第三十九話 「出会い」
「デリンジャー様、もうすぐですので…」
「いいから急げ!!」
苛立つデリンジャーと、必死に車を進める運転手、
「しかし、デリンジャー様。謎の兵器が使われた場所などに行って、狙われでもしたら…」
「黙れ。いいから車を進めろ!」
「は、はい!」
デリンジャーは血も涙もない男である。残虐非道を息をするかの如くに行う。トリガーに掛ける重みはすこぶるもって軽い。気に食わなければ撃ち殺す。気に入っていても撃ち殺す。なんの関係もなくても撃ち殺す。息をするかの如くにトリガーを引く。そこに慈悲など微塵も………ないと言えば嘘になるだろう。この男、残虐非道だが、利用できるモノは利用する。自分の所有物はその全てを自分が支配しなければ満足しないのだ。自らの右腕、そして、予言をするオモチャ、自分のお気に入りを自分の意向でなく殺される事は、彼の望む所ではなく、彼の逆鱗に触れてしまったのだ。
「デリンジャー様!到着しました!!」
デリンジャーが車から降りると、そこは火の海だった。
「くそっ!俺のモノを…」
デリンジャーが火の中歩くと避難所を発見した。おもちゃとお気に入りがいないかを確認する。
「おい」
「は、はい?」
手当てをしている看護士に声をかけた。
「ここに…」
「デリンジャーさん!!」
「っ!バレルッ!無事だったんだなっ。あの女は?」
「それが……」
「っ、おい。その女は…」
デリンジャーはバレルが連れている女に見覚えがあった。
「バレットの連れ、だな。」




