第三十七話 「虐殺はフォンダンショコラのように」
こんにちは、お久しぶりです。久々の投稿です。よろしくお願いします。
「トリガーバレット放送まで後30分かぁ……」
ミサは壁に掛かった、掛け時計を確認する。チクタクチクタクと動くその針は刻一刻と約束の時間目指して進んでいた。
前回、平和な回だったので、今回も平和であってほしいとミサは思った。でも、そう、これはただのアニメなのだ。その先を心配した所で意味なんてないだろう。ゆきのアニメオタクっぷりがすっかり移ったのかなぁ、なんて思う。平和な現代、ミサは順調だった。親友がいなくて不安だったクラスに馴染む事もでき、友人もできた。担任の先生も面白い先生で、勉強もそこそこできている。まさに順風満帆である。しかし、やはり、ゆきがいない寂しさは残ったままだった。本来なら新しいクラスでゆきも一緒に学校へ通っていたのだ。そんなもしもを考えると胸が苦しくなった。
「ミサ、おやつ食べる?」
「今日はなんのおやつ?」
「昨日お父さんが酔っぱらってケーキ買ってきたでしょ?」
「あー、そだっけ?なんか騒いでたのは知ってるけど……」
「フォンダンショコラ、買ってきたんだって!食べる?」
「うん、食べるー。」
「お父さんの酔っぱらうと浪費する浪費癖、なんとかならないかしらぁ……」
母はぼやきながらもお皿やらカップやらフォークを用意する。
まあ、と言っても、父が酔っぱらって買ってくるものなんて大したものじゃない。せいぜいお菓子やら食べ物、植木とか、ヘンテコな機械とか、変わったモノぐらいである。この前買ってきたのはポップコーン製造機である。その前は自動草刈りロボット、そのまたその前は鉄アレイ、何がしたいんだか……。
「はい、ミサ。紅茶。」
「あー、ありがとう。」
母はミサの眼の前のテーブルにミルクティーを置く。そして、メインのフォンダンショコラが乗ったお皿を持ってきた。
「中、熱いから気を付けてね。」
「はぁーい!」
そして、「トリガーバレット」が始まった。
「どこかの村にバレットがたどり着いたのね…」
母は紅茶を飲みながらアニメを覗く。
「そだね。」
しばらくしてゆきらしき女性が現れた。胸騒ぎがする。数分後、ミサのこの胸騒ぎは現実のモノとなってしまう。ミサはフォンダンショコラにフォークを刺す。中からはチョコレートが溢れてでてきた。
「わぁ、おいしそう!いっただきまぁす!」
ミサが口いっぱいにフォンダンショコラを頬張るとチョコレート味の生地と中のとろけたチョコレートがなんとも言えないハーモニーを奏でる。
「おいしい……」
「よかったわね。」
おいしいのでもう一口食べようとした時だった。アニメの中でとんでもない事が起きる。ゆき達がいた村に他国の組織が造った兵器がぶちこまれたのだ。
「………」
「……」
母と共に絶句した。思わずフォークをテーブルに落とす。
「…ミサ、これはアニメだから!大丈夫よ、ミサ!作り話だもの!本物のゆきちゃんは今頃天国で幸せに暮らしているわよ!」
青い顔をしていると、母に気を使われた。
「そ、そうだね。」
ゆきが無事である事を祈るばかりだったが、それから先に出てくるのはゆき以外のメンバーだった。ゆきの安否は確認できず、もやもやしながら次の週を待つことになる。アニメの中では、熱いフォンダンショコラのチョコレートのような熱さの炎が村を包みこんでいた。
ちょっと体調を崩してました。投稿出来なくて申し訳ないです。また、pixivの方にオリジナル漫画を掲載中なので、そちらの方もよろしくお願いします(*-ω人)では、これからもよろしくお願いします。




