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第二十一話「次なる一手」



バレットの目的は西のアジトの壊滅にあった。しかし、囚われている民間人を解放する事が一番の目的だったのだ。アジト破壊は成せなかったが当初の目的は果たせていた。そして、次にバレットが狙うのは……。


「南西のアジト、だと?」


「はい!バレットは次に南西のアジトを狙います!」


「……確かに海運の要の南西のアジトを狙うのは合点がいくが……」


デリンジャーが言葉を濁した後にバレルが疑問をぶつけた。


「西のアジトを襲撃した後なんだ。警備が厳重になる事がわかってるのにわざわざ近場の南西のアジトを狙うのはおかしくないか?」


「それはそうなんだけど、南西のアジトにはバレットの仲間が潜入していて、その仲間と合流するの!」


「「……」」


ゆきの発言からその場に重い空気が漂った。


「西のアジトの時も思ったが……」


「お前、本当にバレットと知り合いじゃないだろうな?」


デリンジャーとバレルは深刻そうな顔でゆきを見つめた。


「ち、違うよ!」


「まあ、いい。こちらに有益な情報な事には変わりないからな。」


デリンジャーはなんとなく割りきったようにそう言って煙草に火を付ける。対してバレルはどこか納得いかないような顔をしていた。ゆきは構わずに話を続ける。


「なので、南西のアジトに…」


「いいだろう。俺も行く。」


「へ?」「は?」


デリンジャーの言葉に二人は眼を丸くして驚いた。


「ふぅー、俺も行くと言ったんだ。」


煙草をふかすデリンジャー、煙は白く辺りを曇らせた。


「で、でも、デリンジャー様が本部を空けても大丈夫なんですか?」


ゆきは慌てた。こんな事はまあ、もちろんバレルと南西に行く事もだが、ストーリーには全くないからだ。それに、

「デリンジャー様になにか危険があっては……」


「なんだ?バレットと組んで俺をはめるつもりか?」


ぶんぶんと首を横に振るゆきは必死に否定した。

「いえいえいえ!違います!!私はただデリンジャー様の身を案じて……」



「いらねぇ心配だ。」


確かにデリンジャーが出るなら心強い事この上ない。しかし、それはゆきの目的にそぐわないのだ。


「……バレル君。」


困ったゆきは横目でバレルに助けを求める。


「知るか。デリンジャーさんの決定に俺がとやかく言えるわけないだろ。」


「だよね~……。」


かくして、南西のアジトへと、三人で行くことになってしまった。


★★★★★★


翌朝、支度を整えた三人は早速本部から車で移動する事になった。


「で、デリンジャー様の隣に座れるなんて光栄です!出会った時を思い出しますね!」


ゆきは昨日とうって変わってデリンジャーの隣に座れてご機嫌である。


「騒ぐな、うるさい。」


バレルが、一人ふわふわと呑気に浮かれているゆきに注意した。


「それで、デリンジャー様。南西のアジトへ行ってどうするんですか?何か作戦が?」


「……そんなものはお前達でどうにかしろ。俺はただ南西を視察に行くだけだ。」


「「!?」」


バレルは思った。ここに来て俺達、いや、俺任せかよ。何を考えてるんだ、この人……。まぁいい、バレットにリベンジするチャンスだ!


張り切るバレルに対してゆきの顔は曇っていた。

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