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第二十三話「銃口の先に」



バレットは南西の街に潜んでいた。そんな隠れ家の扉がひっそりと開く。


「誰だ?!」


「バレット……、すまない。」


「ウェルロット?!」


もちろんウェルロットは、レイヤーがデリンジャーに殺された事を知ってしまった。そして、内部からバレットをサポートする事を諦め、バレットの元まで命からがら逃げのびて来たのだ。


「予定が狂った。」


「どういう事?」


奥からピストレットも出てくる。


「デリンジャーがレイヤーを殺した。」



「「「?!」」」


三人(・・)は驚愕した。


「デリンジャーがこの街に来てるのか?!」


バレットは驚きながらも確認する。


「そうだ、急に視察だと言って来て……レイヤーを撃ち殺した。」


「…不味いわね。ここから早く逃げた方が良さそう…」



「……今更逃げるって言っても!ここまで来たんだ!アジトを破壊しにっ…」


「死ぬ気かい?」


三人目がバレットの言葉を遮るように聞いた。


「ここは後にしよう。また来ればいい。」

三人目の意見にピストレットも賛同する。

「そうね、今は体制を整えて…」


「でもっ!」


バレットは納得が行かなかった。これから仲間として旅に出る予定だったレイヤーが殺されたのだ。仇討ちをしなくては我慢ならない。


「バレット!君の目的はなんだ!?」


三人目は厳しい声色でそう問いただした。バレットは驚き、体を強ばらせた。


「………デリンジャーを、倒す事…」


「そうだ!デリンジャーを倒す!そして?」


「そして、“安全な銃世界”を、造る。」


「なら、君はここで無駄死をしている場合ではないね?」


「……おう。」


「すまない。俺がぬかったばっかりに…」


「ウェルロットのせいじゃないわ。デリンジャーがくるなんて誰も予想してなかった事よ。」


「………。」


バレットは何か考えているようで、何も言わなくなってしまった。


★★★★★★★


「いいか、飛び降りるのはもう禁止だぞ?」


「わかってるよぉ。」


ゲストルームにてソファーに座った二人は話し合っていた。それもこれもこの間のゆきの無茶な狙撃をこれからもされては助けようがないとバレルは怒っていたのだ。


「ありがとう、バレル君!でも、大丈夫!!私、今度こそちゃんと撃つから!」


「……無茶はするな。俺に負担がかかるだろ?」


なんだかんだ言って面倒見がいいバレルは文句は言うし口は悪いが優しい。


「大丈夫!」


「……。」


バレルは心底信用出来ないと言う顔をしてニコニコと笑うゆきの方を見ていた。

★★★★★★


「……まさか、あいつが俺に……」


デリンジャーは少し口元を緩ませた。バレルの事である。デリンジャーがゆきに銃口を向けた時、実はバレルは、咄嗟にズボンのポケットに入っていた銃を握っていたのだ。


「俺に逆らう…か、クククッ。」


デリンジャーの右腕として置いているバレルはデリンジャーに銃口を向けるどころかデリンジャーに逆らった事など一度もなかった。しかし、ゆきが来てからバレルはゆきの世話を甲斐甲斐しく焼いているようで、何処か肩入れしているようにデリンジャーは思えた。


「まあいい、あいつが銃口を向けた時、それはあいつの最後だ。」


★★★★★★


夜がふけていく。誰もが寝静まった深夜、一つの影が街を走る。影は街を縫うように走って南西のアジトへと向かう。辺りを警戒し、銃のグリップに手を添えた。銃口をアジトの方角へ向ける。


「デリンジャー、お前をっ……誰だ!?」


後ろから足音がした。慌てて振り返った影は不意に名前を呼ばれる。


「誰だ、じゃないよ。バレット。僕さ。」


「っ?!キャノン?!何でっ?!」


「君、僕が言った事、全く納得してなかっただろ?」


「……そ、それは……。」


「君ならきっと一人で無茶をするだろうと思って。ついて来て正解だったよ。」


「キャノン!!止めるな!!俺はっ!」


「僕も行くよ。」


「は?」


「僕も行く。君一人には行かせないさ。仲間だろ?」


「……キャノン、ありがとう。」


バレットは思わず涙ぐんでいた。


「泣くなよ。ピストレットにバレる前に行くよ?」


「おうっ!!」


二人は夜の闇の中へと消えて行った。

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