057 ミニお雛様
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第57弾です」
礼子「今回はお雛様ですね」
仁「もうすぐ3月だからな」
礼子「ミニ、ということは小さいんですね?」
仁「うん。10センチ角の台の上で完結する大きさだ」
礼子「本当に小さいですね……10センチ角にはなにか理由が?」
仁「大したことじゃないが、ダ◯ソーで買った10センチ角のMDFがたくさんあるのと、この大きさならシリーズ化しても置き場所を取らないかなと思ってな」
礼子「なるほど、わかりました」
* * *
仁「まずはイメージスケッチだ」
礼子「かわいいですね」
仁「本格的な形式にするには大きさが小さすぎるので、土人形っぽくしようと思う」
礼子「粘土ですから土人形には違いないですものね」
仁「そりゃそうだ」
仁「で、粘土はこれを使ってみる」100均で買いました
礼子「わりあい重いですね」
仁「そうだな。『石粉』つまり石の粉だからだろうな」樹脂粘土は軽いものが多いです
礼子「練っていたら手にひっつきましたね」
仁「だったなあ」手を洗うのが大変だった
仁「あとで削るので、おおよその形を作った」
礼子「人によってはこの段階でもっと作り込みますね」
仁「小さいため、細部の加工は難しいだろうと判断したようだ」
礼子「後からくっつけることもできますしね」
仁「で、乾燥したらひたすら削る」リューターで
礼子「すごい粉塵でしたね」
仁「うん……マスクは必須だな」それもかなり性能のいい防塵用
礼子「カッターのように薄い刃では削りにくかったです」彫刻刀やノミならいけるとおもいます
仁「で、途中がすっ飛ぶけど、彫刻刀や棒ヤスリも駆使して整形し、表面はスポンジヤスリなどで整える」
礼子「もし乾燥の段階でヒビが入っていたら同じ粘土やパテで埋めます」
仁「そして、今回は白のサーフェイサーを2度吹きました」
礼子「そこにプラモデル用の塗料やアクリル絵の具で着色します」
仁「仕上げに半光沢のトップコートを2度吹きます」
仁「で、いよいよ小物作りだな」まずは菱餅
礼子「100均で買ったEVAスポンジですね」
仁「うん。素材としては難接着素材だ」
礼子「だから専用の接着剤ですか」
仁「ついでにどれがいいか調べておこうと思う」
仁「細長く切ったものを貼り合わせ、乾いたら剥がしてみれば接着力の見当がつくからな」
礼子「GPクリヤー、Σ、それにわさびのりですか」わさびのりというのは緑のチューブの接着剤の通称です
仁「GP以外製造終了なんだよな……」
礼子「あらら」
仁「接着したら板の間に挟んで重石を置き、半日くらい乾かす」1〜2時間で乾くと書いてあるものが多いですが
礼子「で、どうでした?」
仁「GPクリヤーが一番優秀だった」
礼子「今も市販されていますから、結果的にオーライですね」
仁「そうなるな」
仁「で、菱餅をカット」よく切れるカッターを使います
礼子「そういえば、菱餅ってどうして菱形なんでしょう?」
仁「菱の実、というものがあって(菱は水草)、種をたくさんつけるらしいので子孫繁栄の願いが込められているらしい」他にも菱の実にはトゲがあるので魔除け、とか、仙人がたべるものなので長寿を願う、とか諸説あります
礼子「色には意味が?」
仁「下から緑、白、赤(桃色)だが、緑はヨモギで邪気を払う。白は雪を象徴していて清浄を意味する。桃色は桃の花で魔除けになる」と言われているようです
礼子「雛人形も元は厄を払う形代だったわけですから、厄除けや幸運を呼ぶ、という意味が強いんでしょうね」
仁「そうそう」よく知ってるな
仁「菱餅ができたら、載せる台だな」
礼子「菱台ですか?」
仁「ちょっと難しそうなので『高坏』にする」別名供物台
礼子「だからゴム足を使うんですね」
仁「粘土で作るとか木で作るとかスチレンペーパーで作るとか考えたんだがな」安定性がよさそうなのでゴム足を使うことにしました
仁「中心に2ミリ(プラ棒の直径)の穴を空ける」
礼子「小さくて押さえづらいですが、ゴム足には元々貼り付けるために両面テープが貼られていますのでそれを捨て板に貼れば抑えやすいです」
仁「それからお皿の部分」2ミリ厚のスチレンペーパーを丸穴ポンチで抜きます
礼子「直径は10ミリですね」
仁「で、部品はこうなる」
礼子「直径7ミリのポンチで抜いたスチレンペーパーもあります」お皿の部分がぐらつかないようにするために使います
仁「プラ棒は2ミリ径」
仁「加工の終わった部品だな」お皿の下に7ミリ径のスチレンペーパーをつけるので、それにも2ミリの穴を空けます
礼子「ゴム足の穴は、2ミリで空けても穴径が小さくなるのでキリなどでぐりぐりやって広げるといいですよ」
仁「で、2液型のエポキシ接着剤で固定する」作者は2分タイプを使ってます
礼子「それらしくなってきました」
仁「乾いたら黒のサーフェーサーを2度吹き、次いでトップコートの光沢を2度吹いた」
仁「で、和紙を小さく切って菱餅の下に敷く紙を作る」
礼子「ただ載せてもすぐズレて落ちますので、接着するか両面テープで固定するかしてください」
仁「作者は両面テープだったな」
礼子「なかなか菱餅らしくなりました」
仁「次の小物はぼんぼりだ」といってもこの大きさで丸くするのは難しいのでさかずき型にします
礼子「パソコン上で作図して、マット調用紙にプリントアウトしました」
仁「その際、下の方をほんのり桃色にしてみた」
礼子「いくつもありますね」
仁「これでA6サイズだからな」余白が無駄なので失敗した時用に多めにプリントしたわけです
礼子「結局失敗しませんでしたけどね」
仁「うん……」
仁「で、切り抜いて組み立てていく」
礼子「小さいのでピンセットも使うといいです」
仁「気を抜くをすぐどっかに行っちゃうしな」
仁「で、ぼんぼりの足も作っておく」
礼子「サイズが違うだけで菱餅の台と作り方は同じです」
仁「で、この足も黒サフ2回、光沢トップコート2回を吹いているわけだ」
礼子「実際には菱餅の台と同時に吹いてます」効率アップ
仁「接着には透明な接着剤」
礼子「キャノピー(風防)の接着にも使えるという謳い文句の接着剤ですね」
仁「ああ。特に台の上にぼんぼりを貼る時、のりしろがないから接着剤を大目に流して接着したいからな」はみ出ても透明なら目立たないし
仁「で、完成した」
礼子「いい雰囲気ですね」
仁「さあ次に行こう」
仁「お雛様を乗せる台……というか畳だな」今とはかなり違う
礼子「縁がカラフルですね」
仁「『繧繝縁』といって、高貴な人しか使えないデザインなんだそうだ」具体的には皇族
礼子「ネットでフリー素材を見つけて加工しています」
仁「スチレンペーパーに被せて使うわけだ」8センチの4センチ
仁「で、被せた」スチレンペーパーは5ミリ厚+3ミリ厚で8ミリにしました
礼子「畳の面が汚れてますね」
仁「うん……接着剤がカッティングマットに付いていたのに気づかず、接着強度を出そうと押さえた時に付いてしまった」まあお雛様を置けば見えなくなるから
仁「さて金屏風だ」
礼子「素材は金色の紙、2.5ミリ厚のMDF(22ミリ掛ける60ミリ)4枚、それに縁用の黒いマスキングテープですね」
仁「金色の紙はハン◯で買いました」折り紙に入っている金色の紙でもいいと思います
礼子「半つや消しくらいがらしくていいですよね」
仁「そうだな」
礼子「で、広い面を貼るのには両面テープですか」
仁「接着剤を使うと凹凸が出やすいからな」
礼子「水性の接着剤だと紙が伸びますしね」
仁「そうそう。後で縮んで反ったりしてな」
礼子「有機溶剤系は広い面積には不向きですしね」乾きやすいから
仁「で、まずはMDFの両面に両面テープを貼る」
礼子「大きめに貼って、はみ出た部分はカッターで落とすとぴったりに貼れます」
仁「はみ出した部分をハサミで切ってもいいかな」その場合、ハサミにテープの粘着剤が付きます
仁「で、いよいよ金紙をはるんだが、貼り方の模式図だ」ラフスケッチですが
礼子「なるほど、4枚いっぺんに貼るんですね」
仁「写真を撮り忘れたが、裏側には和紙を同じ様に貼る」
礼子「折り込まれる部分は接着剤で貼ります」
仁「両面テープを回り込ませてもいいかな」
仁「金紙側を貼った」
礼子「豪華になりましたね」
仁「裏も見てほしい」
礼子「こうなっているんですね」
仁「で、8ミリくらいの幅に切った黒いマスキングテープを縁に貼る」
礼子「ぐっとそれらしくなりますね」
仁「合わせ目には貼らないから、それは写真を参考にしてほしい」
仁「さて、台だ」
礼子「10センチ角のMDFですね?」
仁「それがちょっと注意が必要で、この黒いものは96ミリ角になっている」
礼子「ちょっと小さいんですか」
仁「ベースは10センチ(100ミリ)角なんだが、あとでカバーを被せられるように、実際の台は少し小さくしている」
礼子「細かいですね」
仁「だから、少し小さく加工したMDFに下塗りをし、黒く仕上げているんだよ」
礼子「乾燥時間があるので、実際には早い時期に作っています」そしてついでもあるので2つ同時に
仁「で、ベースと台だ」ベースは10センチ角
礼子「いつもの『木固めエ◯ス』を含浸させています」カビ防止です
仁「湿気っぽい場所に重ねておいていたMDF、見事にカビたからなあ」
仁「で、2つを接着する」
礼子「エポキシ接着剤でもいいですし、両面テープでも大丈夫です」
仁「剥がすような力は掛けないからな」
仁「で、配置してみる」
礼子「スペースが決まっていますから少し悩みますね」
仁「そうなんだよなあ」まあ金屏風は一番後ろなんだが
仁「で、接着だな」
礼子「ずれないよう、両面テープで固定しています」
仁「小さいし軽いから、固定しておかないとちょっとの風や振動でずれるからなあ」
礼子「ぼんぼりは後ろに置きたかったんですよね」
仁「でもスペースがなかったんだ」残念
仁「で、完成だ」
礼子「可愛いです」
仁「テーブルの上とか、床の間とか。あるいはウェルカムドールとして玄関に置いておくのもアリだな」
仁「ちょっとだけ画像を加工して、ぼんぼりに明かりを灯してみた」
礼子「雰囲気が出てますね」
仁「こういう加工もジオラマっぽくていいかもな」
礼子「ところで、ぼんぼりって『雪洞』って書くんですよね」今更ですが
仁「まあそうだな」
礼子「雪山でビバーク(野営)する際にも雪洞って掘りますよね」紛らわしいです
仁「何を言い出すかと思えば」ぼんぼりの方はその形状が茶道で使われる雪洞に似ていたためと言われてるぞ
礼子「なるほど」
* * *
仁「ということで今回は『ミニお雛様』でした」
礼子「お疲れ様でした」
仁「作業時の怪我にはご注意ください」
礼子「塗装や接着には換気にもご注意くださいね」マスクもあったほうがいいです
仁「手を切ったら流水で洗い流しましょう」
礼子「汚れが傷口に残らないよう注意です」
仁「シンナーの取り扱いにもご注意ください」
礼子「あやまって飲み込まないように」
仁「趣味は楽しく、安全に」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。




