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『ワイルドキャット・カンパニー』 ~俺達、過疎ゲー、ゲーマーズ~  作者: 水野 藍雷
第1章 過疎ゲームの6人
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第30話 ミッション1-4 その6

 本気を出したガーディアンは、攻撃前に見せていたテレフォンパンチの様なモーションは無くなり、全体的な動きが早くなった。

 その素早い動きに背後を取りたくても取れず、ガーディアンの一方的な攻撃を避け続け、さっきは挑発しなきゃよかったと絶賛後悔中。


 振り下ろされた剣を右に避け、シールドバッシュを今度は左にステップして回避する。

 なぎ払いの剣が左から迫り、咄嗟の判断でバックステップして後ろに下がるが、剣先が俺の胸元に触れて装備の一部が飛び散った。

 そして、ガーディアンがとどめを刺そうと、体勢を崩した俺の脳天目掛けて剣を振り下ろしてきた。


 次の瞬間、インプラントを起動。

 目の前の剣が高速からスローになり、その剣先をかい潜ってガーディアンの背後へ回った。

 ショットガンの弾を装填して、ぶん殴る替わりに後頭部目掛けてショットガンを放つ。


 後頭部への攻撃でガーディアンが前のめりになって、目の前にあるのはガーディアンのケツ。

 本当だったらふくらはぎのユニットの1つでも破壊するべきなのだろう。

 だけど、2か所の破壊は時間的に無理だし、1つ破壊しただけだと意味がない。

 だから、挑発を込めてケツを蹴り上げた。クソ固てえ。


 キレたガーディアンが振り向き、盾でぶん殴ってくる。

 それをバックステップで回避するのと同時に、インプラントが切れて速度が戻った。


 ジリジリと迫る相手に向かってショットガンを放つ。

 弾丸は全て盾で防がれるが、それでも撃ち続けながら少しづつ後ろへ下がった。


すぴねこ 『オラ、最初に俺を虫けらの様に見ていた目はどうした。今のお前は、ミケよりも優しい目をしてるぞ』

ミケ   『すぴねこ、後で話があるわ』


 ミケの文句を無視して、さらに後ろへ下がる。

 距離が3m離れると、ガーディアンが再び剣を後ろに引いた。


 これを待っていた。


 ガーディアンが突きを放つと同時に、横へ飛び退く。

 俺が避けた場所をガーディアンが通り過ぎ、ドラが仕掛けた地雷を踏んだ。

 地雷が爆発して、ガーディアンの両ふくらはぎのユニットが破壊され、ジェネレータを守っていたシールドが解除された。


ドラ   『志村、後ろ』


 ガーディアンの後ろから声がしたと思ったら、ジェネレータに弾丸が撃ち込まれた。

 戦っていて気付かなかったが、ドラは地雷を仕掛けた後に皆の所へ戻らず、反対側へ移動して待機していたらしい。せめて、一言ぐらい言え。


 ジェネレータが壊れて、ガーディアンの装甲が剥がれる。

 久しぶりに見るガーディアンの顔は、目が4つあり口は横と縦に分かれた、肉食昆虫の様な容姿だった。


すぴねこ 『あばよ、クソ野郎。レスト・イン・ピース(安らかに眠れ)


 開いた口にショットガンを押し付けてトリガーを引く。

 ガーディアンの顔面を吹き飛ばし、苦戦した長い戦いが終わった。







すぴねこ 『チビちゃん。ヤク……ヤクをくれ』

チビちゃん『ほーい。だけど、何時ケガしたの?』


 チビちゃんは俺に近寄ると、ボディーブローのようなモーションで俺の腹に救急キッドを打ち込んだ。


すぴねこ 『うっ……肘のユニットを壊す前かな。1発の体当たりで70%HPが減った』

チビちゃん『よく生きてたね』

すぴねこ 『ショットガンの反動で後ろへ飛んだから助かったけど、撃たなかったら即死だったかも』


 治療を受けながらチビちゃんと会話をしていると、背後から怒りの波動を感じて後ろを振り向く。

 そこには、ミケがクズを見下ろす様な目で俺を睨んでいた。


ミケ   『すぴねこ。さっき何を言ったか覚えてる?』

すぴねこ 『何か言ったっけ?』


 はて? 何か言ったかな。戦闘で興奮していたから覚えてない。


ミケ   『虫けらの様な目で悪かったわね』

すぴねこ 『ああ、思い出した。虫けらを見る様な目とは言ったけど。お前の目が虫けらの目とは言ってないぜ』

ミケ   『……それ、どういう意味よ』

すぴねこ 『圧が凄いって意味』

ドラ   『おーい、このリフトから上に上がれるぜ』


 ミケが何かを言おうとしたタイミングで、敵が降りて来たリフトを調べていたドラが声を掛けて来た。

 これ幸いと、ミケから離れてリフトへ向かう。

 ミケはまだ何か言いたそうだったけど、深くため息を吐いて俺の後からリフトに乗り込んだ。







 俺達を乗せたリフトが上昇して最上階に到着する。

 俺を先頭に管制室に乗り込むと敵の兵士は居らず、空に浮かぶ無抵抗のドローンだけが俺達を無視して何かの作業をしていた。


すぴねこ 『コイツは破壊すれば良いのか?』

ドラ   『最初に暴力的な解決方法を考えるとは流石だぜ。一度、カウンセリング受けてこいよ』

すぴねこ 『そう褒めるなよ。照れるじゃねえか』

ねえさん 『会話が成り立ってる様に見えるけど成り立ってない、滅茶苦茶な会話ね』


 管制室を調べていたボスが窓際の操作パネルを弄る。

 どうやらそれが正解だったらしく、突然ミッションクリアのインフォメーションが表示された。


すぴねこ 『お? 破壊しなくても良かったのか。チビちゃん良かったな。平和的解決を選択したボスにDVはないぞ』

チビちゃん『当たり前でしょ。ボス優しいもん』

ドラ   『ヒューヒュー』

ボス   『恥ずかしいからヤメロ』


 俺達が話をしていると、全員のスマホから着信音が鳴り、動けなくなってオート進行が始まった。

 スマホを取り出して画面を見れば、例の軍曹からのメールが届いていた。


『軍曹だ。

 どうやら飛行場を制圧したらしいな。おかげで敵戦闘機の攻撃が止んだ。

 これで戦艦を地表に下すことが出来るだろう。今から1隻の戦艦が飛行場に着陸する。

 今後は、その戦艦を拠点として行動する事になるから、そのつもりでいろ。


 それと、次のミッションから敵の攻撃も激しくなるのが予想される。

 それに対抗するには、こちらも装備を強化する必要があるだろう。

 ショップアプリに新しい装備を載せた。必要なら購入するように。 以上』


 軍曹のメールを閉じるとオートが解除された。

 突然、オートになるのは本当にやめて欲しい。


ミケ   『窓の外を見て!』


 ミケの声に窓から外を見れば、滑走路の夜空から幾つものライトが照らされていた。

 そして、明かりが次第に強くなり、空から巨大な宇宙船が降りて来てた。


 宇宙船が滑走路に着陸すると、ハッチが開いて大勢のNPCが地表に降り、飛行場の制圧を開始していた。


ボス   『やっとシナリオ1をクリアか。先は長いな』

ねえさん 『次からは大変よ。すぴねこの話だと、敵が暴走モードなんだから』

ボス   『そうだな。先に進む前に、金を貯めて強化した方が良いだろう』


 ボスの意見に全員が頷くと、各々スマホを弄って抜け出し長かったミッションを終わらせた。



 結果

  クリアタイム  79分13秒

  死亡者数    0人

  シークレットミッション オールクリア


 判定

  Sランククリア


 報酬

  クリアボーナス       Sランク 10000D

  取得スキルポイント     Sランク 5ポイント(MAX)


  初回Sランククリアボーナス 5000D

  シナリオ1クリアボーナス  10000D

                スキル5ポイント


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