第三十四話 火の海と最悪の狩人
こんにちは、ゆきちゃんピンチ!?キャノン君きちぃー( ・ω・)なんだこいつ、状態…。果たしてゆきは生き残れるのか?では、本編へ
「……ぅ……いっ?!」
眼を覚ました時にゆきが見たのは地獄だった。村が火の海に沈んでいた。建物の中にいた人達や外にいた人達の悲鳴が聞こえる。
「どうしてこん……」
「ガチャリ★」
そのふざけた言葉とは裏腹に固いモノが背中へと押し宛てられる。わかる。ナニがあるのか。トリガーを引けば、それは服や皮膚をぶち破り、身体に入って壊されるだろう。
「キャノン君。何があったの?」
「それは君の方が知っているんじゃない?」
「……兵器、出来たんだ。」
そう、デリンジャーがゆきを設計図の取引相手と間違ったあの兵器の設計図である。
「あんなモノ人里に打ち込むとか、いい迷惑だよね。君達、デリンジャーに捨てられたんじゃない?それとも囮?」
「……捨てられたかも……」
デリンジャーは目的の為なら手段は選ばない。そう言う人である。ゆきは少し寂しそうに肩を落とした。
「あ?!バレル君?!どこ!!??」
辺りを見たがバレルはいない。焼けた教会と建物と木々と犠牲者のみである。
「あいつならさっきの兵器?の爆風で飛ばされたみたいだけど?」
「?!」
キャノンは淡々とそう語りながら暇そうに銃をくるくると回している。
「僕は運良く教会の残骸に引っ掛かったからいるけどねー。あいつじゃ無くて残念だね?」
「っ!……いっ…」
立とうと足に力を入れようとした時、右足に痛みが走る。見るとゆきの右足からは血が流れている。痛みで立てないゆきを見ながらキャノンはニタニタと嫌な笑みを浮かべていた。よほどアジト破壊を阻止された事を恨んでいるらしい。キャノンは業とゆきの動かない右足を銃でつついてくる。
「いっ、いたっ!痛いよっ!やめてっ!」
「このままだと失血死しちゃうかもね?」
「……」
キャノンの茶化す声を無視してゆきはなんとか止血しようと、痛みを堪えながらハンカチで傷口を覆う。だが、上手くいかない。
「おい、無視すんな?」
キャノンはゆきの傷口を叩く。
「ああぁっ!!」
痛みで悲痛な声がゆきから漏れる。それを見てキャノンは更にニタニタと嫌な笑みを浮かべてゆきの顔を覗き込んでくる。
「いい声で鳴くじゃん。いいね。もっと鳴いて♡」
キャノンは再びゆきの足を狙ってくる。ゆきはさせまいとキャノンをなんとか静止しようとするが、左腕を掴まれ、そのまま教会の瓦礫に押し付けられる。
「うっ…」
「ほら、鳴けよ?バレル君が助けに来てくれるかも知れないよ?」
そういって、キャノンは、どうやって動けないゆきをいたぶろうか思案するように笑っていた。そんな笑い声を冷たい声が書き消した。
「うるさい。」
バンッ
「?!?!」
キャノンは驚きを隠せなかった。何故なら、その弾を撃ったのが、バレルではなく、自分より弱くて今の今まで自分に怯えていたはずの獲物だった筈のモノだからだ。弾はキャノンの右頬を掠めて虚空へと消える。
「次は当てる。」
「……ヒュー。ヤルじゃん?ただのか弱い女の子だと思ったらライオンだった、みたいな。でも、」
ガッ
右腕もキャノンに掴まれ、両腕が瓦礫に押し付けられる。
「強がっても素人は素人だよ。」
「……」
「これは没収しとくね★」
銃は呆気なくキャノンに取り上げられた。キャノンはその銃をゆきへ向ける。
「じゃ、ばいばぁい♪」
バンッ
ゆきちゃんはたぶん男運ないな……と、思う今日この頃でした。けっこう死にかけてる。次回もお楽しみに!




