006 ミニミニグライダー
仁「こんにちは、魔法工学師の二堂仁です」
礼子「お父さまに作っていただいた自動人形でアシスタントの礼子です」
仁「作者が実際に作ったあれやこれやを、俺の解説で紹介するっていう企画の第6弾です」
礼子「凧、茶匙、糸巻き、風車、はしご下りときて今度は飛行機ですか?」
仁「うん、正確にはグライダーだな」日本語では滑空機
礼子「やっぱり空を飛ぶというのは憧れですか?」
仁「男の子なら一度は憧れるだろう?」ゼロ戦とかイーグルとか
* * *
仁「で、これはインドアで楽しめるグライダーなんだ」なんだかんだで自宅にいる機会が多くなったろうし
礼子「小さいですね」
仁「元になる紙は『情報カード』といって名刺大(91ミリ✕55ミリ)だからな」
礼子「いらない名刺でも作れますね」
仁「100均で買っても50枚から100枚くらい入っているからな……」余り過ぎだろう
礼子「画用紙やケント紙でもいいですよね?」
仁「もちろんだ。……チラシの紙じゃ薄いし、一般的なボール紙じゃあ厚いけどな」
礼子「本題から外れますけど、どうして名刺ってこのサイズなんでしょう?」AサイズやBサイズみたいな縦横比じゃないですよね
仁「長辺は3寸で91ミリとしたらしい。短辺は黄金比というやつで55ミリ(1寸8分)になったというな」
礼子「ヤードポンド法の国では3.5インチと2インチだそうです」89ミリ✕51ミリ
仁「……話を戻そう」
礼子「……はい」
* * *
仁「まずは図面……というほどのものでもないけどな」情報カードに書き込んでます
礼子「数値が入っていませんけど、いいんですか?」
仁「ああ。カッティングマットから推測して欲しい……まあ、主翼や水平尾翼はだいたい左右対称になっていれば大丈夫」なっていないとカーブして飛ぶだけだ
礼子「それ、大丈夫っていうんですか?」
仁「左右のカーブは垂直尾翼をひねれば直せるしな」あと主翼に上反角つければ安定する
礼子「なにかコツはないんですか?」
仁「ああ、1点あるぞ。……グライダーは『重心位置』をきちんと決めないと上下方向の安定性が悪いから、主翼の前から3分の1のところに重心が来るようにおもりを調整する必要がある」
礼子「ステープラーの針3つくらいですね」
仁「うん。機首をやや長めに取ると、針の数が少なくて済むから、機体が重くならない」ちょっと鼻面が長い印象になるけどな
礼子「ちなみに、主翼の面積に対する機体の重さを『翼面荷重』といいます。単位面積あたりが支える機体の重さですね」g/cm^2とかkg/m^2で表します
仁「模型はグラム/デシメートルで表すことが多いな。……で、翼面荷重が大きいと、風には強いけど遠くまで飛べず、翼面荷重が小さいと風に弱くなるけど遠くまで飛ぶグライダーになる」
仁「で、ハサミやカッターで切り抜いて、組み立てる」手を切らないよう気を付けてください
礼子「カッターの場合、下にカッティングマットを敷いて、机やテーブルを傷つけないように注意ですね」
仁「で、組み立てだ」
礼子「シンプルですね」
仁「紙だから自由に絵を描いてもいいよな」
仁「で、ちょいと翼端を曲げて上反角を付ける」左右の安定性が増す
礼子「ステープラーの針が重りですね」
仁「こいつは4つでちょうどだった」
礼子「頭から突っ込む時は重りが重いときです。重りを減らすか水平尾翼の後ろ端を上にちょっとひねるといいです」
仁「逆に一旦急上昇してカクンと落ちる時は重りが軽いときだな。重りを増やすか、水平尾翼の後ろ端をちょっと下にひねるといいな」
礼子「これは?」
仁「アレンジ。テーパー翼にしてみた」
礼子「ちょっとステープラーの針が多いですね」
仁「うん。機首を短めにしたら、バランスを取るためにこうなった」翼面荷重が大きいからあまり飛ばなくなった orz
礼子「どんまい」
* * *
仁「学校の教室くらいの広さがあれば、何人かで競争できるんだけどな」
礼子「休み時間にやれば……」
仁「うん、多分怒られる」
礼子「そうなんですか?」
仁「作者の経験を元にした勘だけどな。学校ってこういう『持ってきてはいけないもの』を使った遊びには不寛容なんだよ」おはじきとかメンコとか
礼子「いつの時代ですか」
仁「まあわかり易い例だと思ってくれ」
礼子「かえってわかりにくい気も…………皆さん、くれぐれもルールを守ってお楽しみください」
* * *
仁「というわけで、第6回はミニミニグライダーの解説でした」安全に気をつけてお楽しみくださいね
礼子「お読みくださりありがとうございました」
仁・礼子「「それでは皆様、ごきげんよう」」
ごらんいただきありがとうございました。