第13話 ミッション1-2 その3
ボスが立ち上がると、北東の敵に機銃を連射して制圧射撃を開始。
俺はその隙に北東へ移動。ボスの威嚇射撃で怯んでいる最寄りのバーサーカーに、ショットガンを放って2体の内の1体を倒す。
ドラとねえさんが南東のバーサーカーを2体仕留め、ミケとちびちゃんが北西のバーサーカー1体を2人で倒した。
そして、北東から来た最後のバーサーカーが俺に駆け寄って来るのを見て、インプラントを起動。
ショットガンの1発目をステップで躱すバーサーカーの着地地点を予測して、2発目を発射。
放った弾丸は胴体に命中して、バーサーカーが吹っ飛び死亡した。
ボス 『すぴねこ、もう1体だ!!』
ボスの声に正面を見れば、ドロント兵の影に隠れて1体のバーサーカーが俺に向かっていた。
ショットガンのトリガーを引くが、弾切れか!?
インプラントもリキャスト中で死を覚悟した瞬間、バーサーカーの足元が爆発して吹っ飛んだ。
脳内で流れる『to be continued』のミュージック。
すぴねこ 『……へ?』
ドラ 『ちゃっちゃらーん。大成功! どっきりの相手がバクスだと思った?』
くっそ! どうやら、ドラは地雷を2か所に仕掛けていたらしい。
これは、どっきりを仕掛けていたと思っていたら、それ自体がどっきりでしたというパターンか?
すぴねこ 『テメェ、後で覚えてろよ』
ミケ 『うわぁ……』
ボス 『ぐわははははっ!!』
ねえさん 『くくくっ、標準がブレるから……笑わせないで……』
チビちゃん『ドラ君の地雷ドッキリネタ、久しぶり~~』
ドラ 『今、どんな気持ち? ねえ、どんな気持ち?』
すぴねこ 『どんな気持ちかって? こんな気持ちだよ!』
ドラに向けてショットガンのトリガーを引く。
ドラ 『チョッ!』
すぴねこ 『弾切れだバーカ』
少しだけ仕返ししてから、ショットガンをリロード。
むかつく気持ちを込めた一撃を、ドロント兵にぶち込んだ。
バーサーカーの攻撃をしのいで、最後のドロント兵をボスが倒す。
ボス 『オールクリア』
すぴねこ 『ドラ、一発撃たせろ』
ドラ 『俺が死んだらSクリ出来ねえぞ』
すぴねこ 『クソが……』
ボス 『目標クリアまで30分を切ってる、遊んでいる暇はない』
ボスに叱られ時間を見れば、ミッション開始から31分が経過していた。
残り29分で、サブミッションとメインミッションをクリアすると考えれば、確かに厳しい。
ボス 『最初から見えていた北東の通路は、俺とチビちゃん、ドラで行く。すぴねこ、ミケ、ねえさんは敵が現れた場所を探せ』
ボスは時間を気にして、二手に別れて探索する事にしたらしい。
その考えに全員が賛成して、俺達はインカムの周波数を切り替えると、二手に別れた。
ボスと別れて、最初に敵が現れた北西の暗い通路を探索する。
通路はすぐに行き止まりになって、アサルトライフルとスナイパーライフルの弾薬と、メディカルキッドが落ちていた。
すぴねこ 『こっちは何もないな。ついでにショットガンの弾薬もねえな』
ねえさん 『さっきの戦闘で消耗したから、弾薬は助かるわ。メディカルキッドは私が回収して後でチビちゃんに渡すね』
ミケ 『了解。もう一か所も急いで確認して合流しましょう』
集荷場に戻って南東の通路を探索する。
今度の通路は、鉄製だけどドアノブの付いた扉が行く手を塞いでいた。
ミケ 『鍵が掛かっているわ。ボスの方にあるのかしら?』
ねえさん 『確認するね』
ねえさんが周波数を変えてボスに話し掛けるが、途中で頭を横に振ると周波数を元に戻した。
ねえさん 『通信不能だわ。多分、バクスの通信妨害だと思う』
すぴねこ 『仕方がねえな。マルチキーを使うぞ』
ミケ 『ショットガンね。了解』
装填中の弾丸を抜いて、替わりにブリーチング弾を装填してから銃を構える。
ポンプアクションのショットガンは、弾丸を装填していても次に撃つ弾薬を簡単に入れ替える利点があった。
すぴねこ 『ショットガンの名言を知ってるか?』
ミケ 『何?』
すぴねこ 『ショットガンでドアを開ける成功率は150%。100%ドアが開いて、50%でドアを吹っ飛ばす! 離れていろ』
二人が距離を置いたのを確認して、ドアノブに向かってショットガンを撃つ。
その1発でドアノブ部分が破壊して、カギの掛かった扉が開いた。
ミケ 『なんかズルしているみたいね』
すぴねこ 『どこぞのバイオハザードした館みたいに、鍵を探し回るプレイは嫌いなんだよ』
ねえさん 『無駄な時間をカットしたと思えばいいわ。すぴねこ、突入して』
すぴねこ 『了解』
ミケがドアを開けて、俺を先頭に中へ突入。
部屋の中に入ると、ドロント兵が泣き叫ぶ地球人の兵士を引きずって、何処かへ運ぼうとしている最中だった。
「助けてくれ!!」
すぴねこ 『おっと、嫌がってる相手を無理やり連れ込むのは犯罪だぜ』
ショットガンを撃ったら、近距離の攻撃でドロント兵が吹っ飛び死亡する。
そして、助けた兵士が立ち上がると、俺達に礼を言ってきた。
「助かったぜ。ここに居た味方は皆、殺されたかドロント兵に連れ去られた。まだ隊長がどこかに居ると思う、もし見つけたら助けてくれ。それと、これを渡す」
助けた兵士が、俺にカードキーを渡した。
「多分、どこかのエレベーターキーだと思う。俺は一度外に戻る、後は任せた」
そう言うと、兵士は俺達が来た通路へ走り姿を消した。
この場を探索しても何も見つからず、奥の扉も開かない事から、この部屋が行き止まりだろう。
すぴねこ 『これでSクリアが見えてきたな』
ミケ 『問題はボスと連絡が取れない事ね』
ねえさん 『急いで合流しましょう』
俺とミケはねえさんに頷くと、ボス達が先行している北東の通路へ向かった。
再び集荷場に戻ってボスが先行している北東の通路へ移動。
ボス達が倒したドロント兵を避けて奥へ進むと、戦闘音が聞こえてきた。
すぴねこ 『どうやら、この先らしいな』
ドラ 『お? やっと繋がったか』
すぴねこ 『あれ? 周波数、戻したっけ? なんかキメェノイズが流れて来たぞ』
ドラ 『俺のは貧乏人のお前と違って高級なインカムだから、広範囲の周波数を傍受出来んだよ。どうやらバグスの通信妨害で、離れていると無線が届かないらしい』
ねえさん 『そんな事良いから、状況は?』
ドラ 『ねえさん、T路地は通過したか?』
ねえさん 『まだよ』
ドラ 『ボスからの指示だ。俺達はT路地を左に行ってるから、逆の右を探索してくれ。それと、鍵みたいなのを拾ったけど用途が分からねえ。何か知ってるか?』
おそらく、その鍵は俺がショットガンで開けた扉の鍵だろう。
ミケ 『カギの掛かった扉があったけど、すぴねこがこじ開けたわ』
ドラ 『りょーかい。すぴねこのドア開けは、ピンポイントでありがたいな』
珍しくドラが褒めたけど、コイツと最初に組んだ時、俺のショットガンを見て馬鹿にした事を今でも覚えているし忘れやしない。
ねえさん 『T路地を右ね。分かったわ』
ドラ 『それじゃ頼むぜ。聞き間違って、強引に壁を破壊して真っすぐ進むなよ』
ドラとの通信を終えて、そのまま進むと暗闇の先にT路地が見えたから、戦闘音が聞こえていた逆の右へと進む。
通路の先では、暗闇の中からバーサーカーが待ち構えて居た。
すぴねこ 『バーサーカー2』
ミケ 『了解』
叫びながら突進してくるバーサーカーを、最前列に居る俺がショットガンでけん制して動きを止めさせる。
その動きが止まった敵を、ミケとねえさんがヘッドショットで撃ち倒した。
ミケ 『クリア』
すぴねこ 『このまま進むぞ』
ねえさん 『了解』
バーサーカーを倒した俺達は、通路をさらに進んだ。
通路を抜けた先には小部屋があった。俺達はその前で身を隠す。
そして、小部屋では5体のドロント兵が、奥の扉をこじ開けようとしていた。
どうやら、ドロント兵は扉を開けるのに夢中で、こちらに気付いていない様子だった。
すぴねこ 『状況が分からねえけど、グレネードでスカッとしても良い?』
ミケ 『はいはい、どうぞ』
投げやりな口調の時のミケの目は、本当に人を腐った物を見る様な目をしている。
すぴねこ 『それじゃ、遠慮なく』
ドロント兵の集団にグレネードを2個投げて、再び身を隠す。
グレネードに気付いたドロント兵が叫ぶと同時に、小部屋が爆発した。スッキリ!
煙が充満している部屋に入ると、ドロント兵が全滅していた。
すぴねこ 『オールクリア』
ねえさん 『2個投げる必要ってあったのかしら?』
すぴねこ 『隠れる場所がなかったから、安パイって事で』
ドロント兵の死亡を確認していると、奥の扉が開いて数人の地球人の兵士が現れた。
「味方か?」
だから、俺達が地球人以外の何に見えるか問い詰めたい。
「俺達はスコーピオン小隊だ。奥に隊長が居るから話を聞いてくれ」
兵士の案内で奥の部屋へ進む。
そこには、15人の負傷した兵士が集まっていた。




