚いたけど、すぐにそれを引っ込めて笑顔で頷いた。


アンダーソン『オーケー。そうさせてもらう』


 冗談が通じて逆にこっちが驚く。これで驚くのは何度目だ? そろそろ、コイツのドッキリに疲れてきた。


ミケ    『別にすぴねこの許可なんて取らなくても、好きに呼んで構わないわよ』

すぴねこ  『じゃあ、お前のコードネームは今から邪気眼な』

ミケ    『今度それを言ったら、冗談でも殺すわよ』


 ミケが俺のケツを軽く蹴とばす。


アンダーソン『ははっ。お前等、面白いな。もしかして恋人同士か?』

すぴねこ  『無理、無理。気性が激しすぎて、俺には扱いきれねえ』

ミケ    『私だって、こんな性格の捻くれた男を彼氏にするなんて無理よ』


 俺とミケの言い争いが始まりそうになるのを見て、ボスが止めに入った。


ボス    『お喋りはここまでだ。時間もあまりない、突入するぞ!』

すぴねこ&アンダーソン『『了解』』


 ボスの合図でアンダーソンが扉を開けて、俺が突入する。

 部屋の中に入ると奥にある階段前で、2体のガーディアンが俺達を待ち構えて居た。


すぴねこ  『コンタクト! ガーディアン2。右から行くぜ』

アンダーソン『左は任せろ』


 俺がインプラントを発動させるとアンダーソンもインプラントを発動させて、俺の動きに付いて来た。


ミケ    『嘘!? インプラントも使うの?』

すぴねこ  『もう驚かねえぞ、コンチクショウ!』

ボス    『マジか!? ねえさんとチビちゃんはすぴねこのアシスト、ドラとミケはアンダーソンと戦え!』

『『『『了解』』』』


 スローな世界でガーディアンがグレネードを発射するのを、俺とアンダーソンが着弾するよりも高速で近づき攻撃を避ける。

 ガーディアンはグレネードで倒せないと判断すると、腰の剣を抜こうとしていた。


 剣を抜こうとした腕を掴む。ガーディアンは掴まれた俺ごと剣を抜いて、その勢いで体が宙に浮いた。

 空中でガーディアンの肩のグレネードランチャーを掴みバランスを整えると、体を飛び超えて背後に回った。

 同時にインプラントが切れて、先ほどガーディアンが撃ったグレネードの爆発音が聞こえる。


 床に着地すると同時に、KSGで右腕のユニットを撃ち抜き、直ぐにバックステップで敵の攻撃範囲から離れる。

 ガーディアンは振り向きざまに剣を振るうが掠りもせず、お返しに首を掻っ切るジェスチャーで煽った。


 振り返って背後を見せたガーディアンに、ボスとチビちゃんが攻撃を開始。

 残り3つのユニットを壊してシールドの解除をすると、ねえさんがジェネレーターを破壊した。

 装甲が剥がれて顔を見せたガーディアンの顔面に、KSGの銃口を向ける。


すぴねこ  『顔面整形だ』


 目の前の銃口に驚くガーディアンに、スラッグ弾を撃ち込んだ。


すぴねこ  『随分とイケメンになったな』

ねえさん  『何言ってるのよ。首から上が吹っ飛んでるじゃない』


 俺の冗談にねえさんが肩を竦める。


 一方、アンダーソンの方はというと、ガーディアンの背後に回って装甲の解除をミケとドラに任せると、自分は囮に専念していた。

 そして、2人がユニットとジェネレーターを破壊するのを見るや、最後はM4カービンでトドメを刺していた。


アンダーソン『オールクリア』


 ガーディアンを倒したアンダーソンがクリアの報告をする。


すぴねこ  『一体、何の心境の変化があったのやら……』


 前にアンダーソンの戦闘を見た時は遠距離からペチペチ銃を撃つだけだった。

 しかも、撃っている最中に頬を突いて邪魔をしたら、無言で払うだけでシカトされてたし。


チビちゃん 『何だって良いじゃん。強いんだから』

ドラ    『そうそう。何時もガーディアンが2体同時で湧くと、片方の牽制に手間が掛かるから今回は楽だぜ』

ねえさん  『待って! 上からタレット兵8体よ!』


 チビちゃんとドラがアンダーソンを褒めていると、部屋の階段から降りてくるタレット兵が降りて来た。


みけ    『もしかしてまた無限湧き?』

ボス    『カラテカ式だな』

アンダーソン『カラテカ?』


 俺が初めてカラテカ式を聞いた時と同じ様に、アンダーソンがカラテカ式を理解できず顔を顰める。


すぴねこ  『ほら、ボスのせいでアンダーソンが首を傾げてるぞ』

ドラ    『アンダーソン。カラテカってのは、ボスの親父の名前だ』

アンダーソン『そうなのか? 随分と変わった名前だな』

ボス    『嘘を教えるな!!』

チビちゃん 『カラテカJr、ウルサイ』

ボス    『……ごめん』


 ドラの冗談を怒るボスにチビちゃんがジロっと睨んで黙らせると、新たな敵の集団との戦闘が始まった。







 現れた敵ドロント兵は空中に浮かんで攻撃を開始。


すぴねこ  『ボス! 先に行くぞ』


 タレット兵なら倒すのに時間は掛かるが雑魚なので、俺が居なくても問題ないだろう。

 それよりも、今は敵が湧く根本の転送装置を破壊するのが先決だった。


ボス    『アンダーソン、ミケ。すぴねこと一緒に先行しろ』

アンダーソン『分かった』

ミケ    『了解』


 俺1人で行かせるのに不安だったボスが、アンダーソンとミケを監視に付けてきた。


すぴねこ『ゴーゴーゴー!』


 ボスが威嚇射撃をしている間にアンダーソンとミケを急かして、タレット兵の攻撃を避け階段を上がるが、丁度、階段からガーディアンが降りてくるところだった。


アンダーソン『避けろ!』

すぴねこ  『おっと!』

ミケ    『キャ!』


 ガーディアンが蹴り上げるのを見て、アンダーソンは俺達の逆側に飛び降り、俺はミケを階段脇から突き落とすと、階段上から後ろに飛び退く。

 俺の顔の僅か先をガーディアンのつま先が通り過ぎた。

 そのままバク宙して階段から降りて床に着地してから、中腰でKSGを構える。


すぴねこ  『ミケ!』

ミケ    『そう急かさないでよ!』


 俺が前面で囮になっている間に、アンダーソンが右足のユニットを、ミケもすぐに立ち上がるとHK417A2-20で左足と右腕のユニットを破壊。

 両脇からの攻撃に階段上のガーディアンは何も出来ず、視線を俺に戻すと剣を抜いて階段を降りようとしていた。

 何も出来ないガーディアンに、アンダーソンが残りのユニットとジェネレーターを撃ち抜き、ガーディアンの装甲が剥れる。

 最後は全員で3方向からヘッドショットを決めて仕留めると、俺達はガーディアンの死体を避けて上のフロアに突入した。


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