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『ワイルドキャット・カンパニー』 ~俺達、過疎ゲー、ゲーマーズ~  作者: 水野 藍雷
第3章 遺志を継ぐもの……
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第43話 ミッション5-4 その9

チビちゃん 『ミケちゃん、危ない!!』


 ラックが来ることに気付いたチビちゃんが、ミケを突き飛ばす。


チビちゃん 『ぶべらっ!!』


 チビちゃんにサーバーラックが直撃して、彼女の声がインカムに流れた。ぶべらっ!?


ミケ    『チビちゃん!!』


 押し出されたミケが起き上がって叫ぶが、その直後にサーバーラックが爆発した。

 そして、爆発が収まった後には、ボロボロになったチビちゃんが床に倒れて死んでいた。


ミケ    『う…そ……』


 チビちゃんの死体を見て、ミケが膝から崩れ落ちる。


すぴねこ  『ミケ、正気に戻れ。実際には死んでねえ!!』


 ロビールームで痛がっているとは思うけど、それは言わないでおこう。

 ミケは俺の声に涙を拭くと、人工頭脳を睨んだ。


「残念だったな。これで……何!?」


 話している途中で銃弾が聞こえると、人工頭脳の体から光が消えて地上に落ちた。


ねえさん  『こっちのスナイパーは1人じゃないのよ』


 どうやらねえさんは、ミケとチビちゃんが襲われている間も電飾を探していて破壊したらしい。


ボス    『撃てえぇぇぇぇ!!』


 そして、チビちゃんを殺されて怒ったボスの命令に、全員が攻撃を開始した。







 3度の攻撃に人工頭脳の体はボロボロに傷ついていたが、それでもまだ生きていた。


「このままだと負けるな。仕方がない……セキュリティー発動。出でよガーディアン!!」


 人工頭脳がそう叫んでガーディアンを召喚しようとするが、ガーディアンは現れず彼女の声だけが虚しく響いた。


アンダーソン『残念だったな。セキュリティレベルを下げたから、援軍は来ないぞ』

すぴねこ  『バカ、黙っとけよ。こういうのは勝ったと思ったアホを見ながら、心の中で嘲笑うのが面白いんだ』


 人工頭脳が聞こえるようにアンダーソンに話すと、彼女は「ムギギ……」と歯ぎしりをしてプルプル体を震わせた。

 その間にも、ねえさんとミケが赤い電飾を1つづつ撃ち抜き、電飾が1つづつ増えているのなら残りは2つだった。


「だったらこうしてやる!!」


 人工頭脳が空高く舞い上がり、両手を頭上に上げて青い球体を発生させると、ボスとねえさんに向かって突進した。


ボス    『ねえさんだけでも逃げろ!』


 ボスが叫んで人工頭脳を撃つが、弾丸は体を抜けるだけで突進を止められない。


ねえさん  『もう間に合わな……見つけた!!』


 ねえさんは電飾を見つけると、インプラントを発動させてスナイパーライフルを構えた。


ねえさん  『後は頼んだわよ!』


 ねえさんがトリガーを引いて銃声が鳴った直後、人工頭脳の全体攻撃が爆発して2人を包み込んだ。


ミケ    『ボス! ねえさん!!』


 爆発している球体に向かってミケが叫ぶが、2人からの返事はなかった。


アンダーソン『見えた! ねえさんの弾丸が電飾を撃ち抜いたぞ!!』

すぴねこ  『あと1つは何所だ!!』


 爆発の球体が消えるとボスとねえさんの姿は見えず、人工頭脳だけが宙に浮いて立っていた。







「はぁ…はぁ……はぁ…これで残り3人。終わりだ!!」

すぴねこ  『そう簡単には殺されねえよ』


 宣告する人工頭脳へお返しのフラッシュバンを投げるが、人工頭脳の右手から電撃が出て近づく前に粉砕した。


「無駄だ。私に同じ攻撃は効かないと言ったはずだ」


 そう言うと、人工頭脳がミケに向かって空を飛ぶ。


すぴねこ  『……チッ。やっぱり狙うならミケだよな』

アンダーソン『俺が行く!』


 俺よりも先にアンダーソンが動き、ミケに向かって走り出した。


「邪魔はさせん!!」


 人工頭脳がアンダーソンを狙ってサーバーラックを空中に浮かしたから、そのラック目掛けてグレネードを投げた。

 投げたグレネードはラックに当たると、落ちる前に爆発してサーバーの誘爆を誘い、人工頭脳を包み込む。


「小賢しい真似を!!」


 空中を移動して煙から逃れた人工頭脳が俺を睨みつける。

 人工頭脳にダメージを与える事は出来なかったが、それでも時間は稼げた。

 そして、その間にミケが最後の電飾を見つけた。


ミケ    『見つけた!!』


 ミケが叫んで銃を構える。


「死ね!」


 人工頭脳が両手を交差させて、ミケに向かってソニックブームを放った。

 ミケが照準を絞り込む前にソニックブームが彼女に届くと思いきや、インプラントを発動させたアンダーソンがミケを抱いて床に伏せた。

 その直後に、2人の頭上をソニックブームが通り過ぎる。


アンダーソン『そう何人も殺されてたまるかよ』

ミケ    『こんどこそ!!』


 ミケがすぐに起き上がって、もう一度銃を構えると、今度はインプラントを発動させる。


「させるか!!」


 人工頭脳の右手から電撃が放たれるのと同時に、ミケの人差し指がトリガーを引いて、銃口から弾丸が放たれた。


ミケ    『キャアァァァァ!!』

アンダーソン『グアアアアァァ!!』


 電撃を喰らった2人が絶叫を上げる。

 それを見下ろして笑う人工頭脳だったが、ミケの放った弾丸が最後の電飾を破壊して、体から光が消えると床に落ちた。


「チッ! 間に合わなかったか。だけど、コイツ等は生きていたとしても、もう戦えない。あと1人だ」

すぴねこ  『そのあと1人が、後ろで立ってるけどな』


 ミケを倒している間に近づいた俺の声に、人工頭脳がバッと振り返る。

 それと同時に、KSGから放たれたスラッグ弾が、人工頭脳の顔面を撃ち抜いた。







 近距離からスラッグ弾を浴びて、人工頭脳が後ろに飛ばされ床に倒れる。


「くっ……よくも……」

すぴねこ  『ウルセエ。今、マジでムカついてるから、死ぬまで口を開くな』


 起き上がろうとする人工頭脳の体を踏みつけると、マガジンに残っていたありったけの銃弾を浴びせた。


すぴねこ  『まだ死なねえのか、面倒くせえガキだ』

「この程度で……」

すぴねこ  『だから喋るな』

「ぐは!!」


 何か話し掛けて来たから、銃低で顔面をぶん殴る。

 KSGに弾丸を装填してから、再び人工頭脳に向かってトリガーを引いた。


「……これで終わりか? 残念だったな、僅かだけど私のHPは残ったぞ」


 全弾撃ち尽くしたところで、人工頭脳が掌を合わせようとしたから、右足で左腕を押さえ、左手で右手首を掴んだ。


「……!!」

すぴねこ  『どうした? 叩いてみろよ。お前、掌を叩かないと無敵になれないんだろ』

「何故それを!?」

すぴねこ  『そう驚くなって、何度も見てれば誰でも気付くぜ』


 だから、接近距離で全体攻撃という極悪な技を持ち、それを見せびらかして近づく事に警戒を持たせたのだろう。


「だけど片手が使えなければ、お前だって攻撃手段はない」

すぴねこ  『それがあるんだな』


 腰のホルスターからグロックを取り出して、人工頭脳に見せた。


「……なっ!?」


 暴れて逃げようとする人工頭脳の額にある第三の目に向けて、銃弾を放った。


「ギャアァァァァ!!」

すぴねこ  『何? もしかしてそこ弱点だった? だったら狙うわ』

「や、やめろ!!」

すぴねこ  『やめろと言われて、やめる馬鹿が何所にいる』


 人工頭脳は頭を左右に振って何とか逃げようとするが、俺に圧し掛かられて逃げられず、額の目に弾丸を喰らってぐったりしていた。


すぴねこ  『……まだ生きてるのか。本当にしつこいな』

「はぁ…はぁ……その銃も撃ち尽くしたな。これでお前の攻撃手段はもうない」


すぴねこ  『ミケ! まだ生きてるか?』


 疲れた様子で笑う人工頭脳を無視して、ミケを呼ぶ。


ミケ    『う……うう……』


 俺の声に反応したミケの呻き声が聞こえたから、腰から最後のグレネードを取り出した。


「まさか!?」


 グレネードのピンを口で外して、人工頭脳に向かって笑みを見せる。


すぴねこ  『レスト・イン・ピース(安らかに眠れ)。グッドゲームだったぜ』


 手の中のグレネードが爆発して、俺は人工頭脳と一緒に死亡した。




結果

  クリアタイム  109分32秒

  死亡者数    5人

  シークレットミッション なし


 判定

  Aランククリア


 報酬

  クリアボーナス       Aランク 40000D

  取得スキルポイント     Aランク 4ポイント

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