表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『ワイルドキャット・カンパニー』 ~俺達、過疎ゲー、ゲーマーズ~  作者: 水野 藍雷
第2章 弾薬と白い子猫
59/108

第27話 ミッション2-4 その4

 格納庫に入ると、だだっ広い場所に、一機だけ敵の輸送機が置かれていた。


「どうやらここは、緊急脱出用の飛行場らしいな」


 格納庫を見渡して、ロックウェル小隊長が呟いた。

 彼は軍人を退役したら、この星の観光案内でひと稼ぎできると思う。


「隊長。あの戦闘機を掻っ払って逃げますか?」

「当然だ」


 スコーピオン小隊のNPC……確か前回のミッションで、俺がドロップキックをぶちかましたマイケルの問いかけに、小隊長がニヤリと笑って頷いた。


「よし! アンダーソン、あの輸送機のチェックだ。後は周辺を警戒しろ」

「了解」


 ロックウェル小隊長の命令に、全員が移動を開始。

 俺達も彼等の後を付いて行き輸送機へ近づくと、突然、耳元で狂った様なギターのフレーズが聞こえてきた。


ドラ   『うげっ!?』

すぴねこ 『この殺人臭メタルは……ボスが来るぞ!!』


 銃を構えて警戒していると、輸送機の左右の床が開いて、それぞれの床からヘビータンクが1体づつ現れた。


チビちゃん『嫌ーービリケン様ーー!!』

ドラ   『しかも2体かよ!』

ミケ   『生身で戦う相手じゃないわ!』

ねえさん 『戦車相手に素手で戦う様なものね……』


 ミケとねえさんの言う通り、前回は戦車に乗って戦ったから何とか勝ったが、生身で4mの巨体のヘビータンクと戦うのは自殺行為に近い。


「ヘビータンクが2体か……俺達が1体を引き受ける。もう1体は任せた」


 どうやら、スコーピオン小隊が1体を引き受けるらしい。

 彼等は、左側で俺達を待ち構えるヘビータンクに向かって戦闘を開始した。


ボス   『仕方がない、俺達も行くぞ!』


 ボスの命令に全員頷く。

 このシナリオ最後の敵、ヘビータンクとの戦いが始まった。







 全員が手ごろな遮蔽物に身を隠すと、ヘビータンクが両肩のミサイルを構えた。

 同時にボスが身を乗り出す。


ボス   『俺が囮になる。全員散開!!』


 ヘビータンクの肩から2発のミサイルが発射するのと同時に、ボスの銃口が火を噴いた。

 1発のミサイルに弾丸が命中して、空中で爆発。

 もう1発がボスへと近づくが、当たる直前にボスが遮蔽物に身を隠した。

 ミサイルが遮蔽物に命中して爆発。激しい爆音が辺りに響き、ボスが煙に包まれた。


チビちゃん『ボス!!』

ボス   『ぐはっ! HPが80%減った。回復頼む』

チビちゃん『うん!』


 ヘビータンクがミサイルを装填している間、俺を含んだ全員が散開。

 ミケとドラはとばっちりを喰らわない様にボスの左右へ移動、チビちゃんはダメージを負ったボスに駆け寄って、彼を回復。

 ねえさんは、ヘビータンクのジェネレーターを狙撃するため、大回りで敵の背後へ移動していた。


すぴねこ 『オラ! 空飛ぶクソデブ、俺が相手だ。Ураааааааа(ウラーーーーーーーー)!!』


 そして、俺は全員を守るため、ヘビータンクに向かって突入した。


ドラ   『でた。キレたロシア兵』

ミケ   『ああなると強いのよね』


 後ろでごちゃごちゃ言われているが、今の俺は何を言われようと、耳元で流れる臭メタルだって気にしない。

 ヘビータンクは俺に気付くと、ミサイルをこちらに構えた。装填早えぇよ!


 発射と同時にインプラントを起動して高速で移動。着弾する前に走り抜け、2本のミサイルが俺の頭上を通り越した。

 走りながら敵の肩にあるミサイル口を狙って、ショットガンのトリガーを引く。

 着弾する前にヘビータンクが左へホバーリングして、攻撃を回避した。


すぴねこ 『チッ!』


 リロード中にヘビータンクが体当たりを仕掛けて来た。

 左へ避ける、いや、相手が僅かに左へ動いた! 咄嗟に右へ飛び退いて、体当たりを回避。

 インプラントが終了すると同時に、俺を狙ったミサイルが遅れて後方で爆発していた。


 他の皆が攻撃を開始。ヘビータンクは銃弾を避け、俺の周りを半回転して裏に回る。

 そして、再び突進。俺もヘビータンクに向かって走り出した。


 交差する直前、スライディングして地面を滑る。

 宙を浮くヘビータンクと地面の僅かなスペースをすり抜け、ショットガンを抱えながら闇雲にトリガーを引いた。


 弾丸がヘビータンクのジェネレーターを僅かに逸れて背中に当たるが、相手は無傷。

 地面を滑りながら体を回転させて勢いをつけて立ち上がれば、ヘビータンクは既に振り向き、2発のミサイルを発射するところだった。







 ミサイルの発射と同時に2発の狙撃音がして、ミサイルが空中で爆発。


ミケ   『命中!』

ねえさん 『今よ!!』


 ミケとねえさんがそれぞれ1発づつ、ミサイルを撃ち抜いたらしい。

 この僅かな隙にショットガンをリロード。構えて直ぐにトリガーを引く。

 ミサイルを発射した直後で動きを止めていたヘビータンクの右肩に命中。肩にあったミサイルランチャーが爆散した。


すぴねこ 『デブ野郎、肉を食うな、サラダ食え!』


 ミサイルランチャーを破壊されて暴れるヘビータンクを煽れば、暴れるのを止めて視線が俺に集中した。


すぴねこ 『あ、これ、絶対殺すマンだ』

ミケ   『自業自得よ』


 向き合っていると、ヘビータンクが体当たりの態勢を取った。

 その体に後方で控える味方からの弾丸が襲撃して、動きを鈍らせた。


ねえさん 『すぴねこ、後ろを向けさせて』

すぴねこ 『了解』


 応えたけど、ねえさんの無茶振りが酷い。


 僅かなダメージでもしつこい攻撃に嫌気がさしたのか、ヘビータンクが後ろへ下がる。

 そこへチビちゃんのグレネードがヘビータンクの後方へ振り落ちた。


 爆発から逃げるようにヘビータンクが俺の方へ突進する。

 再び俺も敵に向かって走り出せば、先ほどの攻撃を覚えていたのか、ヘビータンクが体を低くさせてきた。

 ヘビータンクが地面に火花を散らせて接近する。


すぴねこ 『ミケ!!』


 叫ぶと同時に、背後から弾丸が俺を通り越してヘビータンクの顔面に命中した。この攻撃でヘビータンクの勢いが減少。

 胸からグレネードを取り出してピンを口で抜き、残っていた左肩のミサイルランチャーの銃口に投げ入れた。


 逃げ遅れた俺をヘビータンクがぶち咬ます。

 勢いが減少したとはいえ、真正面から巨体の体当たりを喰らって、吹っ飛ばされた。







 俺の投げ入れたグレネードが爆発して、残っていたヘビータンクのミサイルランチャーは爆発していた。

 一方、俺は吹っ飛ばされて地面をごろごろと転がり、死んだように床に倒れた。


チビちゃん『すぴねこ君!』

すぴねこ 『状態異常で動けんけど、生きてるぞーー』


 HPが4%しか残ってないし、次に攻撃を喰らったら死ぬけどな。


 確実に殺そうとヘビータンクが、俺に振り向く。


ねえさん 『このタイミングを待ってたわ』


 ねえさんの声がしたのと同時に、弾丸がヘビータンクの背中に命中。ジェネレーターが爆発した。


「ブギャーーー!!」


 装甲を剥がされたヘビータンクが豚の様な顔をさらけ出し、雄たけびを上げる。


ボス   『これで終わりだ!』


 ボスの機関銃が連続で銃音を響かせ、弾丸が次々とヘビータンクに命中。

 全身に銃弾を浴びたヘビータンクは床に落ちると、そのまま倒れて息の根を止めた。







ミケ   『無茶し過ぎよ』

すぴねこ 『マジで死んだと思った』


 ミケがヘビータンクの勢いを殺してなかったら、確実に死んでいた。

 気絶から回復して、その場で胡坐を組む。


すぴねこ 『まあ、助かったよ』

ミケ   『……そう? 一つ貸にしておくわ』


 俺が礼を言うと、都会で珍獣に出会った様な目で驚かれた。


チビちゃん『んじゃ回復するね』

すぴねこ 『お手柔らかにお願いします』

チビちゃん『はーい』


 メディカルキッドが俺のデコに刺さって、HPが回復した。


ドラ   『これで終わ……うわっ!! 何すんだ!』


 最後まで言わせる前に、ドラの足元に向かってショットガンをぶっ放す。


すぴねこ 『だから、フラグ立てるのヤメーーい』

ねえさん 『そうよ。それで前回、ギガントスが出て来たんだから。少しは自重したらどう?』

ドラ   『ス……スンマセン』


 抗議される前に文句を言えば、ドラが俺とねえさんに謝った。


ボス   『さて、あっちの方はどうなった?』

チビちゃん『あ、そう言えばまだ戦っているのかな?』


 すっかり忘れていたが、ヘビータンクは2体居て、もう片方の敵はスコーピオン小隊が戦っていた。

 俺達が彼等の事を案じていると、そのスコーピオン小隊が俺達の前に姿を現した。


「どうやらそっちも倒したみたいだな。こっちも貰ったアイテムのおかげで全員無事だったぞ」


 どうやら、バリアシールドが役に立ったらしい。

 もし、あげずに俺達が使っていたら死んでいたのか?

 答えの出ない考えは無意味なので、頭からポイッと捨てた。


「隊長、チェック完了。無免許ですが飛ばせますよ」

「よし、全員乗り込め。基地に帰るぞ」


 輸送機のチェックをしていたアンダーソンが顔を出して報告すれば、隊長が全員に声を掛ける。


ミケ   『やっと帰れるわね』

すぴねこ 『まあな』


 輸送機に乗り込んで席に座っていると、ミケが話し掛けて来たので、適当に答える。


ミケ   『何? 嬉しくないの?』

すぴねこ 『もちろん、嬉しいよ。だけど、それ以上に疲れたよ』

ミケ   『すぴねこが疲れるなんて珍しいわね』

すぴねこ 『昨日もビショップと一緒に半徹夜で遊んでいたからな』


 そう言って肩を竦めると、ミケが驚いてから、呆れた様な表情でため息を吐いた。


ミケ   『呆れたわ……心配して損した』


 そう言って、ミケがそっぽを向く。


 ん? 今、一瞬だけミケの表情が分かったな。

 あれが女性の顔ってヤツか……あれ? ミケってもしかして、美人なのか?


 俺が首を傾げていると輸送機が動き出し、俺達はタワーを脱出して空へと飛び立った。




 結果

  クリアタイム  97分51秒

  死亡者数    0人

  シークレットミッション オールクリア


 判定

  Sランククリア


 報酬

  クリアボーナス       Sランク 20000D

  取得スキルポイント     Sランク 5ポイント(MAX)


  初回Sランククリアボーナス 10000D

  初回シナリオクリアボーナス 20000D

                5ポイント


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ